2007年03月28日
急に思い出した恐怖の昔話
それはまだ私が中学生だった頃の話。 唯一の兄妹である9歳年下の幼い妹と手をつなぎ 家から500mほどのところにある豊平川へ散歩に出掛けた。 これから河原で2人楽しく遊ぶはずだった。 しかし川へ向かう途中で突然妹は「ギャー!」という悲鳴を上げ つないでいた手を振りほどいた。 「どうしたの?何があったの!?」 泣きじゃくる妹は搾り出すような声で言った。「兄ちゃんの背中に大きいクモがいる…。」 そして妹は大声で泣き喚きながら、今来た道を全速力で走って行ってしまった。 私は蒸し暑い曇り空の下、1人取り残された。 『背中にクモがいる……大きいと言っていたから多分オニグモだろう……。』 極度のクモ嫌いな私は クモがくっついていると思われる背中のあたりがゾクゾクしていた。 『ここにいてもどうしようもない。』 私も家に向かってゆっくり歩き出した。 体中から嫌な汗が出ていた。 随分長い時間歩いたような気分だった。 ようやく家の玄関に辿り着くと母が待っていた。 子供の頃、クモの腹から糸を引っ張り出して遊んだことがあるという母は 「どれ、背中を向けてごらん。」と余裕の表情で言った。 その時である。私の左脇あたりから濃い灰色の生物が少しだけ見えたのだ。
posted by hiroki |20:24 | 事件 |