2006年07月10日
日本代表とJクラブと-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(1)
ワールドカップ2006・ドイツ大会は、イタリアの優勝で幕を閉じました。グループリーグ・決勝トーナメントともに大きな波乱はなく、準々決勝以降はいずれも力のある国同士の見応えのある試合でした。 正直、大会を総括するのはおこがましいほど見ている試合は少ない(衛星を見られないため。ガッデム!)ので、これまで書いていた断片的な感想をもとに、札幌と関係のありそうなことを中心に無理矢理つなげて書いてみたいと思います。 ワールドカップを見るにあたって、自国の代表が出ているのといないのとでは気持ちの入れようが違います。大会前は盛り上がっていなかったのですが、やはり代表の戦いぶりには注目せざるを得ませんでした。結果はまさに惨敗。選手達が言っているように自分たちの持ち味を出すことができず、ほとんど印象を残すことなく大会を去りました。以前も言ったように彼らが現時点での日本サッカー界の頂点ですから、彼らが敗れたということは、我々も敗れたということだと思っています、私は。 代表とJリーグ。マジョリティとマイノリティみたいに比較されることの多い両者ですが、Jリーグが代表への最も大きな選手供給源であることは間違いないのですから、リーグの底上げが代表強化につながると信じて、各クラブのサポーターはより一層自分のチームを力強くサポートしていく必要があると思います。 しかし、次期代表監督人事をめぐる騒動を見るにつけ、肝心の当事者、つまり協会関係者の間にどれだけそうした意識が共有されているのか、甚だ疑問です。会長の失言はトップの人間にあるまじき失態だし、何より今大会の責任問題がこの失言で、いや、それ以前の情報リーク(注:オシムが代表監督候補であるという情報は失言よりも前に報じられていたはずです。)でうやむやにされてしまったことには納得いきません。現在、ネット上ではJリーグ各クラブのサポーターを中心に会長辞任要求運動が展開されているようです。どれほどの規模になるかは分かりませんが、協会とクラブの関係を再考するきっかけになることを期待しています。 もう一つ、監督問題に関係して。千葉を愚弄するような経緯はひとまず措くとして、「Jリーグクラブの監督(経験者)から代表監督を選ぶ」という流れは今後継続していって欲しいと思います。やはり日本のサッカーをある程度知っている人間の方が務めやすいという面はある。いつの大会でもそうですが、強豪国は自国の優秀な監督を何人も持っています。ブラジルはパヘイラに自国の代表を任せる一方、ポルトガルにフェリペを輸出するなど、人材は豊富です。まだまだ遠いですが、日本もそうなって欲しいと願ってやみません。 その点からも、五輪代表監督に就任する予定の反町康治氏には大いに期待しています。今大会ではNHKの解説を務めていましたが、しばしば各国の23歳以下の選手に言及しており、言外に「日本もこの年代がフル代表に食い込んでくるようでないとダメだ」という認識が込められているように感じられました。選手もさることながら、私は指導者も世界レベルになっていって欲しいという考えを持っており、反町氏をはじめとした若手がこれからどこで働き、どういうチームを作っていくか非常に興味深いものがあります。もちろん柳下もそうした興味の対象です。いずれ彼とは別れなければならない時が来るのですから、その時には「チーム共々より大きな舞台にステップアップして行く」という形での別れになって欲しいな、と思います。
代表の力とは、選手だけで決まるのではなく、協会・自国のリーグの総合力(競技レベルのみならず人気・社会への浸透度・サポーターの熱意など)・ユース年代からの一貫したビジョンを持った指導力などが全て反映されたものだと思います。今大会で見えた「日本代表とJリーグの関係」。リーグの底上げを通じて代表を強化し、一方でまず代表ありきという協会の姿勢の是非を問い、また長期的視野に立った指導及び指導者の育成が必要だというのが、とりあえず私が思いついた「今大会の教訓その1」です。 「ワールドカップ2006閉幕に思う諸々」、第二回はワールドカップの試合から考える札幌のサッカーについて、第三回はスポンサー・マスコミについて、第四回は印象に残った選手について書くかも知れないし書かないかも知れません。いずれにせよすぐには書けません。水曜日は柏戦だし。
posted by tottomi |23:59 | サッカー全般 | コメント(2) | トラックバック(1)