2006年05月30日
監督に関する雑纂(1)
代表は明日(現地時間30日)、ワールドカップに向けた実質最後の親善試合・ドイツ戦を迎えます。 国内合宿で選手の面通しとフィジカルトレーニングを積んだ代表は、ドイツに入ってから国内でやらなかったセットプレーを皮切りに戦術的なトレーニングを重ねているようです。そんな中、またぞろマスコミが騒ぎ始めました。曰く「攻撃陣と守備陣の意見に食い違い」等々…。どうやら守備について意見が割れているようです。 サッカーにおいては複数の選手が相手ボール保持者にプレッシャーを掛け奪うことをプレスあるいはプレッシングといいます。プレスを掛ける際にはできるだけ狭いエリアに相手を追い込むことが必要です。鬼ごっこで広場の隅っこに追い込んでいくと捕まえやすいのと同じですね。ですからDFラインから前線(FW)までの距離が近いほどプレスは掛かりやすいわけです。つまり、チーム全体での意思疎通と約束事の徹底がなされていないと成立しないわけで、例えばFWが前の方でボールを追っかけてもそれが約束事で決められたエリアでなければ周りの選手が一緒になってプレスを掛けることはできません。 で、代表は今、「どこからプレスを掛けるか」で議論しているわけです。中田・高原はできるだけ前から行きたい、前で取ると相手ゴールに近いですからね。逆にあまり前に行きすぎるとDFラインの背後に大きなスペースができてしまい、そこを一気につかれると失点の危険が大きい。これを嫌っているのが宮本達で、まず自陣の深いところにDFラインを設定して、リスクを回避しようという考え方です。昨日からにわかにこの話題が出てきたわけですが、まるでチームぐるみで今夜のNHKスペシャルの番組宣伝やっているみたいです(笑 面白いのは、本番直前でもやはりジーコは「見~て~る~だ~け~」を貫いていることです。 ジーコの指導方針については、「何も言わない」「選手任せ」という評価が一般的であり、それは選手に自由を与えると共に責任を持って考えさせるためだと言われています。本番直前になってもこの方針は変えないようです。好意的に解釈すると、「どうせ結論は同じになるんだから一度選手達で考えて、やってみて、痛い目に遭ってみてからでいいんじゃない?」と考えているふしがあります。この一見すると回り道に見えるやり方が、日本人には違和感を感じさせるのでしょう。この人、「肝心なところで負けない運を持っている」とか言われますが、そうじゃなくて「肝心なところのことしか考えていない(=そこに至る過程においては結果は全く気にしない)」んだと思います。半期ごとにノルマのあるようなサラリーマンには絶対なれない人ですね。 ですから今回も最終的にドイツ戦で上手く行かなくても、内容を見て何らかの方針を選手達あるいはジーコが出し、それに向けて意思の統一ができていけば問題ないのかな、と思っています。 何だか最近急にジーコ擁護派になったように思われるかも知れませんが、それでも戦術面のルーズさや代表の年齢構成・世代交代について不満があるのは変わりありません。ただ大会直前にそんなこと言っても仕方がないので、今はポジティブに代表を見ようと努めているだけです。
posted by tottomi |21:42 | サッカー全般 | コメント(4) | トラックバック(1)