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2009年08月13日

守備的MF。

先日のヴェルディ戦、4-1-4-1の布陣で臨んだ札幌。

DFラインの前の“1”に配置されたのは、
抜群の身体能力を発揮してボールを奪取しまくったダニルソン。


日本では、「ボランチ=守備的MF」という一般的な定義があるので、
このダニルソンのポジションを「1ボランチ」と表現して間違いはない。


ただ、

「ボランチという用語はブラジルでのみ使われるポルトガル語のサッカー用語のひとつが
日本に輸入されたものであり、ブラジルと日本でのみ使用される。
守備的ミッドフィルダーと同じポジションを示すが、
このポジションは守備的という言葉は使われても必ずしも守備に比重を
置いた役割を担うわけではなく、攻撃の組立を主な役割とすることも多い」
(※下線は加筆。)

これは、元々、

「ボランチとはポルトガル語で「車のハンドル、舵」という意味で、
ハンドルや舵を切るようにチームを操ることに由来すると言われている。」
(※下線は加筆。)
引用先: http://ja.wikipedia.org/wiki/ボランチ


からで、語源に忠実にいくなら、
守備専門のMFに対して“ボランチ”と呼ぶのは、いささか抵抗があるのも事実。


この辺りが、よくここにコメントを頂くはげおさんの
「ダニルソンはボランチというより」というコメントや、

燃えろ!コンサドーレ 平川弘の通信簿 先見据えチームを育成(2009/08/05)の
4-2-3-1のトップ下であった
「クライトンは基本的にはボールを確実にキープして無難にさばくタイプ(私に言わせればボランチ)」

といったコメントの背景にあると考えられます。


そういった意識からか、日本では、さらに守備的MFを役割で分けて、

「守備を専門に行なう守備的MFをアンカー(船の錨)、
攻撃の組立を担う守備的MFをレジスタ(演出家)と呼んで区別する事もある。」
引用先: http://ja.wikipedia.org/wiki/ボランチ


しかし、ここで問題というか、ややこしいのは、

“アンカー”は英語で、“レジスタ”はイタリア語であるということ。

(※日本お得意の外来語を背景抜きで、そのままカタカナ使用で意味だけ持ってきている。)





アンカーは、英語であることからも分かるとおり、
DFラインと中盤で2ラインを敷く4-4-2が多いイングランドが語源と思われる。

そもそも、イングランド型の4-4-2の中盤の真ん中の選手は、
攻守の両面で活躍することが多いので、攻守の区別は特にせず、
CH(センターハーフorセントラル・ミッドフィルダー)と呼ばれる。
(※イングランドでは、CHを更に細かく分類しているらしい。)

この4-4-2のFWの一枚を削って、
最も危険な地域とされるバイタルエリアをカバーするために一人置いたのが、4-1-4-1。

DFラインの前に置かれるこの“1”は、広いバイタルエリアを一人でカバーするため
守備専門であることが多く、危ない地域に錨を打って安定させることから、
アンカー(船の錨)と呼ばれることが多い。



また、レジスタは、中盤の真ん中の選手を3つの類型
(インコントリスタ、レジスタ、インクルソーレ)に分けるイタリアの区別の一つ。
(中田英寿氏が、セリエAで活躍したことから広まったっぽい。)

・“REGISTA(レジスタ)”「演出家」の意味。
映画監督やまとめ役にも、この言葉を用いる。
攻撃をオーガナイズする司令塔で、視野の広さとパスの精度を兼備する。
 ex.ピルロ、ピサロ、アルベルディーニ、アンチェロッティ

・“INCONTRISTA(インコントリスタ)”「阻止する人。ぶつかる人」の意味。
対戦相手のボールホルダーと接触が多いことから使われるようになった。
攻撃にはほとんど参加しない『ボール奪取専業家』を指している。
 ex.ガットゥーソ、デシャン、デサイー

・“INCURSORE(インクルソーレ)”「襲撃者」の意味。
絶妙の攻め上がりと高い得点力を誇ることから、そう呼ばれるようになった。
優れた瞬発力と持久力を武器にし、攻撃性が強くてダイナミズムを併せ持った危険な存在。
 ex.デロッシ、スタンコビッチ、ネドベド

(引用先: Football Kingdom 各国のセンターハーフの類型3 「ボランチ論」 PART2)






で、問題のヴェルディ戦でのダニルソン。


そこ(↑)まで深く考えたわけではないものの(笑)、札幌も2ラインの4-1-4-1なので、
私は、バイタルエリアをカバーする守備専門の“アンカー”と呼ぶのが近いかなぁと。


ただ、さらにやっかいなのが、そのヴェルディ戦で、
ダニルソンが、左サイドをドリブルで駆け上がりクロスを上げていた
という事実もあり、本当に守備専なのか?と(笑)。

そこで、はげおさんの苦心の作、中盤で自由に動き回るという意味で、
“ハーフリベロ”という言葉が出てきたのだと思います。
http://www.consadole.net/whiteowl/article/433#comment


で、改めて書き出してみると、ダニルソンは、“インコントリスタ”が一番近いかも?



