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2006年03月13日

開幕の風景(後)

実はサポートシップスポンサーの招待券4枚のうち、前日になって1枚余ってしまった。どうしようかと悩んだのだが、自分で使うことにした。手元に置いていてもただの紙屑だが、ゲートをくぐれば入場者数にカウントされる。試合観戦といっても実際は試合終了後の営業に備えて、前半終了までにはドームを出なければならないのだが、とりあえずゲートをくぐることが重要だ。

キックオフの14時になり、店の前に「準備中」の札を出してドームに向かう。歩道橋の上から振り返ると、ほっと12の車は随分と彼方に見える。ほんの百数十メートルの距離。車から歩道橋を見ていたときはそれほど距離を感じていなかったのだが、逆に歩道橋から見ると本当に遠くに見える。「ああ、あんなに遠くにあるたこ焼き屋まで皆さん買いに来てくれているのだな」と改めて感じる。感謝感謝。

ドームに行ったもう一つの目的は、本日発売のCD「一度だけの今と/キョウメイ」を買うこと。HBCのコンサドーレ番組「ビバ ジョカトーレ」のエンディングテーマである「一度だけの今と」は大好きな曲だ。今回開幕戦で発売と聞いて、ぜひ買って、店頭のCDラジカセで流したい、試合終了時にはその曲と共に笑顔でお客様に会いたい、そんな期待をして、ドームのゲートをくぐった後、真っ先にグッズ売り場に向かった。

CDを購入して会場に入ったときは前半15分だった。久しぶりに試合時にドームに来て、スタンドを見渡すと結構人で埋まっているように見える。事前に入場者2万人を超えるという情報があったが、札幌ドームは広いので、どのくらい入っていたら2万人なのか見当がつかない。だいたいこれで2万人なのかなぁ、と納得する(結果は16858人、非常に残念)。SB席の中に空いている席を見つけて座った。試合は0-0と未だ動いていないが、ぱっと見コンサが優勢に試合を進めているようだ。

こうして試合に来ると、実に応援慣れしていない自分に気付く。SB席といっても、ホームゴール裏と連続しているエリアなので、基本的には多くの人がゴール裏のコールや歌に呼応しているのだが、普段コールしなれていない自分はスムーズに声が出ない。少しもどかしい。前半で店に戻らなければならないので、なんとか前半のうちに点取って欲しいと思っていたのだが、その願いは叶わず、0-0のまま前半終了。

早足でドームを後にして店に戻る。果たして、試合終了後は笑顔のお客様と会えるだろうか。私はTV付きの携帯電話を使っているので、後半は小さなテレビで観戦しながらたこ焼きを焼く。小さいし画質も悪いので、正直サッカーを見ても何をやっているのかよくわからないのだが、それでも、テレビ中継のない試合が最近は多いので、中継があるというだけでありがたいものだ。たこ焼きを焼きながら、なんとか1点入らないかと思っていたのだが、なかなか点が入らない。このまま引き分けで終わるのだろうかと思ったとき、試合は動いた。水戸のゴールで0-1。まさかと思った。失点する心配は実は全くしていなかったのだ。たこ焼きを焼く手も一瞬止まった。

結局この1点が決勝点となり、残念ながらコンサドーレのホーム初戦は黒星となってしまった。歩道橋に帰路につく人の波ができた頃、ほっと12も販売準備完了。購入したばかりのCDをリピート再生。「君が今追いかけてるその夢を私も一緒に追いかけていたいの」。この歌が切なく、胸一杯になって泣きそうになる。そのとき、曇り空からぽつぽつと雨が降ってきた。いつもこうだ。試合に負けると、お天道様も泣いているかのように雨が降ってくる。試合に負け、しかも冷たい風に雨も混じる。当然皆足取りは重い。それでも、たこ焼きを買いに来てくれるお客様はいるのだから、本当に有り難い。

「お疲れ様でした」
帰りのお客様には「お疲れ様でした」と声を掛ける。勝ったときなら弾んだ声で積極的に声をかけるのだが、負けたときは声のトーンも下がってしまう。お客様の試合の感想はいろいろだが、正直会話が重たい。笑顔で勝利の喜びを分かち合いたかったのだが、仕方ない。全ての試合に勝てるわけではないのだから。次こそ試合終了後に笑顔をお客様と分かち合いたいものだ。

今日はなんだか、負けたことに「怒り」や「悔しさ」よりも「悲しさ」ばかりを感じてしまう。どうしてうまくいかないんだろう・・・・。どうしてうちのチームはこうなんだろう・・・・。歩道橋にはもう人影かなくなっている。店じまいだ。店の片づけってこんなにも苦痛で長く感じられるものだったろうか。今まで何度でも経験している敗戦後の店じまいも、久しぶりだったので、とりわけ苦痛に感じる。いちだんと冷たい風が強くなり、ノボリやフラッグを回収し、提灯やのれんを下げる手も冷たくなってきた。荷物を全て車に積み込んでドアを閉める。「負けることだってあるさ。次だ次。気持ちの切り替えが大事だ」と繰り返し唱えながら車を走らせる。強がってポジティブな言葉を口にしても、自分に嘘はつけない。悲しみは隠せない。

もちろん、次の試合の時には意気揚々と、勝利を確信して営業しているほっと12の姿があることもわかっている。自分に嘘はつけない。


posted by たじ |10:59 | コンサドーレ | コメント(3) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:開幕の風景(後)

コメントありがとうございました☆
本当においしくて、たこ焼き友達と食べながら、
何回おいしいと言ったか分かりませんw
ぜひまた食べに行きますね♪

ところで、試合後に買いに来た女二人組みの一人が、
どうして私(ポップ)だとわかったんですかね?
それが気になって気になってそわそわしてます(笑)

ちなみに私は暢気さんのお名前を間違えて聞いたほうです!
これからもたこ焼き屋頑張って下さいo(*^-^*)o

posted by ポップ | 2006-03-13 15:08

Re:開幕の風景(後)

試合前に寄らせていただきました。
帰るときもついつい気になって車が見えた時はちょっとうれしかったです。
(ほんとは売り切れて早めに切り上げられる方がいいんでしょうけど)
また今度楽しみにしていますよ!

posted by まじっく | 2006-03-13 20:16

Re:開幕の風景(後)

>ポップさん
えーと、試合後に買いに来た若い女性で暢気さんの名前を間違えていた、ということで判定しました。
これからもぜひ来て下さいね。

>まじっくさん
ドーム側から見ると本当に遠くに見えますよね。
これからもぜひよろしくです。

posted by たじ| 2006-03-14 09:35

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