2008年06月10日

EURO2008オランダVSイタリア観戦記(録画してる人は見ない方がいい)

今日は徹夜して「オランダVSイタリア」を見た。まさに見る価値のある試合だった。すばらしい試合だった。



結果こそは3-0でオランダの圧勝となったわけだが、見ていてイタリアがそんなに酷かったかというと、別にそう言うわけでもないと思った。実際、データを見てみるとボールの支配率はオランダが51%、イタリアが49%とほぼ互角。シュート数ではオランダが18本でイタリアが16本。特段大きな差があるわけではない。さらにこのシュート数は、実際に試合を見ているとむやみやたらなミドルシュートがどちらのチームもたくさんあったわけではないので、実際にある程度チャンスとなった場面のことだと考えることが出来る。


ではチャンスの数が似たようなものなのになぜ大きな差が出たか。ものすごく簡単に言えば、イタリアが決定機を決めきれず、オランダがきっちりと決定機で点を取ってきたわけだからだが、そのあたりのことを、特にWOWOWの解説もTBSの解説もうまく伝えていなかったので、個人的に思うところもあり、書くことにする。

たぶんコンサにも関係があるような気がするのだ。

まずスターティングメンバーはフォーメーション通りに書くとこんな感じであった。


オランダ 4-5-1のフォーメーション。

          ファンニステルローイ

スナイデル     ファンデルファールト        カイト

       エンヘナール      デヨング

ジオ     マタイセン       オーイェル   ブラルーズ

            ファンデルサール



一方のイタリア。4-3-3のフォーメーション。


               トニ

  ディナターレ                  カモラネージ

        アンブロジーニ    ガットゥーゾ

               ピルロ

ザンブロッタ  マテラッツィ     バルザーリ    パヌッチ

              ブッフォン

多少書き方は異なるが、どちらも純粋なセンターフォワードは1人。
ウィング(サイドハーフ)が2人。センターハーフが3人。DFが4人とほぼ同じようなフォーメーションを敷いていた。

今日TBSでもWOWOWでも言われていたことは、イタリアのセンターバック、特にマテラッツィが以前ほどの力がないことであった。つまり、イタリアのDFに大きな責任があるという考えであった。確かに、マテラッツィは往年の力はない。実際動きはイタリアの中では悪い方で、後半早々に交代している。ので、実際その指摘は当たっていると思う。

とはいえ、別にマテラッツィがオランダのDF陣と比べて格段にレベルが落ちるのかといえば、そんなことはない。つまり、オランダのDF陣はイタリアを0点に押さえられたのに、イタリアのDF陣は3点も取られたというのは、個人の責任に帰属する物ではないと僕は思う。 ではどこにより大きな責任があるかと言えば、それはサイドハーフの2人の動き、運動量の差に他ならないと思う。

イタリアの2人、ディナターレとカモラネージは、実際にほとんど攻撃に効いていなかったのに対し、オランダの2人、カイトとスナイデルは常に驚異になっていた。他にもトニが決定機を決められなかったのにファンニステルローイは決めたとかあるかもしれないが、サイドハーフが一番の差だったと思う。

カイトとスナイデルはものすごい運動量を見せた。あるときはFWとして最前線で体を張りドリブル突破を仕掛け、あるときはDFラインにまで戻っていた。特にカイトはすばらしく、なんどもDFラインの裏を取ってマテラッツィを外に引き出していた。結果真ん中にスペースが出来、そこに後ろから飛び出してきた選手やセンターフォワードのファンニステルローイらが飛び込んできた。


一方ディナターレとカモラネージは(フォーメーションが4-3-3だとするならば)オランダより多少攻撃的な位置にいるとはいえ、ほとんどDFラインにまで戻ってきてはおらず、かといって前線でDFラインをかき回したわけでもなかった。ピルロという中盤ですばらしいタメとロングパスを出せる選手がいるにもかかわらず、彼から前線に出たロングボールの多くは相手のDFにカットされた。動き出しが鈍かったからだ。

そしてそこで奪われたボールをカウンターであっという間に持って行かれるシーンがイタリアには非常に多く見られた。

イタリアは前線のすばらしいFWであるトーニにまでボールが行くことが少なく、ディナターレやカモラネージがなんとか個人の能力やサイドバックのオーバーラップによってそれなりに攻撃の形は作り上げてシュートまで持って行く当たりはさすがであったが、結局個人能力頼みの感は否めなかった。

一方のオランダは何度もピルロよりはタメやパス精度という意味ではやや落ちるかもしれないファンデルファールトを使いながら、両サイドがうまくポジショニングをとり、動きだしを早くすることで前線にボールが収まりやすく、カウンターを浴びることが少なかった。


今、コンサは非常に苦しいが、一番の原因は去年ほどサイドハーフの選手が活躍できていないところにあると思う。うちにはクライトンという、コンサで言えばピルロみたいな存在のセンターハーフがいて、ダヴィという強力なフィジカルを持ったセンターFWもいる。

あとはサイドハーフが、今日のイタリアから、今日のオランダに変わるだけで、全然違う試合をすることが出来るだろう。

posted by zenus |07:00 | その他 | コメント(2) | トラックバック(1)

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Re:EURO2008オランダVSイタリア観戦記(録画してる人は見ない方がいい)

 大変興味深く読ませてもらいました。
 サイドアタッカーは自分で仕掛けることができるというのはもちろん、運動量も求められるのですね。コンサの場合、西谷が入るようになってから攻撃が機能し始めたのかなという感じはありましたが、守備に関してはあまり期待出来ない気もしますし中途半端な気がします。
 右サイドでも、スピードや縦に抜ける力は藤田の方があるような気がしますが、ボールの出し方や仕掛けなど総合的な力は砂川の方が上ということで三浦監督は起用しているように思います。
 今は中断期間中ですし、アジアカップと違ってEUROは肩の力を抜いて興味本位で見ることができるので、コンサならどうする?といった視点でいろいろ考えることができるのがいいですね。

posted by フラッ太| 2008-06-10 10:46

Re:EURO2008オランダVSイタリア観戦記(録画してる人は見ない方がいい)

>>フラッ太さん

三浦監督は元気にそんな感じのサイドハーフ像をかぶらせているに違いない・・・!

posted by zenus| 2008-07-06 07:16

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