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2008年03月23日

【ナビスコ杯 第2節】札幌のJ1仕様

  ただいま、室蘭より戻りました。(すみません、今回は写真は無しです)。
 この試合は、中継がないということのなので、すこし詳しく報告させていただきます。

 前半、早々にセットプレイで失点したときには、川崎と最後に厚別で戦った試合を思い出してしまいました。2004年のJ2第27節。開始0分と9分、立てつづけに我那覇に決められ、後半38分にジュニーニョにだめ押しで、1-3で敗れるという試合でした。奇しくも今日の川崎のツートップは、同じ我那覇とジュニーニョ。得点者こそ我那覇なではなく寺田でしたが、前半3分という時間での失点は、04年の悪夢を思い出させるの十分でした。

 失点後、川崎がゲームを支配しつつも、札幌が時折するどいカウンターを見せるという、ちょうどドームでのマリノス戦の前半のような展開になりました。ダヴィはJ1相手でも存在感を示しましたが、初先発となったノナトは、ファン感謝デーで見たときよりも絞れてスポーツマンらしくはなりましたが、動きがちぐはぐでゲームに入りきれていない、という感じでした。たぶん前半はシュートゼロ。ボールタッチも2-3回という感じじゃないでしょうか。

 後半、三浦監督は動きました。ノナトを下げて西を入れました。表記としてはクライトンとダヴィのツートップとなるのかも知れません。実際のところは、ダヴィの1トップで、西がボランチに入り、クライントンが前目で自由に動く、という布陣になったと思います。

 そして札幌が徐々にゲームを支配し、川崎を押し込みます。後半16分に砂川に代えて岡本が入ると、ますます札幌ペースになり、後半29分、鄭が入ってすぐのペナルティキック、入ったばかりの鄭が壁からの跳ね返りを打ち返して同点。ここまでずっと札幌が圧してました。その後、少し川崎が戻してイーブンゲームとなりましたが、40分に西島が、クライトンの上げたコーナーから、うれしい同点ゴールをたたき込みました。

 この試合で、目を見張ったのは後半、特に岡本が入ってから、今季の優勝候補と言われたあの川崎を相手陣内に押し込んだことですね。得点も相手に、押し込まれながらも一瞬の隙を突いてのカウンターではありません。力で相手を押し込み、ゴールを奪いました。これはシュート数こそ6対7とほぼ互角ですが、コーナーキックは7対4と、ほぼ札幌が倍打っていることでも示されます。

 これはどういうことかというと、三浦監督は明らかにサッカーを変えて来た。そしてその新しいJ1仕様のサッカーが、今日始めて機能したということだと思います。

 J2を制した札幌のサッカーは、カウンターのリスクを排除するために、シンプルにロングボールをツートップに当てるというものでした。ところがJ2を制したこのサッカーは相手に中盤の支配権を明け渡すことになり、著しい消耗を招くことが、開幕の鹿島戦で明らかになりました。J1を戦うためには、やはり中盤を作らないと試合にならないのですね。

 そこで今節、とくに後半。ノナトを外し、ダヴィの1トップ気味にし、岡本と西というテクニックのある若手を中盤に入れることで、中盤に数的優位を作った。少なくとも奪ったボールを簡単に前にはたくのを止めた、少しはつなげる、貯められる技術のある二人を入れた。そしてクライトンを前目に上げて、前にボールの収まりどころを作った。

 そして最終ラインは昨年よりもさらに高いラインを保った。これが効いたんですね。川崎もラインが高いですから、いわば満員電車状態なんですね。そうなるとパス交換のスペースが潰されて、札幌と川崎はイーブンな状態となった。そこにクライトンが前目で抜群のキープ力を見せるんです。クライトンが持っている間に、札幌は全体として押し上げる。こうして川崎を押し込みました。

 一方、後半28分に変えられた藤田ですが、札幌のこの新しいJ1仕様のサッカーに一番対応できていない感じでした。あと、ノナトはこの新しいサッカーの中で居場所を確保するのは正直言って厳しそうです。

 もっとも川崎にしても代表組がいない中での試合で、彼らが復帰するとどういう展開になるかわかりませんが、J1に上がって初めての勝利。それも押し込まれてのカウンターではなく、相手を押し込んでの力づくの逆転勝利は、「これで戦える」という自信を選手に植え付けたと思います。

posted by hibari |19:24 | 試合の感想 | コメント(5) | トラックバック(1)