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2005年12月16日

サッカーのプロ契約に契約金がないのはなぜ?(前)

ようやく、契約更改の情報がちらほら入ってきました。ここでサッカーの契約に関してに関して以前から疑問に思っていたことを書いてみたいと思います。今回ちよっと長いので2回に分けます。

プロ野球では新人がプロとして契約する時に契約金が何千万だ、なんてことが話題になります。しかし、サッカーの場合、そういった話は聞きません。これはどうなっているのでしょうか。

そもそも、「契約金」とは何か、ということですが、その名称の如何にかかわらず、どういった性格のお金かということを考えなければなりません。プロ野球の場合、その選手との契約に関し、特定の球団が独占的に契約をできることになっています。その独占的に契約を出来る権利を得るための会議がドラフト会議です。この独占的に契約できる権利を「保有権」としましょう。この保有権は、ドラフト会議で指名しただけではその球団のものにはなりません。あくまで指名した当該選手とその球団との契約が成立した場合に、その球団がその選手の保有権を持つことになるわけです。そして、その保有権は選手が一定の基準を満たすまではその球団が保有し続けます。選手が一定の基準を満たすと、その選手はフリーエージェントとなり、他球団との契約が可能になります。フリーエージェントの選手は再契約金を受け取って同じ球団と契約するか、他球団と契約するかを選択できます。他球団と契約する場合は、新たに獲得する球団が、元所属していた球団に「移籍金」を支払うことになります。ここまで書くと契約金の性格がはっきりしてくるでしょう。つまり契約金とは「保有権の譲渡代金」です。また、「移籍金」も同じく「保有権の譲渡代金」です。

この保有権というのは理論上は原始的に本人に帰属しているものです。一部階級社会において職業選択の自由のない立場の人は保有権は本人に帰属していないかもしれませんが、日本においては、職業上の契約における保有権は原始的に本人に帰属しています。これは契約理論上、あらゆる職業に共通するものです。一般の職業では転職が自由にできますから、普通会社に入社しても契約金なんて存在しません。同業他社に転職することも基本的に自由です。ところが、特殊な業界においては、同業他社への転職が自由に出来ない仕組みになっています。それがプロ野球であったりプロサッカー(Jリーグ)であったりするわけです。これは、契約形態が異なるため生じていることかもしれません。雇用契約であれば本人が保有権を手放すことなく就業できます。ライバル会社への転職を制限する転職協業避止義務を定めた就業規則のある会社もありますが、法解釈上は無効と考えられていますし、判例でも反社会的、背信的行為がなければ同業他社への転職が阻害されることはありません。しかし、プロスポーツ選手の場合、個人事業としての契約、いわば業務委託契約ですから、労働基準法を当てはめることはできません。
もう一つ、業界内で互いに従業員の引き抜き行為を禁止し、同業他社への転職を妨げる競業避止協定というのもありますが、私見では独占禁止法による不法行為だと考えられます。しかし、プロ野球、Jリーグにおいてはこの競業避止協定によって選手の自由な移籍が困難となっています。これが是か非かは難しいところですが、現状そうなっているということで論を先に進めます。
(続く)


posted by たじ |11:02 | サッカー一般 | コメント(2) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:サッカーのプロ契約に契約金がないのはなぜ?

うーん。忘年会帰りの酔っぱらいには難しい話ですね。
でも、野球が(プロとして)何の実績もない選手に、契約金1億とか、年俸1千万とか出すのは不思議で仕方ありません。
経営が苦しい球団はいっぱいあるのに・・・・。
お金のあるチームに合わせないと選手が来ないということなのですかね。

posted by まじっく | 2005-12-16 21:40

Re:サッカーのプロ契約に契約金がないのはなぜ?

野球では新人に契約金1億とか、年俸1千万とか出せるのが不思議で仕方ありません。
経営が苦しい球団でも、お金のあるチームなみに出さないと選手はきてくれなんでしょうね。
でも最近のプロ野球はハングリー精神がなくて、みんなそこそこできて、イケメンだけど、だからどうしたという感じがしてなりません。
相撲にも言えますが、無骨で花は無くても応援したい選手がいないなあ。

posted by まじっく | 2005-12-16 21:51

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