2008年02月25日

CONSAISM clasics #25

clasics #25です。文体チェンジとリーグ再開直前の、ちょっと短めなヒマネタ。


 以前札幌の自宅に帰った時に、せっかく一家そろったのだからどこかに食べに行こうという話になり、自宅から歩いて5分ほどのところにあるイタリア料理店に入りました。そこは自分の通った高校のすぐ裏手で、もうその店が開店してから数年は経っているでしょうか、今までに何回か行った事があります。
 そのときはちょうど2,3年ぶりに店に入ったので、いろんなところが少しずつ変わっていてそんなところを見渡しながら夕食をとっていました。料理は昔食べた味と変わらずおいしく、サーヴィスや店のスタッフの人たちの人柄も変わらず暖かく、自分たちは十分に満足して食後のコーヒーを飲んでいたとき、店の白い壁の一角に見たことのなかったサインが書かれていることに気がつきました。
 サインの主は「Takeshi Okada」、岡田前監督のものです。日付を見ると「2001.12.17」と、ちょうどコンサドーレの監督を退任した頃のものでした。
 お店の人に話を聞いてみると、この日に岡田さんはごく親しい知人やお世話になった人たちを招待し、パーティを開いて感謝の意を表し、その後その様子も収めたアルバムを配ったという事でした。サインの上にはその日のメニューが、これも岡田さんの直筆で壁に書かれています。イタリア語はほとんど理解できない自分ですが、それでもいい素材をいい料理法で食べられたんだな、ということがよくわかるほどの内容でした。それにしても有名人が自分の店に来たときに色紙にサインを書いてもらって壁に飾っていたりするのはよく目にしますが、壁に直接書いてもらうというのはちょっと珍しいのではないでしょうか。ちなみにその隣には、知人に配ったものらしいアルバムの一ページを切り取って貼り付けてあり、そこにはコックの服に身を包んだ岡田さんとそのお子さんが手にサーモンを持って、壁のサインを背景に写真に写っています。その表情はとても柔らかで、監督とい重圧から解き放たれた安心感や、一つの仕事を終えた充実感のようなものが見ていて伝わって来たのと同時に、札幌という土地が岡田さんを受け入れ、励ましてきたその土地の暖かさというか、そんなものも同時に感じる事ができました。
 その後岡田さんが退任し、期待を持って迎えられた柱谷新監督は解任という結果に終わり、現在はイバンチェビッチ新監督の下でJリーグ再開へ向けてトレーニングを積んでいます。果たしてイバンチェビッチ新監督が岡田さんのように広くサポーターに受け入れられるかどうかというのは、余所者を暖かく迎える北海道人としての気質だけによるものだけではないと思います。新監督が記者会見で「自分の役目はこのチームを一部に残留させる事だ」と語ったように、勝利と残留という結果も伴わなければ札幌という土地に受け入れられたとは言いづらいのではないでしょうか。そしてその結果を残すために、自分たちは今このチームを支えていかなければならないと思うのです。ゴール裏だけでなく、街全体でこのチームを支えて、みんなで盛り上げて行かなければならないのではないでしょうか。札幌にはまだワールドカップの記憶が残っています。その記憶や熱気を、今度はコンサドーレのために注げたらいいな、なんてことを考えています。そして岡田さんと同じように、あの店の壁にサインをして欲しいなんて勝手な事を考えています。

posted by retreat |23:26 | classics | コメント(0) | トラックバック(0)

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