スポンサーリンク

2010年02月07日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  019

練習が急遽休みになった日の翌日。

登校したヒィは、

教室でクラスメイトのスミちゃんから話しかけられる。

「ねえねえ、キー君のお兄ちゃんいなくなっちゃったんだって?」

「えっ!?い、いや知らないけど・・・」

マサ先輩がいなくなったって、

どういうことだろう。

「昨日、休み時間に突然出ていっちゃったみたいよ」

「そ、そうなの?・・・」

それで昨日は練習が休みになったのか。

どうしてマサ先輩はいなくなっちゃったんだろう。

休み時間にキー君のクラスの様子を見てみた。

キー君は休んでいるようだった。

そして放課後、

今日も練習は休みだった。

サッカー部の3年生と、

マサ先輩のクラスメイトは街の中を捜索するとのことだった。

5月の後半、

外で過ごすにはまだあまりにも寒い北海道だった。


beat91.com

posted by beat91 |23:42 | あの頃オレ達アホだった | コメント(2) | トラックバック(0)

2010年02月06日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  018

自宅での勉強は眠くて眠くて手につかず、

机に向かっても数分であきらめる日が何度か続いた。

こりゃムリだ。

けどラジカセ欲しいなぁ・・・

ヒィは気持ちを切り替えて、

夜は10時に就寝し、

たっぷり睡眠を取り、

毎日の授業に集中することにして、

授業中は必死にノートを取ることにした。

そんなある日、

授業を終えてサッカー部室に行くと、

キャプテンのガシ先輩がもう来ていた。

けれど学生服のままだ。

「お、ヒィ。今日は練習中止だ。おとなしく家に帰れ。

2年には伝えてあるから、1年にはお前が伝えてくれ」

「は・・・はい」

そういうガシ先輩の表情には元気がない。

そのうち他の3年生も部室に集まって来て、

なにやら話し合っている。

ヒィは部室の外で、やって来る1年生部員にそれぞれ、

今日の練習は休みだと伝え、

自分も学校を出た。

練習もそんきょもないのはうれしいけれど、

3年生達の表情になにか違和感を覚え不安な気持ちが胸に痞えていた。


beat91.com

posted by beat91 |12:03 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月04日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  017

普段の日の練習は、

夕方6時過ぎ頃に終わり、

部室に戻ってから、

今日の反省という名の1年生イジメが始まる。

大抵は15~30分のそんきょをやらされ、

足もフラつき、

夜7時半過ぎにようやく帰ることができた。

自転車に乗り、

途中まで同じ方向のキー君と別れてからは、

一人ぼっちで田舎の暗闇を走る。

その帰り道は何だか怖くていつも大声で歌いながら帰った。

ヒィがよく歌っていたのが、

シャネルズのランナウェイ。

そして、そのランナウェイをCM曲にした、

パイオニアのラジカセ「ランナウェイ」がたまらなく欲しかった。
runaway


価格は79800円。

とても小遣いを貯めて帰る金額では無い。

帰宅して夕食、風呂の後、

恐る恐る父にラジカセが欲しいと言ってみた。

もう少しでボーナス時期だし、

もしかしたら・・・

父はこう言った。

「次のテストで30番以内なら買ってやる」

「さ・・・30番・・・」

ヒィの通うR中学の1年生は270人もいる。

前回の中間テストは67番だった。

部活やりながら37番も順位を上げなければいけないのか・・・

ヒィはため息をつきながらも、

机に向かう。

ランナウェイ欲しいなぁ・・・


beat91.com


posted by beat91 |21:25 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月03日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  016

5月中旬の日曜日。

H町からH中学校が遠征してきて、

R中グラウンドでの練習試合となった。

H中は、まだサッカー部が無く、

同好会として活動していて、

来年からの正式活動を目指す、

1年生主体のチームだった。

なかには野球のスパイクを履いて参加している選手もいた。

もちろん3年生主体のR中が負けるはずも無かったが、

思ったより点差は開かず3対0の勝利。

ヒロユキ先生は、ヒィ達1年生に、

「来年、再来年、あいつらと戦うんだぞ。

あいつら強くなるぞ」

と言った。

しかしH中の面々との戦いは、

来年再来年どころか、

その後もずっと続くことになるとは、

この時はまったく思って、

いなかった・・・


beat91.com

posted by beat91 |23:05 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月03日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  015

すごく大きな人だった。

その態度から1年生ではないとすぐにわかり、

ヒィは挨拶した。

サカイ先輩、2年生。

冬季間はスキー部の選手として活動し、

ゴールデンウィークを過ぎ、

スキーシーズンが終了してサッカー部に復帰。

今シーズン初めての練習に参加したのだった。

サカイ先輩は、3年生と同じように、

また、それ以上にサッカーが上手くて、

力強かった。

そして怖い・・・

3年生は12人いて、

そのうち1人は今年になって入部した初心者なので、

その人は最初からベンチ要員。

サカイ先輩がレギュラーに入ると、

3年生のうちもう1人が落ちることになる。

3年生の練習中の顔つきも真剣みを帯びてきたのだった・・・


beat91.com

posted by beat91 |11:48 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月02日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  014

ゴールデンウィークも終わったある日の練習前。

キャプテンのガシ先輩が、

ヒィ、マサキ、ガンゼの1年生3人を呼びつける。

何か悪いことしただろうか?・・・

ヒィは不安になる。

「お前らちょっとジャンケンしてみろ」

ガシ先輩が命じる。

負けたヤツそんきょとか言われたらイヤだなぁ・・・

たぶん3人ともそんな心境でジャンケンをした。

一発でヒィが勝ってしまう。

あぁ・・・どうなるんだろう?

