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2005年11月08日

【スター列伝】田渕龍二

 というわけで「スーパースター列伝」、記念すべき第1回目を飾る選手といえば、この人しかいないでしょう。田渕龍二です。「どーせ1発目は俺王様なんだろ?」とか思っていた方もいらっしゃるかと思いますが、田渕です。なぜ田渕かって言われても、だって好きなんだもん。

 徳島県出身で徳島商高から1991年に大塚製薬(現徳島ヴォルティス)に入団し、1997年にコンサドーレ札幌に移籍してきた田渕は、2003年にヴィッセル神戸に移籍するまでの7年間、右サイドのレギュラーとして出場し続けました。そのプレイスタイルはまさしく「いぶし銀」という言葉がよく似合い、そのプレイスタイル同様本人も一言で言えば「職人」。それも、ススキノの雑居ビルで炉端焼き屋を営み、無口で客には愛想がないが腕は一流、普段は頑固だが家族には優しい父親ってタイプの職人でした。ここまでいってすんなりと「コロポックリ」という単語が頭に浮かんだ方、そんなあなたはけっこうトシですので気をつけてください。ちなみにオレは東京に出てきた時、高田馬場の栄通が実在したことに感動して「ルブラン」という店を探したりしましたけど当然田渕とは関係ありません。

 さて、田渕の最大の武器といえば、やはり「トラップ」でしょうか。マジでこの田渕のトラップは芸術品でした。オレがサポーターとして札幌の試合を見始めた1999年から田渕が退団するまでの4年間、田渕がトラップミスをしたシーンなんてほとんど見たことがありません。マジでトラップだけなら日本代表クラスと言っても過言ではなかったと思います(どっちかというと過言)。田渕のもっとも印象に残るゴールといえば、やはり2000年7月29日、厚別での浦和レッズ戦の同点ゴールなんですが、このゴールもエメルソンからの鬼のような愛のないサイドチェンジパスをぴったり止め、トラップ後のボールを狙っていた浦和DFが飛び込めずにいたところ一瞬で交わして左足で叩き込んだというものでした。終了間際の大森健作のゴールと共に伝説となったこのゴールも、そのトラップが生んだようなものです。まぁ、結局このゴールがプロ最後のゴールとなったんですけどね。
 あと印象に残っているプレイといえば、2001年5月19日の磐田スタジアム(現ヤマハスタジアム)でのジュビロ磐田戦でしょうか。この試合、当時無敵を誇っていた磐田に対し、後半に和波智広のゴールで先制した札幌がロスタイムまでそのリードを守っていたわけですが、その和波のゴールをアシストしたのが田渕でした。アウミールからの「行ってこいロングパス」に追いつき、そのまま上げたクロスが逆サイドからぶっ飛んできた和波がヘディングで決めています。直前まで自陣で守備をしており、「いるはずのない場所」に現れた和波も見事だったのですけど、田渕のクロスももう「ここしかない」という見事なものでした。ただこれ以外にも多くのアシストを決めているハズなんですけど、何でか知らんけどこれ以外のアシストが記憶にないくらい守備的なイメージの強い選手なんですよね。
 しかしその後は年齢的な衰えもあったのかスピードに陰りが見え始め、得意だったはずのディフェンスでも1対1で置いて行かれるシーンが多く目に付くようになります。結局2002年シーズンを最後にコンサドーレを構想外となったのを最後にいったんは現役を退きます。しかし翌2003年に路木龍次が引退して右サイドの出来る選手が足りなくなったヴィッセル神戸に入団。リーグ戦、カップ戦計16試合に出場しましたがオフに構想外となり、プロ生活にピリオドを打ちました。
 その後は故郷徳島で自動車教習所の教官を務める傍ら、大塚クラブというアマチュアクラブでサッカーを続けており、今年の国体にも徳島県選抜として出場していました。東京都選抜に6点喰らって負けちゃったみたいですけど。

 その在籍期間の長さや浦和戦での一世一代の大仕事もあってかその存在感は絶大で、オレは今でも「コンサドーレ札幌の背番号2」といえば真っ先に俺達のモリ…いや田渕を思い出してしまいます。


posted by choo |02:27 | スーパースター列伝 | コメント(13) | トラックバック(2)