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2008年06月08日

【ナビスコ杯第6節柏レイソル戦】J1仕様へのリフォーム

現地からです。忘れないうちに、観戦記です。
 
 結果は0-3の惨敗。開始早々に最終ラインの裏をポポに取られて1点。2点目は、久しぶりの登場となった西澤が、相手の早さについて行けず、ペナの中で不必要に足を出してPK(そして退場)。最後は終盤間際に投入されたデビ純が、これもペナの中で何でもないボールクリアをミスし、相手に渡して失点。結果だけを見ると、まったく良いところのない試合で、終了後のゴール裏からの大ブーイングも(私もしましたが)当然の試合でした。

 この試合は、評価の視点の置き方で大きく変わる試合だと思います。函館での千葉戦、アウェイの川崎戦、そして今日の柏の3連戦を、リーグ再開後に向けたあらたな再構築の課程として見ると、十分に手応えのあった試合だと思います。反対に、ナビスコの決勝進出という結果に注目すると、3連敗で、守備の崩壊は止まらず、得点も函館の1点止まりと、まさに監督解任を叫びたくなる内容でしょう。

 三浦サッカーは超守備的であり、守備でJ2を制覇し、J1での低迷を守備の崩壊に置く見方があります。そうした見方からすると、今日の3失点は守備崩壊がまったく修正されていない状況に写るでしょう。しかし、今日見て私が思ったのは、三浦サッカーの本質は「守備的」であることではない、ということでした。むしろ三浦サッカーの本質は「攻撃的」であると言ってもいいでしょう。

 かつて札幌の監督時代の岡田さんは、「J1で1失点はしょうがない。勝ち点を獲得するにはどうやって2点を取るかだ」と発言していました。この言葉の通り、今、ナビスコの後半3節を通して、三浦さんはまさにこの「2点を取るサッカー」を目指しているんだと思いました。

 失点しない、堅守を再建する、ということが目標ならば、昨日のバーレーンのように最終ラインを下げれば良いんです。札幌は高さがありますから、もっと下がって事実上の5バックにして高さで跳ね返せば、失点はきっと減ると思います。そうなればカウンターの切れ味も増すでしょう。

 ところが今日見た札幌のラインは非常に高く、引き籠もり、どん引きサッカーとは正反対のものでした。1失点目は、札幌がラインを上げた裏のキーパーとの間の広大なスペースを突かれたもので、こうしたラインを高く保つサッカーを目指す以上は仕方のない失点でした。

 反対に今日の札幌は面白いようにチャンスを作り出していました。J1になってから今日ほど相手陣内に肉薄した試合は初めてでした。ところが、これが何かに呪われたと思うほどゴールが決まらない。決定機を外す見本市のような試合でした。バーに嫌われたシュートは3回はあったんじゃないでしょうか。

 ナビの後半3節の記録を見ると、どちらがゲームを押し気味にすすめかのバロメーターになるというコーナーキック数では、今日と前節の川崎戦では札幌が上回り、函館の千葉線ではコーナーキック数こそ相手が上でしたが、シュート数がはじめて相手を上回りました。結果は散々でしたが、内容的にはこの3節は札幌が押し気味にすすめていたようです。そして今日も、途中で西澤の退場によってゲームが崩れ、撃ち合いとなって相手のシュート数が上まりましたが、こうした事故さえなければ、札幌が柏を圧していた試合だったと思います。

 今日のドームでは、守備の再構築が課題という世評とは裏腹に、三浦さんは「三浦サッカーの攻撃的側面」を高め「2-1で勝ち点を取るサッカーの構築をすすめている」ことが実感として感じられました。事実、これまでよく見られた中盤を放棄して、長い球を単純に前線に放り込む、またヘディングで簡単に跳ね返すという工夫のなさは影を潜め、パスを繋ごうという意識は高くなっていました。もっとも、失点を減らそうという意図はあまり感じられませんでしたが。

 では、なんで3連戦もして得点はわずかに1点なんだよ、との声もありそうです。それこそノナトに変わる新外国人FW次第なんじゃないでしょうか。いずれ能力の高い外国人FWが来る、来てからでは遅いので、今からトレーニングしておこう、というサッカーではなかったかと思います。今日は宮澤が早々にピッチから消えたため、4-6-0という布陣だったのです。確かに今日は、ゴールの手前でのFWがいないことから来る、戸惑いが目立ちました。

 さて今、札幌に絶対に必要なのは守備の再構築だというならば、専守防衛でラインを下げてカウンターに徹するサッカーにすべきでしょう。そしてこの転換には監督交代が伴うものと思います。しかし、J1でも2-1で勝ちきるサッカーを目指すのならば、今の三浦さんの取り組みは決して間違ってはいないと思いました。これが成就するためには、ノナトの代わりとなる外国人FW次第なのですが。
 
 ともかく、ナビスコ3連戦を通して、J2サッカーの延長線上では勝ちきれないと判断した三浦さんが、新たなリフォームに着手していることは確かです。

posted by hibari |19:34 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(1)