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2007年07月22日

【第29節】厚別はまた伝説を刻んだ 

あつべつ



  一晩をおいても冷静になれない。すごい試合でした。
 私が、コンサドーレサポになったのは、1997年、JFL第7節対川崎フロンターレ戦に逆転劇を目撃してからですが、あの興奮に限りなく近いものが昨日の厚別にはありました。(あの試合も90分だけを見ると、昨日と同じ引き分けです)

 第1クールの7連敗を払拭し、フッキを中心に手堅いゲーム運びで順位を上げてきた東京ヴェルディは、間違いなく最強の敵でした。今シーズン開幕前、ヴェルディの補強を見て、どのメディアも断トツの評価を与えたものです。昨日、ヴェルディはまさに断トツの評価にふさわしいメンバーであり、プレイでした。

 前半、相対的にヴェルディがボールを持つ時間が多いものの、札幌は高いラインを保ち、しっかりとスペースをつぶしてヴェルディに対して効果的な攻めを許しません。札幌ドームでの対戦の時には制空権を握られた船越が先発で入ってきましが、札幌は事前に十分対策していたためか、孤立する状況が目につきました。

 前半15分(この試合に限らず札幌は開始15分間は守りに徹している)をすぎると、札幌は効果的なカウンターを繰り出せるようになってきました。ここから試合は、試合は真剣と真剣で相対峙するような緊迫した展開に。スコアこそ0ー0で終わったものの、一時の脇目も許されない、スリリングな展開でした。

 前半のシュート数はヴェルディ3本に対して札幌1本。一見、札幌が攻められているように見えるものの、間違いなくゲームの主導権は札幌にありました。後半に入ると、札幌は一転して攻勢に出ます。後半の15分過ぎまでヴェルディのゴールを脅かすシーンが続きました。

 札幌のゲームプランは前半は0ー0、後半の始まり15分までに1点を取るというものだったと思います。しかし、後半の1点目が遠かった。守備を立て直したヴェルディのデフェンスも堅い。時折、ヴェルディの厳しい反撃を受けるものの、札幌は砂川や石井を投入するなど、アグレッシブに攻撃を続け、後半84分、曽田のヘッドで、ゴールを奪いました。

 ここでスタジアムは興奮のるつぼ。おそらく、ここから選手に厚別の興奮が乗り移ってしまったんだと思います。気持ちではしっかりと守りたいところなのに、スタンドの興奮が乗り移って体が前にのめってしまう、そんな感じでフィールドの中がバタバタし始めると、ヴェルディの選手がゴール前に大挙してなだれ込み、フッキのヘッドで同点に。

 勝ち越しを狙って札幌は再び攻勢に出ますが、終了間際の89分にフッキのミラクルワールドクラスゴールが出て逆転。これは凄いシュートで、札幌の整ったデフェンスラインの前でボールを受けたフッキは、そのまま突破にかかるかと思いきや、左足を振り抜きました。これは札幌の守備は責められません。

 普通ならば、これでゲームは終わりです。短い間に立てつづけに2失点。守備が信条で、攻撃力に見劣りのある、札幌の心が折れるところです。しかし・・・

 今日の試合は、厚別での100試合目のメモリアルだった(口調が興奮して変わっちゃいます)。このスタジアムでは幾度となくミラクルが演じられてきた。それはフィールドを赤黒に取り囲む12番目の選手、サポーターとフィールドの中の11人に選手が一体となることによって、生まれる奇蹟なのだろう。

 昨年までならば、フッキのような得点を見せられると、サポーターの心も折れてしまった。ところがこの日、残された時間がわずか3分だったとしても、厚別の12番目の選手たちは、勝利を信じ歓声を送ることを辞めなかった。スタジアムの声援に後押しされた札幌の選手たちは果敢にヴェルディのゴールを目指した。

 わずか3分の間に、砂川のシュートがバーを叩き、曽田のヘッドがゴールをかすめる。そしてロスタイム残りわずか20秒。砂川の突破がゴールエリアでのスローインを生む。これを砂川がそのままロングスロー。ゴール前の競り合いがコーナーキックに。この時、試合終了まで残り5秒。

 ここでヴェルディの戸川健太が額から出血。止血するためにフィールド外に。ロスタイムが加算される。ロスタイム3分53秒。砂川のコーナーキックは、予想を裏切って低い弾道でニアに。これをありえない角度から、石井がさわってヴェルディゴールに突き刺した。

 同点! 同点!  奇蹟がおこった厚別公園競技場!!!

 アナウンサーが興奮して叫ぶとともに、終了のホイッスル。
 相手選手に流血を生むほどの闘争心が結果的に同点弾につながった。
 厚別はまた伝説を刻んだ。


posted by hibari |16:18 | 試合の感想 | コメント(6) | トラックバック(0)