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2005年12月21日

どん底だからチャンス!?

もう一つ冬季オリンピック関連の話。

最近のスポーツニュースでなんといっても驚いたのはこれである。
「不振ジャンプ陣の五輪出場見送りも想定」

全く考えてもいなかった。そういう考え方があるということすら想像したこともなかった。オリンピックは参加することに意義がある。その言葉通り、出られるなら出るものだとしか思っていなかった。私は固定観念にとらわれていたということか。目が覚める思いだ。

しかし、別にその内容については全く賛成しない。強化、普及、育成、金銭、どれをとっても出場しない方がマイナスな気がする。「五輪を強化の場に使ってはならない」という言葉も重いのだけれど。確かに、現在の日本ジャンプ陣は大不振、目を覆うばかりの惨状である。長野の栄光はどこへ行ったか、今期W杯日本人最高成績は岡部の10位(2回)である。あとは予選通過するかどうか、2本目に進めるかどうか。ベテランの力は衰え、若手も積極的に登用してきたわりに伸びない。先の見えないどん底である。

日本ジャンプ陣の歴史は波が大きい。どん底状態は過去にもあった。88年カルガリー五輪の時、日本は団体最下位(13位)という屈辱を味わった。しかし、そこから90年代は栄光の歴史へと大転換したのだ。そのきっかけは、葛西、原田といった逸材が現れたというだけではない。スキージャンプの歴史的転換点、V字ジャンプ(今はこの言い方もしないか)の登場であった。

80年代後半、ボークレブというジャンパーがいた。飛距離はあるのだが、いつも飛型点が悪い。スキーが揃ってなく、開いてしまっているのだ。ボークレブはそんなことにはお構いなしにスキーを開いて飛び続けた。やがて誰もが気付く。V字にした方が飛距離が伸びるのだと。当時どん底にいた日本ジャンプ陣は世界のジャンプ上位国に先駆けてV字に取り組んだ。どん底なんだから失うものはない。V字習得こそが復活への道だと。逆にクラシックスタイル(これも今は言わない)で成績上位の選手はスタイルの変更にとまどった。理屈はわかるが長年染みついたスタイルを変えられるのかと。力学的にもV字の優位さがハッキリし、V字でも飛型点は減点しないとルール変更された時には世界のジャンプ勢力図は大きく変わっていた。日本は世界のトップレベルにまで上がってきたのである。やはり失うものがないというのはチャンスでもあるのだ。

長野オリンピックで栄光の頂点を再び極めた日本ジャンプ陣であったが、その後のスキー板の長さのルール変更後長期低迷している。ジャンプというのはルール変更一つで大きく勢力図が変わるのである。さて、日本ジャンプ陣の復活はいつか?

ところで、冒頭の記事を読んだとき「出場枠を使わないんならフィギュアに譲れ」と思ったのは私だけではないと思う。


posted by たじ |12:03 | スポーツ | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:どん底だからチャンス!?

あきらめなのか、潔さなのか

いずれにせよ選手には発奮してほしいですね

これから日本の勇姿みられるのは
スキージャンプペアだけですわ

posted by JPP| 2005-12-21 12:41

Re:どん底だからチャンス!?

>「五輪を強化の場に使ってはならない」
競技は違えど、サッカーに関してはオリンピックも強化の一過程であることは誰の目にも明らかですからねぇ。私見ですが、トリノへ選手を派遣できなければ、ジャンプの不振はより深刻な状態になりかねないように思います。

フィギュアもさることながら、スノボにも、どんなモンですか。(w

posted by アナベル | 2005-12-21 12:48

Re:どん底だからチャンス!?

幼いときに札幌五輪ジャンプ金メダルの感動を知っている私にとって冬季五輪に出場しないなんて考えられません。
大きな目標があるから多くの選手が努力しているのでしょう。
一番大きな目標であるオリンピック出場をやめたら、今後の日本ジャンプは衰退の一途をたどる可能性は少なくないと思います。

posted by まじっく | 2005-12-21 22:11

Re:どん底だからチャンス!?

>JPPさん
私はスキージャンプペアの2を持ってます。だいぶシリーズ増えたみたいですね。

>アナベルさん
スノボ盛り上がってるみたいですが、あんまり詳しくないんで・・。成田今井兄妹は知ってますけど。フィギュアの枠は3つあれば足りるので残り3つ持って下さい(笑)

>まじっくさん
真面目な話、出場しなければ衰退するでしょうね。実際は出場すると思いますけど。

posted by たじ| 2005-12-22 03:33

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