スポンサーリンク

2008年11月09日

三浦監督の辞任発表について。

今日は長くなりますが、ご容赦ください。
尚、今日の記事は、私の思っていることをただただ書いただけです。


コンサドーレ札幌 三浦 俊也監督退任に関するコメント2008年11月08日

矢萩社長の意向は恐らく、三浦監督続投であると何となくは感じていた。
ちょっとあからさまな道新の記事などを見て、そうではないかと推測していた。
それに、そもそも、監督を代える気なら、もっと早いタイミングで代えていたであろうし、
それから考えても、一番の優先順位は、三浦監督だと思っていた。

で、実際、そうだったようだ。

それをもって矢萩社長を、経営の素人という人もいるが、素人だったらそんなことはしない。
自分の責任を逃れて、監督に全てを押し付けて解雇し、新しい監督を据える方がよっぽど楽だ。

そして、J2降格が決定した後、三浦監督に続投要請を本気でしていた。
普通の社長なら、今季途中で就任したにもかかわらず、そんなことはしない。
三浦監督続投を本気で要請していた私が言うのもおかしいが、それは断言できる。
札幌の事情をよくわかっている。それでいて、敢えて三浦監督続投を要請したということは、
再び遠くない将来、J1再昇格を狙うことを意味する。
だから、社長は、エレベーターチームでも良いと思っているのではないか。
(以前、この論を展開していた人物がいたのだが、その人が矢萩さんだったりと思うときもある。)

この一件を通じて、少なくても私は、矢萩社長は今までの社長より期待できると感じている。
なぜなら、少なくても、自らの信念もあるし、サッカーについても素人ではないと感じさせるからだ。





さて、私が、なぜ、クライトンと三浦監督。ゾーンディフェンスを考える。
を書いた上で、更に来季も三浦監督続投希望。キャンペーンを張ったかといえば、
ある程度周到なキャンペーンでも張らなければ、誰も納得させられないような状況だと感じていた。
それくらい厳しい状況だという認識はあった。正直、もっと四面楚歌になることも想定していた。
そして、私は今季負け続けた結果を監督だけの責任に転嫁して終わらせてしまうことが、
札幌の今後のために一番良くないという考えが根本にあった。

逆説的になるが、要請している本人が、続投の可能性が最も低いと思っていた。
だから、三浦監督が今季最後まで勤め、尚且つ、来季のことも多少なりとも
迷っていてくれたことに実は驚き、感謝もしている。

なぜなら、この苦しい状況で、監督を続け今季を最後までまっとうすることが、
どれだけ精神的にきついかを考えれば、ある意味、拷問に近いとも思っていたからだ。

本当に、それだけでも感嘆に値する。その上で、更に来季もとなると
その精神的なプレッシャーたるや想像できない。
相当このチームに思い入れでもなければ、今季最後までまっとうし、
それだけでもすごいのに、さらに、来季も指揮を執るというような判断はしない。

それをわかった上で、合理的な男の時に起こる合理的ではない判断に賭けるしかないと思っていた。
だから、多少なりとも三浦監督が迷ってくれたことに、
このどうしようもないチームのことを真剣に考えてくれていたことを感じた。


【J1:第31節 札幌 vs 浦和】三浦俊也監督(札幌)記者会見コメント [ J's GOAL ]
(※長いが、該当部を全文掲載することにする。)


