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2008年10月01日

ゾーンディフェンスを考える。 -その2-

よく、『人に付くのがマンツーマンディフェンス。地域を守るのがゾーンディフェンス』
という表現のされ方をしますが、ゾーンディフェンスを考える。 -その1-では、
ゾーンといえども、ボール保持者(ボールホルダー)を
自由にしてはいけないということに触れました。


しかし、ゾーンディフェンスを考える上で、様々な誤解があるようなので
予定を変更して今回はまずそこを整理していきたいと思います。

現代サッカーでは、基本的にマンツーマンディフェンスをしているチームはありません。
マンツーマンディフェンスは、常に特定の相手選手に1対1で付くディフェンスの方法です。
例えば、芳賀が試合中ずっとFC東京のFWの赤嶺に付く(をマークする)。
これをマンツーマン(マンマーク)ディフェンスといい、現在も相手の危険な選手に対して、
このように特定のマーカー(マークする人)を付けることはあります。
(※例であって、実際の試合ではしていません。)

しかし、現代サッカーは、選手のアスリート能力が向上し、
以前と比べて運動量が各段に増えたため、
マンツーマンでは相手選手に付ききれなくなったといわれています。
特に、スペースへ走りこむ選手へのパスをマンツーマンで付くことが難しいのです。
そのため、危険なスペースに人を配置して、そこを相手に使われないようにする
というのが基本的な考え方であるゾーンディフェンスが有効とされています。
従って、どんなチームも普通、ゾーンディフェンスをしています。


3バックは、マンツーマンだという言説もよく見受けますが、あれもゾーンです。
前のストッパーの二人がゾーンで守備をして、
後方のスイーパーがカバーリングをしています。(※下図参照)
確かに、ストッパーは相手FWをマークすることが多いですが、
四六時中相手FWに付いているわけではなく自分のゾーンに来た時だけマークします。

◎図(3バックの守り方)


 ●(ストッパー(ゾーン))  ●(ストッパー(ゾーン))

        ●(スイーパーorリベロ(カバーリング))

        ●(ゴールキーパー)


ですから、マークの受け渡しが発生した時点で、それはマンツーマンではなくて、
ゾーンです。ボールホルダー(ボール保持者)が移動して守備エリア(ゾーン)が、
変わったのでマーカーも変わったのです。


しかし、ゾーンであっても自分の守備範囲では相手とは1対1の状況ですから、
その範囲では、相手を止める、ボールを奪うとマンツーマンとすることは変わりません。
ゾーンだから、スペースを埋めることが重要で相手を
素通りさせても良いということにはなりません。


冒頭の『マンツーマンは人、ゾーンは地域。』というイメージが一般的に強いために、
誤解している人が多いようですが、ゾーンだから地域優先で相手をマークしなくて良い
ということにはなりません。この言葉は確かにマンツーマンとゾーンの違いを
端的に表していますが、ゾーンだろうがマンツーマンだろうが、
人に対して人が付いてしっかりディフェンスしなければ相手を止められません。
そこのところはどんな戦術を用いたとしても変わりません。


参考:
ゾーンディフェンス マンツーマンディフェンス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



前回、マンツーマンとゾーンのメリット、デメリットという予告でしたが、
それはまた次回ということで・・・。

あと、三浦監督の求めるゾーンが特殊なのかという話ですが、その話もいずれしたいと思います。
ただ、三浦監督の戦術は、現イタリアセリエAインターミラノ(インテル)監督のモウリーニョが、
チェルシー時代にやっていた戦術に似ていて、その後、一般的に広まった戦術であり、
三浦監督の戦術が特別であると私は思っていません。

posted by whiteowl |13:12 | Tactics (戦術) | コメント(4) | トラックバック(1)