2006年07月15日

コンサドーレ札幌前半戦検証「変えた監督の一言」

コンサドーレ札幌前半戦検証「変えた監督の一言」
 (後編)

 1つのミスから、コンサドーレ札幌の迷走は始まった。6年ぶりの首位を懸けた4月22日のホーム柏戦。FWフッキが退場した後半ロスタイム、DF曽田のトラップミスから、まさかの逆転を許した。チームはこの試合から出口の見えない真っ暗なトンネルでもがき始めた。
 ミスや失敗は誰にもあるが、選手に気持ちをリセットする強い精神力はなかった。この試合からイージーミスを恐れ、自分勝手なプレーが目立ち、負け続けた。10節まで9試合6失点の守備陣は、柏戦(11節)から20節までで9試合22失点。ある選手は「試合中に他の選手がミスをすると『何をやってんだよ』と言ったこともある」と話した。
 ピッチ上での話し合いは減り、責任転嫁するまで窮地に追い込まれた。ポジション別の議論はあるが、選手全体での打開策を練る本格的なミーティングは1度もなかった。柳下監督は「ハーフタイムで好き勝手言い合い、起こったことだけを振り返っていれば『シャラップ』と言って止めたこともある」と言う。コミュニケーション不足が泥沼を脱出できない要因だった。
 しかし、意外なところから状況は好転した。10戦連続未勝利の状況下で柳下監督の進退問題が浮上。選手間でも衝撃が走った。FWフッキは「監督は悪くない。自分たちが悪いしみんなの問題」と動揺を隠せなかった。他クラブ監督の交代劇も相次いだことも、追い打ちをかけた。しかし、9戦未勝利となった山形戦の翌日6月4日、柳下監督が「自分からは辞めない」と報道陣に発言したことで、選手たちの心配は消えた。
 就任3年目の監督の今年に懸ける強い意志が選手のハートを揺れ動かし、ベクトルの向きは確実に変わった。シーズン途中の即戦力補強、大胆な起用方法などのカンフル剤はなかったが、チーム全体の雰囲気は監督の一言で変わり、未勝利の泥沼から脱出した。









posted by dome123 |00:48 | コンサ | コメント(0) | トラックバック(0)

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