そして、ゲーム以外のところでひとつお話したいことがありまして、今シーズンを持ってチームの方を離れたいと思います。辞任したいと思います。まずは、この素晴らしいサポーターの前で2シーズン監督ができたということを非常に感謝しています。まず、経緯というものをお話させていただくと、8月の時点でなかなか勝てない時期が続き、やや降格も考えなければならないのかなというタイミングでクラブの方からは『今シーズンは監督を代えるつもりはないので、最後までやってほしい』という話しをされました。そのことに関しては、それではどういう状況になろうとも、最後までやりますという話しをしました。それから、17位以下が決まってからはクラブの方からは矢萩社長、三上強化部長、村野GMから来シーズン続投して欲しいというお話をいただきました。それについてはあまり考えていなかったので、少し整理して考えてみたいという答えをしました。まあ、それは決して続投ありきというものではなくて、単純にどうなのかな、ということで少し時間をもらいました。クラブの方も、充分な補強費用をかけられずに申し訳ないというお話をしてくれましてが、自分の方としては昨年もそうですが、選手の人権費用というのはすべて教えてもらっていましたし、それをわかった上で今季は残留を目標にしたわけですから、クラブに対してはわだかまりはありませんし、辞任の理由ということについていうと、唯一、結果が出なかったからということになります。社長以下、フロントスタッフには良くしていただきましたし、コーチングスタッフとの関係においてもまったく問題はなかったですし、本当の話を言えば、もう少しここでやりたいくらい、愛着のわいたクラブだと思っています。ただ、勝てない時期が長くなってしまい、そういう意味でリセットした方がいいのかなと思い、昨日、矢萩社長と三上強化部長に辞任の意向を伝え、了承してもらいました」
(※引用終了。)



実は、このコメントの中に、「選手」との信頼関係についてだけは触れられていなかった。
恐らく、これが辞任の最大の理由なのではないかと私は推測している。

選手からの信頼を感じられなければ、実際、来季以降、指揮を執ることは難しい。
サッカーは、監督がするのではない、選手がするのだから。

そして、選手と監督の信頼関係ばかりは、現場に居なければわからない。
でも、だからといって、選手を非難する気にもなれない。
人は簡単に他人に強さを求めるが、人間とは、それほど強い生き物ではない。




私は素直に三浦監督には感謝を示したい。例え今季、ぶっちぎりの最下位で降格を決めたとしても、
昨季、J2で優勝し、J1に昇格したことは、決して悪いことでも非難されることでもない。

確かに、J1に上がらなければこんな苦しい思いをすることはなかったかもしれない。
しかし、上がらなければ我々はJ1の厳しさを忘れてしまっていたことだろう。
万年J2のチームに、J1の厳しさを教えてくれた。

これが高い代償であったのか、安い代償であったかは、残された人間が今後どうするかで決まる。
今季の経験を絶対に活かさねばならない。
この経験を活かせず諦めた人間が、本当の意味で私は負け犬だと思っている。


そして、三浦監督の戦術は、本当に合理的だった。
だから、解明していくことにその合理性を垣間見ることが出来て、楽しかった。
私の戦術理解も深まった(笑)。
出来れば色々と話も聞いてみたかった・・・。
曽田選手が、以前、監督のサッカーはつまらないといわれるが、
奥が深いというようなことを書いていたが、今は私もそうだと思う(笑)。


偶然見つけてしまった2000年当時の三浦監督のインタビュー記事。
イタリア通信103:<番外編その1>三浦監督 ドイツ仕込みのアウトサイダー(07.2000)

その内容は、是非読んで欲しいのだが、今の監督とは180度違うようにも感じる。
しかし、今に至る三浦監督の葛藤を考えると、監督が常々語っていた、
「勝ってくれとしかいわれたことがない。」
という言葉に重みを感じることも出来る。
プロは結果が全て。そのことも教えてくれた気がする。


また、三浦監督は、プロサッカー選手としての実績がないにもかかわらず、
夢を諦めきれず教員を辞めて、単身ドイツに乗り込んでいってコーチングライセンスをとった男である。
そして、時には、通訳もこなし、与えられたチャンスをものにして
今のサッカーチームの監督という自らの夢であった地位を築いた男でもある。
単純に、それだけでもすごいし、尊敬できる。
私には、その生き方は、その戦術とあいまって現インテル監督のモウリーニョと被る時もある。


まだ、3試合残っているので、終わった時にまた改めて書こうと思うが、

ありがとう三浦監督。

posted by whiteowl |14:13 | Private Affairs (私事) | コメント(6) | トラックバック(0)