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2008年10月22日

札幌とセビージャ(セビリア)FC。

今の札幌の状態を見ると私には思い出す一つのクラブがある。

それは、現在、スペインリーグ1部のセビージャFC(セビリア)だ。
2006-2007シーズンこそ、コパ・デル・レイを優勝(国王杯。日本でいうと天皇杯)、
リーグ戦を3位で終わるような強豪だが(※2007-2008シーズンは、5位。)、
以前は、2部に降格することも多い、正にエレベーターチームだった。(※下記表参照。)

スペイン南部アンダルシア地方にあるセビージャは、
(Sevillaの"ll"の発音の違いでセビリア、セビーリャとも呼ばれる。)
人口約70万人でスペイン第4の都市。
スペイン南部の政治、経済、文化の中心地であり、観光都市である。


そして、ちょうど2001年、セビージャFCが2部から1部に上がった年、
私はセビージャに行ったことがある。いい思い出もたくさんある街だ。

基本的に、スペイン人とはサッカーが好きだと仲良くなれる(笑)。
スペイン語がつたなくても、とりあえずスペイン代表選手の名前を並べると、
お前、日本人なのによく知ってるな!という顔をされて、握手を求められ抱きつかれる(笑)。
その時もそんな感じで、現地の人とサッカーの話で盛り上がった。

ただ、その当時、セビージャの人たちが異口同音に言うのは、セビージャは地方都市で、
金が無いから、今回1部に上がってもまたいつか落ちるだろうさという非常にさめたものだった。
スペイン南部のアンダルシア地方の人は暖かい気候もあってかスペインの中でも陽気な気質なのだが、
地元のサッカーチームに対しては、とにかくネガティブで、現実的だった(笑)。
この人たち、バル(バー)で話している分には、しおらしいのだが、
スタジアムに行くとかなり豹変する(笑)。
(※サッカーを見たいといったら、マドリッドみたいな都会と違って危ないから、
怪我をしたくなかったら、スタジアムには近寄るな!とすら言われました・・・(・・;))

この諦めにも似た雰囲気、だけど、サポーターは熱い。そう、どこかで見た光景なのだ(笑)。


さて、その熱いサポに支えられるもパッとしなかったセビージャFC。
実は、2001年に1部に昇格してから2部に降格していない。
(※下記表参照。その前は、昇格と降格を繰り返している。)
昔はエレベーターチームの代表格みたいに言われたが、
近年は、降格するどころか、強豪と呼ばれるクラブになっている。


○近年のセビージャFCのスペインリーグでの成績
(※プリメーラは1部、セグンダは2部の意味。)

1996-1997 プリメーラ・ディビシオン  20位
1997-1998 セグンダ・ディビシオン  7位
1998-1999 セグンダ・ディビシオン  4位
1999-2000 プリメーラ・ディビシオン 20位
2000-2001 セグンダ・ディビシオン  1位
2001-2002 プリメーラ・ディビシオン  8位
2002-2003 プリメーラ・ディビシオン 10位
2003-2004 プリメーラ・ディビシオン  6位
2004-2005 プリメーラ・ディビシオン  6位
2005-2006 プリメーラ・ディビシオン  5位
2006-2007 プリメーラ・ディビシオン  3位
2007-2008 プリメーラ・ディビシオン  5位

セビージャFC 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


転機になったのは、2002年に弁護士として活躍していたデル・ニド氏が、
セビージャFCの会長に就任したことによるとされている。

ただし、セビージャFCは、スペインでも屈指の下部組織を持つことでも有名である。
マルチェナ(スペイン代表 バレンシア)、レジェス(元スペイン代表 ベンフィカ)、
セルヒオ・ラモス(スペイン代表 レアル・マドリッド)、ケパ(ヘタフェ)、
ヘスス・ナバス(セビージャ)、ディエゴ・カペル(セビージャ)など
現所属を見ればわかるように、主力をビッグクラブに次々に引っこ抜かれても、
有望な若手選手を次々に輩出している。

そこで、実力はあるが、あまり移籍金のかからないお買い得の選手をスカウトし、
そこに自ら育成した若手選手を組み合わせることで、資金をかけずに
ビッグクラブに対抗できる強力なチームを作り上げることに成功したとされる。


セビージャの人口は、190万人といわれる札幌の半分以下。(アンダルシア州は、約780万人。)
そして、スペインでも経済的に貧しい地域とされる。
スペインは、サッカーが国技のようなところがあるので、単純に真似は出来ないが、
札幌にも可能性があると思わせてくれる事例である。


セビージャFCが示す、お金のない地方都市のクラブが成功するための一つのポイントは、
『下部組織の充実と優秀なスカウトの確保』だ。
これが長期的なチーム強化の視点に立ったときに、最も重要かつ堅実な路線だろう。
有能な若手を引っこ抜かれても、ビッグクラブから移籍金をせしめて
次々と有望な若手を育成して輩出する。そういう強かさが必要だ。


札幌の村野GMが進める育成路線は、このセビージャFCの例を見ても
地方のクラブが強くなるために、決して間違った方向性ではないと思う。

だから、私は、村野GMを支持するし、頑張って欲しい。
札幌を是非日本のセビージャにして欲しいと願っている。

posted by whiteowl |12:28 | HFCの経営を考える | コメント(2) | トラックバック(1)