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2006年05月12日

もう一つの「聖地」-甲子園巡礼(4)

 甲子園観戦記。今日で終わりです。

 さてこちらの写真。阪神の応援の特徴の一つとして「統制のとれた応援」というのがあります。NHKかどこかでやっていたのですが、阪神の応援団は伝言ゲームのように応援の指示を素早く球場全体に伝えるノウハウを持っています。この写真の中央、立っている女性がこのエリアの「コールリーダー」です。試合前に

「GWということでたくさん来ていただいてありがとうございます。今日は三連戦の初戦、しかも相手は宿敵巨人。この試合に勝つためには是非とも皆さんのお力が必要です。ご声援、よろしくお願いします」

みたいなことを言うと、客席、メガホンを叩いて呼応。正直この時点では叩く音もまばらで、「アレ、こんなモンだったかな?まぁ、内野席(札幌で言うところのSA席)だからな」とちょっと思っていましたが…。


 彼女が左を向いているのは、ライトスタンドの本隊から隣のアルプススタンドを通じて伝えられるサインを見るためです。指一本だとコレ、二本だとアレ、というようにコールが決まっているようです。時には本隊を直接見ていることもあったみたいです。序盤は外野寄り、試合が進むにつれて本塁寄りに位置を変えていました。外野に近いエリアを「暖めて」から、それを徐々に広げていこうという考えのようですね。

 さすがだな、と思ったのは「ここ一番での盛り上がり方」です。
 この試合、流れが変わったのは6回裏。阪神が5本のヒットで同点に追いついた場面でした。この時のスタンドの様子がこちら。

攻撃開始時。普通に座っていますが…



チャンス到来と見るやコレ。メガホンだけではなく大声で歌っている人もたくさんいます。外野の声ともバッチリ合っています。繰り返しますがココ、SA席相当です。

 試合の勘所を知っているな、という印象です。それまで阪神はいいところなしでしたが、この回を境に雰囲気が一変しました。試合を見る力、流れを変えさせる力。これが歴史の重みかな、と思います。



 私は「これを真似しろ!」とか、そういうことを言うつもりは毛頭ありません。そもそも違う競技の話です。「統制」も、野球は打者が打席に入るのに合わせて声を出し始めることが出来るから可能なことだし、メガホンを使っているから声を出すよりも気軽に応援に参加できますし。6回裏のボルテージの上がり方だって、ランナーが出ればチャンスだってことぐらい、あまり野球を知らない人だって何となく分かります。

 ただ言えるのは、彼らはここ一番ではビックリするぐらい試合に集中していました。
 序盤は、談笑する人もいれば「何してんねん!」「どこ見とんねん審判!」とか言う人もちらほら。ちらほらです、ネガ発言は。それもつぶやく程度。今の阪神は強いから余裕があるというのも理由でしょうが、それにしても意外なほど少なかった。先ほどの6回裏を境にそういう声はほとんどなくなりました。
 その一方で、便所で「さっきのフォアボールが…」とか検討をしているオジさんがいっぱい。さすがしっかり試合を見ているな、と感心しました。


 それともう一つ。彼らは楽しそうです。写真は7回裏、ラッキーセブン恒例の風船飛ばし。大の大人がピ~ピ~なる風船を一生懸命ふくらませる姿は何だか笑えます、私を含めて。多分、これだけは負けてても楽しそうにやるのではないでしょうか。
 また、選手を盛り上げるのが上手いだけでなく、自分たちがおだてられるのも上手です(笑)。この試合ではないのですが、4日の試合、打球がベースに当たるラッキーなサヨナラ打を放った矢野選手はお立ち台で一言言うたびに「ベースに当たったのは皆さんのおかげです」「応援ありがとうございます」みたいなことをしれっと言うんですね(「おかげ」なわけがないw)。それに対しスタンドからは「ウォー!」という歓声。お互いが欲しているものを分かり合っている、という感じです。



 まぁ最後はとりとめもなくなってしまいましたが、「こういう世界があるんだ」ということだけでも伝われば、と思った次第です。ウチのスタンドも次の10年でどのように醸成されてゆくのか、その一員として見てゆきたいと思います。ビールをこぼすオッサンにはならないように気をつけます(笑


posted by tottomi |23:25 | その他 | コメント(2) | トラックバック(1)