2007年04月30日
私的な戯言――雪道の歩き方
バスからゆっくりと降りた老婆が杖を突いて歩き出す。 その杖の先は金属で尖っていた。すこしでも冬道に滑らず歩けるよう、杖の先に錐状の金具を取り付けている。 こういった金具をここ何年かでよく目にするようになった。錐のようでなくても、スパイクのようなものを取り付けて歩いている人もいる。みんな、雪道に足をとられないようにしているのだ。そういえば僕の子供の頃も、滑り止めのついた靴を履いていた。靴底に折りたたみ式のスパイクがついていて、4つついてたら「4WD」なんて名前をつけて売られていた。当時の子供たちにとってはそんな冬靴が憧れだった。雪道でどんなに遊んでも滑らないことが誇らしかった。 あの頃より確実に雪は少なくなり、ある程度除雪のできている街に住んではいるが、湯道で滑ることは何十年たっても相変わらずだ。でこぼこに氷の張った歩道の上をおそるおそる進んでゆく。ずるっと滑りそうになるところで踏ん張って体を支え、次の一歩を踏み出す。こうして歩き続けていて、やっと冬道の歩き方にコツのようなものを見つけることができたのは最近のことだ。
posted by ishimori |23:47 | miscellany | コメント(0) | トラックバック(1)