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2008年04月02日

CONSAISM clasics #37

clasics #37です。時間は一気に進んで2003年3月、開幕直前の回。


気がつけばあっという間に1月も2月も過ぎて、今年のシーズン開幕までの時間はもうわずかになってしまった。今年も選手達は札幌を離れ、オーストラリアや鹿児島や宮崎や、遠く離れた空の下で一年戦うための力を身につけ蓄えている。札幌のチームであっても札幌にはしばらく戻らない、今年も変わらぬジプシーのような合宿生活が続いている。
自分自身はというと、サッカーを生観戦することのないここ2ヶ月はなんだかんだいってやっぱり退屈なもので、2月になって開催されたA3マツダチャンピオンシップには尻尾を振って飛びつく犬のように国立競技場へ行き、普段見られない韓国や中国のチームのプレイを堪能し、鹿島の一層迫力を増したディフェンスラインに驚嘆した。秋田のあの強さは人智を越えたものになったんじゃないかなんて一瞬本当に思う。けれど2月の風は寒くて、自分は寒さに震える犬のような感覚で2試合を見てしまったのだけれど、それはそれで風邪さえひかなければプレシーズンの興趣の一つではある。そうして他のチームの試合を見ながら「札幌の仕上がり具合はどうだろう」とか、「今年の新外国人は当たりだろうか」とか、「ウィルは今年誰を蹴るのだろう」とか適当につらつら思ってしまうのもこの時期ならではの妄想でもある。
そうして3月になり、雪も風も日差しも柔らかくなり、首に巻くマフラーがいい加減うっとうしくなる頃にやっとリーグの開幕がやってくる。東京で、静岡で、大阪で、九州で、そして札幌で。そう、チームが出来て初めてのホーム開幕である。札幌ドームという場所が出来て、初めてその恩恵とにあずかることが出来る。この嬉しさは他のチームのファンには理解できないかもしれないが、とんでもなく嬉しいことなのだ。
ご存じの通りいままで札幌はホームで開幕を迎えた事がない。96年の福島に始まり水戸、清水、大分、鳥栖、長居、広島と、この時季は雪国チームのハンディを背負って戦う季節でもある。そして札幌のファンはそれをごく普通のこととして受け止めてきた。何試合かを(立地という点では)アウェイで戦い、そこでスタートダッシュを決めたりいきなり大失速したりしながらも北海道に戻ってくる。室蘭に、厚別に、そしてドームに。その季節が近づくたびにみんな我知らず高揚し、胸躍らせる。今まで見たくて見たくてたまらなかったチームの姿を、今日このホームでやっと見ることが出来る。その年初めてのホームは、そんな気持ちの爆発が選手達を迎え、札幌でしか味わえない興奮がピッチを包む。そんな光景は見ていて気持ちよく、晴れがましく、またチームへの自分の気持ちというものを再確認できる場所でもある。
それが今年は最初からホームでの試合になる。今までアウェイでしか開幕を迎えたことのない人間にとって、その日がどんなものになるかは正直想像もつかない。けれどそれはどうしようもなく嬉しい日になるだろう。7年分ホームでシーズン最初のキックオフを迎えていない分の気持ちが、そこに表れるのだろうから。そうして、その気持ちがずうっと続けばいいと思う。フットボールに我を忘れ、コンサドーレに我を忘れ、そのことをとてつもなく幸せだと思える週末が、ずっと。
今年の春の訪れは今までより少し早い。けれども、それを実りの秋にできるかどうかはこれからの戦い方次第だ。雪未だ融けぬ札幌の街で、緑のピッチが萌えるように映えるその日が、赤と黒の週末が、また今年も僕らを待っている。

posted by retreat |23:48 | classics | コメント(0) | トラックバック(0)