2008年02月07日
『敗因と』
アルセウ退団ですか・・・。 とにかくチームの一体感を作る上で大切なこの時期。 キャンプ中の退団なんて前代未聞ですが、シーズン中の契約解除よりはマシ と思った方が良いのでしょうか? さて、今日ご紹介したいのは ジーコジャパンのチーム内崩壊について語られた本です。 チーム「一体感」の重要性について、これ程考えさせられた本はありません。 『敗因と』 金子達仁・戸塚啓・木崎伸也 / 光文社 / 1,500円+税 (コチラもご参考にどうぞ) 2006年ワールドカップを「グループリーグ敗退」という結果で国民の期待を 見事に裏切ってくれたジーコジャパン。 表紙の日の丸の写真は、クロアチア戦を3日後に控えボン市内の日本食レストランに集まった 選手達のサインが書かれたものですが、中田ヒデの号令で結束を深めるための晩餐席上にも 関わらず、実は数名のサインが書かれていなかったという事実は既に有名でしょうか。 実際のところは、この席上に限ってはとても盛り上がり雰囲気は最高に良かったとのこと。 サインを書けなかったのには別の事情があったようです。 ただ、三浦アツがこんな感じの興味深いコメントを残しています。 みんながひとつの目標に向かって同じ方向を目指して、「よっしゃ、行くぞ!」ってなった時にはね、例えば誰かがかわされても、事前に万が一抜かれたらってことを考えるものなんですよ。 そうしたら身体が30センチそっちへ動いているもの。 ただ、その人との関係がうまくいっていない、好きじゃないっていう感じだと「お前、取れよ!」みたいなことになる。 逆に30センチ離れたり。 そういうことって、けっこうあるんですよ。 逆にすごい仲のいいヤツがボールを取られたら、奪ったろう、取り返したろうって思う。 削られたら、「ふざけんな!」って相手チームのとこに行く。 試合中は仲良しとか、仲が悪いとかは関係ないって言われるけど、それはもちろん分かるんだけど、身体の反応ってそういうところが出るんですよ。 ご存知の方も多いとは思いますが、彼は最終予選バーレーン戦前のミーティング席上でも年長者として真っ先に発言を求められ、良いスピーチを残しています。 控でありながらもチーム最優先ということを常に考え、頼れる存在でした。 その彼をしてもこの発言なのです。 結局、チーム結成からブラジル戦での敗戦まで、こんな雰囲気がチーム内に充満していて、 一度や二度の決起会では修復できないものになっていた、というのがこの本の見解です。 海外組と国内組 黄金世代と中田ヒデ 先発組と控組 攻撃陣と守備陣 わけが分からぬまま手探り状態のままでワールドカップ予選が進み、 いつの間にか集団心理の罠にはまり、お互いの溝が生まれていく。 加えて、日本のメディアの都合で2試合が炎天下の15:00にキックオフという事態。 まさに「勝てるはずがなかった」というわけです。 随分と個人名が出てきて、ある特定の選手のファンの方にとってはショックを受ける 記述も見られるでしょう。 逆に、ある選手に関しては、我々が想像し得なかった良い面が語られています。 あくまで私見ですが、今の代表メンバーには中田浩二の存在は欠かせないと思います。 代表チームの一体感を作るためには彼が必要です。 この本を読んでそういう気持ちにさせられました。 ※著作権法等を考慮し、一部当初の記述を変更させていただきました。