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2006年02月04日

【スター列伝】ロブソン

 昨季までの過去10シーズンにおいて、これまで札幌に在籍したことのあるコーチングスタッフ以外の外国籍選手は全部で31人。様々な国籍の選手たちが札幌でプレイしてきました。この31人の中には吉成大や徐暁飛らの立場上は助っ人ではない選手も含んでいますので、単純に「外国人選手=助っ人」と考えるわけにもいかないのですが、「外国人は宝くじみたいなもの」という岡田武史元監督の言葉通り、いわゆる「助っ人」として入団して期待通りに活躍した選手もいる一方で、全く役に立たなかった選手も決して少なくありませんでした。その「期待はずれ」の代表格といえば、古くからのサポーターは1999年のリカルジーニョ、ジネイ、クレーベルの3人が思い浮かぶでしょう。しかし、何しろ彼らの試合出場は最も多いリカルジーニョでさえ5試合で、クレーベルに至ってはたったの1試合しか出ていないというスーパーブラジル人です。6月を迎える前に退団したリカルジーニョの代わりにやってきたジネイも、加入直後の3試合でそのへっぽこっぷりを遺憾なく発揮したっきり二度と姿を見せなくなったため、1999年の後半からスタジアムに通い始めたオレは彼らを生で見たことがありません。そんなオレにとってもっとも印象深い「期待はずれ選手」が、今回取り上げるロブソンです。
 本名ロブソン・ルイス・ペレイラ・ダ・シウバ。1974年9月21日生まれで、1992年マツバラで選手生活をスタート。コリンチャンス、ゴイアス、ウニオン・レイリア(ポルトガル)など複数のクラブを渡り歩いたあと、1997年にロシアリーグ1部の強豪スパルタク・モスクワに移籍しました。そして2001年までの4シーズン半の間にリーグ戦102試合で32ゴールという成績を残し、2002年にコンサドーレ札幌にやってきました。経歴が間違っていなければ、マツバラでミールさんと一緒にプレイしているはずですね。

 ウィルという強力なストライカーの活躍でJ1残留を果たしながらも、そのエースの引き留めに失敗した札幌にとって、ウィルに替わる助っ人ストライカーの獲得は至上命題でした。その期待を負うべくやってきたのがこのロブソン。前年のロシアリーグで15ゴールを挙げ得点王に輝き、またクラブチーム最高峰の大会であるUEFAチャンピオンズリーグにも出場して2得点と実績充分。Jリーグに各国リーグの得点王がやってくるのは特に珍しい話ではないですけど、「チャンピオンズリーグ出場経験者」というのはそれほど多くありません。さらには当時ロシア代表の監督も兼ねていたスパルタク・モスクワのロマンツェフ監督が、ロシア代表のためにロブソンの帰化を要請していたという報道もあり、いわば「ロシア代表監督お墨付き」と言えるだけに、ロブソンはサポーターのみならずマスコミからも「大物」という扱いを受け、道内メディアはもちろん全国誌である「サッカーダイジェスト」でも、まだ開幕前だというのにインタビュー記事が組まれるほどの騒ぎでした。
 そんな感じですから、サポーターの期待はが高まるのも無理もない話でした。開幕前の練習試合で不発が続いても、ウィルがそうだったように太りすぎでコンディションが悪いためであり、コンディションさえ上がれば活躍するだろうと楽観視され、開幕前の宮崎キャンプでの阪南大学戦での初ゴールと、次の韓国チャンピオンの城南一和戦での計2得点だけで眠れる獅子が目覚めたと思ったものです。大きな希望はいつしか未だ見ぬロブソンを「ものすごい選手だ」と脳内補完してしまっていました。
 そのロブソンが、いよいよサンフレッチェ広島との開幕戦でヴェールを脱ぎました。183cm79kgという堂々たる体躯から繰り出される競り勝てない空中戦、2歩目の時点で相手DFに先回りされる一瞬のスピードを持ち、その黄金の右足から放たれるシュートは出し惜しみする奥ゆかしさ、磁石のN極とN極のような正確なトラップ…。ロブソンのあらゆるプレイに目を奪われたサポーターは、「なぁ、なんかあいつスゴくね? 別の意味で」「全ての能力が秀でてるぞ、マイナス方向に」「なんていうか、ゾック?」「いや、あれはザクタンクだ」などと大絶賛でした。
 開幕戦で広島の大勝の立役者となったロブソンは、次のベガルタ仙台戦でも90分間試合から消え続けるという、まさに1人だけ別次元のプレイを見せて仙台の勝利に貢献すると、第3節のジュビロ磐田戦でも異議と故意のハンドによる合わせ技一本で退場し、ここから一気に3点を奪って試合を決めた磐田へのナイスアシストを見せました。出場停止となった第4節の名古屋戦はロブソン不在の穴が大きく札幌が勝ってしまいましたが、出場停止明けの柏戦ではさすがのパフォーマンスで柏の快勝をお膳立てし、続く京都パープルサンガ戦でも京都のVゴール勝利を導きました。
 この間、ロブソンの能力に疑問を持ち始めていたあるサポーターが、海外のサイトでロブソンの経歴を調べてみると、「ロシアリーグ得点王」というふれこみは真っ赤なウソと判明。札幌にやってくる前年に挙げたゴールも15ゴールではなく11ゴールで、チーム得点王ではあるもののリーグ得点王を獲得した記録はありませんでした。オレも独自で調べてみたところ、練習しないロブソンにロマンツェフ監督がブチギレしたとか、相手選手にヒジ打ちをお見舞いして5試合出場停止を喰らったとか、相手選手と乱闘をおっぱじめたとか、その黒歴史が出てくる出てくる。素行に問題があるのはまぁいいとしても、それはきっちり結果を残してこその話。結局、京都戦のあとの柱谷哲二監督の「ロブソンには責任を取ってもらう」というあまりにも有名なセリフを最後に試合に出ることはなくなり、結局Jリーグでは1点も上げることができないまま、同年入団したDFマクサンドロと共に5月末にひっそりと退団しました。ロブソンに責任を取ってもらった柱谷監督も、後を追うように6月始めに解任されています。過去の経歴や肩書きがいかに無意味なものであるか、我々サポーターに教えてくれた選手でした。

