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2006年08月16日

高校野球を見て「だから札幌も諦めるな」と言うだけで良いのか?

 代表戦のレビューは別なところに書きましたから。このブログの性格を考えて、札幌関係の話題優先でいきます。

 夏の甲子園の真っ最中です。巷では駒大苫小牧の3連覇に注目が集まっています。3回戦の逆転勝ちは確かに見事でした。6点差を諦めずに詰めていき、9回に勝ち越しを許したにもかかわらず最後は豪快にひっくり返してしまいました。
 で、これを受けて、「札幌の選手も諦めるな」というメッセージを発する方が幾人もおられます。確かにその通りです。彼らは諦めなかったから試合をひっくり返すことが出来た。それは一つの真実です。が、今大会に限らず高校野球において多く見られる「劇的な逆転」の背景には、負けた側に「高校生ゆえの試合運びの拙さ」が存在することもまた事実です。
 例えば、駒大苫小牧が青森山田に勝利した試合。9回裏の中沢選手の本塁打は、それはそれは素晴らしいバッティングでした。あんな打ち方、プロでもそうお目にかかれるものではありません。逆に青森山田の立場から言えば何一つミスはしていない。事故でした。ここで冷静さを保てれば同点でくい止めることも出来たのではないでしょうか。今年の駒大苫小牧は野球が荒く、守備にミスも多い。延長に持ち込めばチャンスは十分にあった。しかし気落ちした直後に連打を許し、試合を失ってしまいました。
 今これを書いているのも、日大山形が今治西を相手に延長13回に2点差をひっくり返して逆転勝ちした試合に触発されたからですが、この試合もバッテリーエラーや走者に無警戒で何度も盗塁を許すなどの要素が重なり、実態は「今治西が動揺してミスを繰り返しピンチを広げ、優位を保てなかった」というものでした。

 私は「だから高校野球はレベルが低い」とか「札幌も高校生レベル」とか言っているのではありません。そうではなくて、「勝つために必要なこと」と同時に「負けを招いている要因」も一緒に考えておかなければいけないんじゃないか、と言いたいわけです。少なくとも私が目にした甲子園の試合では、劇的な逆転勝ちを収めたチームが「諦めなかった」一方で逆転負けを喫したチームが「諦めた」とは見えなかったからです。ピンチを迎えて冷静さを保てなくなったこと、概ねこれが最大の要因であるように思えます。


 とすれば、我々がここから本当に学ぶべき(というより今一度思い出すべき)ことは何か?

 プロフにあるように、私は子供の頃から甲子園に通い詰めることの出来る環境にいました。画面を見ていても感じることが出来ますが、球場にいるとより痛感するのが「高校野球におけるアルプススタンドの持つ力の大きさ」です。主に攻撃側のみが応援を行う野球においては、たった一人のランナー、たった一度の守備側のミスがスタンドのうねりを呼び、それが押せ押せのムードを作る…、こんなことが特に高校野球では頻繁に起こります。早実の「紺碧の空」なんか相手にとっては耳障りで仕方がないと思いますよ。

 「劇的な逆転勝ち」から我々が真に学ぶべきはここんところなのではないでしょうか。選手が諦めているように見えるから自分も諦めますか?「自分たち自身が諦めていない選手をただ見ているだけで勝利の歓びに浸る」ってのは、何ともリスクの少ない、お気楽な見方じゃないですか。「折れそうになる選手を励まして一緒に勝ちをつかむ」。青臭いかも知れないけれど、そういう心構えで。何でもいいから一緒につかもう。

posted by tottomi |22:12 | コンサドーレ | コメント(6) | トラックバック(1)