年中雪に覆われる極北の人たちは、“白”という言葉について沢山の表現があるそうです。

肉食中心の欧米文化が、動物の肉にそれぞれ固有の名詞(beef,pork,etc.)を持つように、
自らの生活と関わりが深いものに対して、様々な言語表現が生まれるのが文化というもの。

日本のサッカー文化も、借り物の言葉ではなく、イングランドやイタリアのように、
中盤の選手を細分化した独自の言語を持つようになるのでしょうか。


posted by whiteowl |10:35 | Tactics (戦術) | コメント(5) | トラックバック(1)

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守備的遊撃手。 【フラッ太のユルネバ日記】

 緑戦でのダニルソンの動きをはげおさんは"ハーフリベロ"と表現していた。  ダニルソンのあの無双っぷりを端的に表現するのはなかなか難しいんだけど、  強いて言うなら「潰し屋」か「守備的遊撃手」かなあ。  潰し屋というとハードタックルで相手選手を止めるといった体格差にものを言わせてしまう感じだけど、それだけじゃなくて気がついたら間合いを詰められてボールをかっさらわれた・・・というような速さで奪うイメージも加えたい。なので、遊撃手という言葉を用いてみた。ダニルソンの場合はスピードがハンパじゃないので高機動型に

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この記事に対するコメント一覧
Re:守備的MF。

こんばんは!
さすがですね。読んでスッキリしました(笑)

ポジションを表すだけなら「1ボランチ」でよいのですが、今回、表現したかったのはあくまで「プレースタイル」なんですよね…。

アンカー、インコントリスタはイメージ近いですね。
ただ、私の中にも、アンカーやインコントリスタの概念がいまいち鮮明に形成されていない…(-_-;)
例えの選手名をみて、「あっなるほど…」と感じられるレベル。

「言葉がない」ということは、「必要がない」ということ。日本ではサッカーの文化レベルが、やっぱり低いのですね…。

ただ、ダニについてで考えると、アンカーやインコントリスタも微妙にズレが…。というか、このズレを感じさせるのは、私の主観。ダニに攻撃面での活躍を期待しているからなんですよ。
ダニには守備面の中で”ボール奪取”に特化してもらっても構わない。けれども、守備面だけに特化することはしてもらいたくないのです。
最低でも毎試合、2本(前後半に1本ずつ)はミドルを放ってもらいたい。最低1回は、流れの中でエリアに顔を出して欲しい。
攻撃面でも活かせる力をダニは持っているので、それを願っているからこそ、微妙なズレを感じちゃうんですね…。

posted by はげお| 2009-08-13 23:46

Re:守備的MF。(はげおさんへ)

オシムじゃないですが、日本のサッカーのスタイルが確立されていないので、
プレースタイルを表す言葉も他所から借りてきた言葉になるのかなと。

ダニルソンも、まだ彼のプレーが確立されてるわけではないので、
1試合でどうこういうには、ちょっとアレかなぁと。

狂犬ガットゥーゾは、インコントリスタからインクルソーレに進化した
なんてのもたまに見るので、タイプに分けても、

それでその選手がどういったプレイヤーなのか分かるので便利ですが、
それで全て分かるわけでもないですからね。

その人の評価によっても違ってくるでしょうし。

難しいです。

posted by whiteowl| 2009-08-15 19:40

Re:守備的MF。

狂犬ガットゥーゾは、インコントリスタからインクルソーレに進化した
なんてのもたまに見るので、タイプに分けても、

それでその選手がどういったプレイヤーなのか分かるので便利ですが、
それで全て分かるわけでもないですからね。

その人の評価によっても違ってくるでしょうし。

posted by toms outlet | 2017-08-28 17:21

Re:守備的MF。

具体的なスケジュールなり導

posted by Moncler jackets | 2017-10-16 16:47

Re:守備的MF。

ったプレイヤーなのか分か

posted by rack oven | 2019-09-29 15:54

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