2009年12月04日

EPISODE.9 - 髙原 寿康

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「リアルに引退も意識した」というあの頃。
手を差しのべてくれたのが、
コンサドーレだった。

本格的にGKをやるようになったのは高校生になってから。
Jリーグでプレーする他のGKに比べれば、
間違いなく遅い方になるだろう。


「中学3年で岐阜県選抜に選ばれた時に、少しGKをやっていたんですよ。
でも、学校のチームではフィールドプレーヤーなのに、
GKとして県選抜に選ばれるという不思議な立場だったんです(笑)。
なかなか珍しいケースだったと思いますよ。
そして高校に入ってからはGK一本でやっていくことになりました」


現代サッカーにおけるGKのポジションでは、ゴールを守るだけではなく、
後方からのビルドアップにも積極的に参加するということも求められてきている。
手を使ったプレーのみならず、足下のプレーにも安定した技術が
求められるということだ。その意味では左足でのキックを武器に
最終ラインさらにはMFとのパス交換ができる髙原は、
モダンフットボールさらには、ボールポゼッションを重視する
石崎信弘監督のサッカーにフィットするGKだと言っていいだろう。


「フィードやビルドアップは『得意』というよりも『好き』という
表現のほうが正しいかもしれませんね。ただ、イシさん(石崎監督)の
戦術はすごくボクに合っていると思います。
『(パスを)つなげられる場面は出来るだけつなげ』
と求めてくれていますから、自分の武器が生きる戦術だと感じています」


しかし、その「武器」をプロ選手として観衆の前で自信を持って
アピールするまでには、険しい道のりが待っていた。
03年、ジュビロ磐田でプロデビューを果たした試合では
「プロのスピードにまだまだついていけず」大量失点。
05年から期限付き移籍でコンサドーレに加入し2シーズンをプレーするも
怪我に悩まされる日々が長く続き、思うように結果を残せなかった。
そうして移籍期間は終了するのだが、同じタイミングで所属元である
ジュビロからも契約非更新を告げられてしまうのだった。
つまり、行き場をなくしてしまったのである。


「正直、あのときはサッカーを続けるかどうか悩みましたね。
引退もリアルに考えました。
怪我もしていて、トライアウトすら受けられる状態になかったですし。
精神的にも苦しかったですね」


そうしたなかで再び救いの手を差しのべてくれたのがコンサドーレだった。
07年シーズン開幕前のキャンプに練習生としてチームに加わり、
そして正式契約へとつながった。
「本当に、コンサドーレが拾ってくれていなかったら
どうなっていたかわからないですよね・・・。
だから、このチームに懸ける想いは強いですよ20091204-02.jpg

「色んな人に助けてもらいながら、
なんとかプロとして戦っている」。
その実感が大きな支えだった。

もちろん、練習生の立場から再出発をした選手がそう簡単に
試合出場を果たせるほど、プロの世界は甘くない。
ましてやGKというのは1人しか試合に出ることのできないポジションである。
我慢の日々は再び長く続いた。


「自分は試合に出られないからといってモチベーションを
落とすタイプではないと思っているんですよ。もちろん、
苛立ちなど精神面の波がなかったわけではありません。
だけど、試合に出られないというのは自分の力が不足しているからであって、
それを乗り越えるには練習を重ねていくしか方法はありませんから」
結果としてこの09年シーズンの途中まで、丸2シーズン以上も
試合出場から遠ざかることになった。
「いつクビになってもおかしくない」、そう思いながら毎日を過ごしていた。
でも、視線はいつも前向きだった。


「不安は常にありました。
でも、思い返してみると、以前の自分は怪我ばかりしていて、
思うようにサッカーをすることができない時期がすごく長かったんですよ。
だから試合に出られなくても、まずは怪我なくサッカーが出来ていることに
喜びを感じながらトレーニングを続けていました。
怪我がなかなか治らずに苦しんでいる選手はたくさんいるし、
プロになりたくてもなれない選手だってたくさんいる。
そう考えると、僕は本当に色んな人に助けてもらいながら
何とかプロの世界で戦えている、その実感が大きな支えになりましたね」


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そして、我慢の日々を見事に跳ね返した。
現在では正GKとして、自分の武器を存分に発揮しながら
さらなる成長を続けている。

「試合に出られない時間は長かったですが、そこでしっかりと
練習を重ねてきたという自信はありました。
そして同時に、試合になかなか出られないことで
GKというポジションの難しさも身に染みましたね。
試合に出られるチャンスは本当に僅かしかない。
ですから今でも「ミスをしたらまた以前の立場に戻ってしまうぞ」と
自分にプレッシャーをかけながら日々を過ごしています」

試合に出られない日々は長く厳しいものだった。
でも、その時間が自分を強くした。
その実感が、今日の髙原を支えている。
苦しい日々を跳ね返したのと同じように、
これからも髙原は敵のシュートを跳ね返し続けるのだろう。


【髙原選手からの RE:】
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『シュートストップ』

Name : 髙原 寿康 [Toshiyasu TAKAHARA]
Age  : 29
From : GIFU
Number : 21
Position : GK
 


posted by s_interv |18:30 | トラックバック(1)

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