2005年12月01日
見上げてごらん夜の星を
コンサドーレ以外で再近気にしているニュースがある。といっても世間をにぎわしている耐震強度偽造うんぬんという話ではなく(このニュースにはそろそろ聞き飽きたなあ)、日本の打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」への着陸、そして試料採取に成功したというニュースである。この探査機は2003年5月に打ち上げられ、2005年9月に「イトカワ」へ到着。今回の科学的観測と試料採取ののちに「イトカワ」を離れ、2007年夏に試料を詰めた再突入カプセルを分離させ、地球へ帰還するというスケジュールである。ミッションのシナリオは実に4年以上にもなる。
未知の深宇宙へとイオンエンジンを噴射して「イトカワ」へと向かう「はやぶさ」の航行にトラブルがなかったわけではない。むしろ、その逆だ。姿勢制御装置の故障、「イトカワ」への最初の着陸の失敗、そして離陸後にはもう一つのエンジンの燃料漏れと推力の低下、という非常に大きなトラブルに襲われた。「イトカワ」を離れた「はやぶさ」が地球まで還りつけるのかはまだわからない、ということだそうだ。
大小様々なトラブルを乗り越え、目的地に到達し、「はやぶさ」はひとり(人工衛星だけどあえて擬人化して呼びたい)静かに地球から16分かかって送られてくる指令と自らに搭載された自律航行プログラムを頼りに、地球から片道約10億キロ離れた宇宙を進んでいる。この「はやぶさ」の姿に僕はなぜか涙が出るほど感動する。その涙の中には、町工場から世界的企業に至るまでの日本のテクノロジーの結晶が宇宙にあるという喜びと誇りと、満身創痍になりながらも地球へ還そうとする関係者の奮闘に次ぐ奮闘、「はやぶさ」がひとり宇宙を進むことを思ったときに感じるロマンチシズム、そんなのが、いろいろ、ぎゅうっと、詰まっている。空を見上げて「はやぶさ」を思う僕のような一般人も含めて、関わっているすべての人が力を合わせてミッションを果たすべく動いている。そして「イトカワ」に着陸するために目標として投下された金属製のターゲットマーカーには世界149ヶ国、88万人の署名が刻まれている。彼らは文字通り全長500mしかない星の上に降り立ち文字通り「星の王子様に会いに行った」わけだ。こんなふうにみんなが力を合わせ、遙か彼方に自らの足跡を残し、人々の声援を受け最高のチームワークでプロジェクトを成し遂げようとしている。どうして心震わさずにいられようか。
コンサドーレだって、サポーターも、スタッフも、フロントも、みんなが力を合わせて日々一日を乗り越えている。トラブルがあろうと、失敗があろうと、前に進み続ける。その目指す先はJ1昇格であり、そのもっと向こうにはJ1優勝も、アジア制覇も、きっとある。チームの力を一つにして未来を乗り越えなければ、自分の力で切り開かなければ、新しい未来はやってこない。来るべき未来のために僕らは戦っている。足元を見るのも大事だけど、今はそれだけになってしまっていないか?もう少し視線を上げて、未来を見ながら歩いていこうよ、と思うのだ。
余談になるが、「コンサドーレ」という名の星があるのを知っている人はもうあまりいなくなってしまっただろうか。J1昇格が決まった2000年、釧路市で発見された火星と木星の間にある小惑星の一つ・7777番に「Consadole」という名前が正式に命名された(詳細はこちらをご覧ください)。日本のプロフットボールチームの中でも「星の名前」になったのは今でもコンサドーレだけで(Tokyo giantsやHanshin tigers、Carpなど野球チーム名は複数存在する)、小惑星「Consadole」は約3年半の周期で地球を周回しており、次に地球にもっとも接近するのはおそらく2007年6月頃になる(自分の計算が正しければ)。
そしてこの星がもっとも明るく輝く頃には、札幌の夜空の下ではきっと僕らはJ1で戦うコンサドーレの姿を応援していると、そう信じている。
エンブレムに光る星の遙か上には、同じ「Consadole」という名の星が見守っている。そう思って夜空を見れば、ちょっと誇らしい気持ちになりませんか?
posted by イシモリ |01:38 | consadole | コメント(0) | トラックバック(0)