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2008年04月26日

aftertalk #43

CONSAISM clasics #43でした。この話をしても、いまだに誰も信じてくれないのがちょっと寂しい。ホントだったんだってば!

札幌に帰ってからも歩くのは好きだった。大学時代に川沿いを歩いてよく帰っていたときから、東京の街と海辺を歩き、遠征で歩き、そして札幌に帰ってきたときは必ず札幌駅から大通駅まで歩いて(もしくはその逆)町並みというかテナントの入れ替わりを見ながら歩くのが恒例だった。今では仕事の帰りに地下鉄一駅ぶん歩いたり、休みのときはぶらっと散歩したりしている。散歩ってのは頭が空っぽになるので良い。仕事でオーバーヒートした頭も、少し歩くことで冷却されて寝付きが良くなったりするので。そうやってぶらっと歩いていた時に遭遇したのをこの回では書いている。

イバンチェビッチは札幌をサルベージできないまま、わずかな期間で去ってしまったということもあって余り評価のされていない監督なんだけど、個人的には好きな監督だったし、それなりの評価をしたいと思う。あれだけボロボロにされたチームを戦術的に整備して、ある程度の目処をつけて戦えるところまで戻したというのは「できるだけのことはやった」という個人的な意見を出したい。あれ以上のことをやるにはクラブ自体の体力も足りなかったところがある。もちろん、それで「降格して当然」みたいな考え方なんてのはなかった。与えられた条件と、選手と、ファンが一体になって乗り越えるべき、地方の小さなクラブの壁なんだと思ってわくわくしていたくらいだ。夏のアウェー神戸で「イバンチェ!イバンチェ!」とコールをしたら、ベンチに座っていたイバンチェビッチが飛び出してきて、僕らの陣取るゴール裏に向けてぶんぶんと手を振ってくれた。それだけでものすごく親近感がわいてきて、この監督と一緒に戦うんだ!という意識がものすごく強くなった。ベストメンバーを組んで、そこからいけるところまで行く、という戦術も納得できたし、それによって控えに能力のある選手がいなくなるというのもわかってはいた。それでもイバンチェビッチのやり方について行こうと腹をくくっていたんだけど、それ以上に強化しなければいけない部分(主に戦力の獲得的な部分で)の壁があまりにも高くて成し遂げることはできなかった、そのうえでの「No idea.」という発言だったのだろうと思っている。

でもあのときの光景ははっきりと今でも覚えている。外に面したカウンター席で、コーチのボージョビッチとともになにごとか熱く語っていたのを。それを歩道から、僕は見ていた。思わず駈け寄り、こう伝えたかった。「あなたを信じている」と。「大丈夫だ、僕はあなたを応援している」と。
イバンチェビッチは今、セルビアリーグ1部の「FK Smederevo」の監督を務めている。彼が日本のことを思い出すとき、どんな感情を持って思い出すのだろうか。

posted by retreat |00:31 | aftertalk | コメント(0) | トラックバック(0)