不安げな顔つきでガシ先輩に、

「自分が勝ちました」と報告する。

「おう、ヒィか。これやるよ」

と言って手渡されたのは、

PUMAの白地に青いライン、襟付きのゲームシャツだった。

「俺にはもう小さくなっちゃったからさ。

体型見てお前ら3人ならちょうどイイと思ってな」

その時、1年生でゲームシャツを持っていたのは、

3年生のマサ先輩を兄に持つキー君だけで、

みんな学校指定のジャージで練習していた。

「ありがとうございます!」

「うん、今日も頑張れよ」

もっとも、ヒィはゲームシャツを貰った嬉しさよりも、

そんきょなどと言われなかった安心感の方が大きかったのだけれど。

でも初めてのゲームシャツは一生忘れられない1着となった。


beat91.com

posted by beat91 |11:22 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月01日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  013

ゴールデンウィーク、

初めての練習試合が行われた。

相手はK中。

R中サッカー部は3年生の人数が12名。

2年生8名、1年生15名。

この日は全て3年生が出場した。

FWのタケ先輩の2ゴールなどもあり、

3-0でK中に圧勝。

幸先の良いシーズンのスタートだった。

ただ、ゴールデンウィークといえど、

まだ寒い北海道北部。

1年生は寒さに震えながら観戦していたのだけれど、

そこはまだ子供。

数名が退屈と寒さから、

そこらを走り回って遊びだし、

試合後、学校に戻っってから、

しっかり1年生全員そんきょさせられてしまうのだった・・・


beat91.com

posted by beat91 |21:26 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年02月01日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  012

草や木々も少しづつ緑に色づいてくる4月後半。

放課後の練習が始まる前に、

1年生のマサキと2年生のソエジマ先輩が、

グラウンドに座り込み、

なにやら話している。

ソエジマ先輩は手に小枝を持ち、

地面になにか書きながらマサキに説明しているようだ。

なんだろ?

練習の動きとか説明してるのかな?

いや、言っちゃ悪いけど、

ソエジマ先輩は俺たち1年と同レベルくらいヘタクソだし・・・

「おーい、ヒィ、こっち来いよ。面白いぞー!」

マサキがヒィを呼んだ。

ヒィは駆け寄り地面を覗き込む。

何が書いてあるのかよくわからなかった。

ソエジマ先輩が説明を始める・・・

・・・・・・

それは女性の身体の構造だった。

あっという間に他の1年生も群がる。

ソエジマ先輩は、

サッカーの時のツラそうな顔とは別人のように、

得意げに説明する。

こうして1年生は、

サッカーだけではなく、

色々なことを部活で学んでいくのだった。


beat91.com

posted by beat91 |11:03 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年01月31日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  011

練習時間の1/3は球拾いで楽をしているとはいえ、

ついこの間まで小学生だったヒィ達1年生が、

上級生と同じフィジカルトレーニングはキツいものがあった。

新卒で赴任したサッカー部顧問のヒロユキ先生は容赦無い。

特にツラかったのが「永遠ダッシュ」と呼ばれる、

ゴールラインからハーフラインまでのダッシュ。

折り返しはジョギングでこれを繰り返す。

通常は日によって10~50本だったのだけれど、

ヒロユキ先生が本数を言わない時は、

先生の気分次第。

1~2時間続くこともある。

いつ終わってくれるのかわからず、

永遠に続くような気分になるから永遠ダッシュ。

この日だけは、

グラウンドの反対側に見える、

特にたいした動きの無い野球部の練習がうらやましく思えた。


ただ、3年生もさすがに疲れるのか、

永遠ダッシュの日はそんきょも無く早く帰れるのだった。


beat91.com

posted by beat91 |10:35 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年01月30日

あの頃オレ達アホだった History in the 80's  010

練習始めのアップのランニング中、

サイドステップやクロスステップ、

スキップなども組み入れられている。

けれど、

スキップができないのが3年生のマサ先輩。

同じ足を2度つけばいいだけなのだれど、

何をどうやってもうまくいかない。

しかし、1年生はそれを見て笑うと、

また練習後のそんきょの時間が長くなるので、

こみあげる笑いを必死にかみ殺す。

マサ先輩の弟は、

同じサッカー部でヒィの同級生のキー君。

キー君によると、

子供の頃からスキップはまったくできなかったそうで・・・

マサ先輩のスキップは、

ただ滞空時間の長いジョギングでしかない。

マサ先輩、

お願いですからスキップできるようになってください・・・


beat91.com

posted by beat91 |11:11 | あの頃オレ達アホだった | コメント(0) | トラックバック(0)