 札幌を退団したあとのロブソンは、スパルタク・モスクワからのレンタル移籍だったにも関わらず、なぜかロシアには戻らずにフランス2部リーグのロリアンというチームに移籍しました。後日談として、札幌で活躍できなかったのはケガをして万全の状態じゃないまま試合に出ざるを得なかったからという話もありますが、そのロリアンでの成績は、3シーズン合計で72試合16ゴール(カップ戦含む)。助っ人としては少々物足りない成績と言わざるを得ず、あのまま札幌に残っていたとしても我々が期待していたような「エメやウィルと同じくらいの活躍」は望めなかったでしょう。Jリーグ1部とフランス2部リーグ、そしてロシア1部リーグの間にどのくらいのレベル差があるかはわかりませんが、スパルタクで活躍できたのは、イゴール・ティトフという優れたゲームメーカーがいたからかもしれませんね。ちなみに腹黒な元主将はロブソンについて、シーズン開幕前の時点で既に「ハズレ」と断言していたそうです。

 ところでロブソンは、どうやら昨シーズン限りでロリアンを退団しているようです。その後の行方は不明ですが、もし今季もプレイしていればグルノーブルに移籍した大黒将志との対戦があったかもしれないだけに残念ですね。


posted by choo |00:25 | スーパースター列伝 | コメント(4) | トラックバック(1)

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リンク増やしました。 【グルメでコンサ!!】

リンク増やしました。前々から増やそうと思っていたのですが、許可をとったりするのに時間かかるなと思って躊躇しておりました。それで、リンクさせていただいた皆さんに申し訳ありませんが、トラックバックでご連絡という方法をとらせていただきます。不都合がありましたら、大変申し訳ありませんが、こちらのブログまでご連絡ください。

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この記事に対するコメント一覧
Re:【スター列伝】ロブソン

そうだったんですか…「帰国する前には体もきれてて誰もとめられなかった」GK井上の話ですが、
別の意味できれてたのかな?そうとしか思えない

posted by アスパラほっき| 2006-02-04 21:16

Re:【スター列伝】ロブソン

まさに2002年のシーズンを象徴した選手でしたね…としか言いようのない選手だった…カタログスペックのよさそうな外国人助っ人、選手(+監督)を補強したものの…という…

posted by じゃがバター塩辛| 2006-02-05 01:23

ググッたら【スター列伝】ロブソン

コンサドーレに関してですが、以前スパルターク・モスクワに在籍し、コ
ンサドーレを経て今はフランス2部リーグのロリアンにいるロブソンとい
うブラジル人FWが、「スポルト・エクスプレス」紙のインタビューに対し
てこんなことを言っていました。コンサドーレではただ走り回ってボール
を蹴るだけのプリミティヴなサッカーがまかり通っていて少しも面白くな
かった。スパルタークはおろか、フランス2部リーグのチームにも遠く及
ばない、云々と。札幌で、何かやなことでもあったんですかね。
ロブソンにも言いたいことはあったんでしょうが・・。ね。

posted by 秒刊住人| 2006-02-07 18:35

Re:【スター列伝】ロブソン

もはや伝説とまでなった「**には責任をとってもらう」というセリフですが,その直前の紅白戦でキレキレの2ゴールを目撃した当人としては,ブチキレた哲二氏の精一杯の皮肉と,かように考えております.
「とにかくロブソンに集めろ」こう指示を出した白恋の紅白戦,
しぶしぶながらもメンバーが従ったとたんの2ゴールでした.
にもかかわらず,室蘭の本番では知らんぷりのプレイヤー,
いったい誰が,それとも何がそうさせたんでしょうかねぇ.
本人以外の全員を敵にするわけにもいかない,せめてものウサ晴らしだったカモ.
まあ,サイドからの揺さぶりを苦手とする守護神や,リベロならともかく屈強であることを要求されるCBではイマイチのDFが,
4バックに対してレジスタンスした,そうは言いませんけどねぇ..

posted by kanpa| 2006-02-08 23:48

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