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2008年07月26日

秋春制のまとめ -デメリット編-

秋春制のメリット、デメリットがだいぶ上がってきたので、まとめてみたいと思います。
具体的なスケジュールなり導入の目的、実現への具体的対策がJFAから
示されているわけではないので、現状では推測の域を超えないことを予めご了承ください。
(※長くなったので2回に分けます。)


〇秋春制のデメリット


1.『冬期間に試合をする可能性が高くなる。』


秋春制導入で一番心配されているのは、この部分です。
札幌の場合、現状の3月下旬の開幕ですらドームの芝生の雪かきに始まり、
宮の沢の練習場も雪で埋もれ、道外でのキャンプを余儀なくされています。
12月に行われている天皇杯もトーナメントの上に行けば行くほど、決勝が元旦のために
札幌は道外でのキャンプを余儀なくされています。

札幌に限っていえば札幌ドームがあり、また、ホーム集中開催によって試合をする分には、
この冬期中断期間をより短いものにすることは、可能だとは思います。

ただ、問題は練習場の確保です。
漫画キャプテン翼の松山くん率いる富良野は、雪中サッカーで足腰が鍛えられて
強くなったことになってましたが、やったことがある人ならわかると思いますが、
雪中では、普通にドリブルすることも困難です(笑)。

そのため、最低、屋内練習場を完備する必要はあると思われます。
冬期中断を短くするならば、そこに対する雪国特有の出費を
JFAなりJリーグがフォローしないなら、雪国切捨てといわれても仕方ありません。

従って、この冬期中断期間を短くすることは、
特に、練習場の面で札幌にとって大きな負担になる可能性があります。

また、冬期中断期間が現状と同じで3ヶ月とするならば、
長期間休みに入ることになり、慣れの問題や前後期制を考えるとしても
1つのリーグとしての継続性を保てるかという問題も発生します。


2.『大卒高卒新人の加入が、シーズン途中になってしまう。』

言うまでもなく、日本の学校は4月始まりの3月終わりなので、
新人の加入は前倒ししたとしても、早くて2月ということになります。
そうなると、シーズン途中での加入ということにどうしてもなってしまいます。

ただ、この問題については、
クラブのユースにいる選手は、在学中であっても登録さえしていれば、
試合に出られますし、学校に所属している選手も練習の面でユースより更に
厳しくなると思われますが、特別指定選手の枠でより早い段階で
Jリーグの試合に出ることは現状でも可能です。
また、冬期中断期間が現状と同じだけあるとするならば、
新加入選手をチームにフィットさせる時間はあると考えられます。


3.『冬期間は集客が望めない。』

実は、これは様々な要素が絡んでくるので場合によってはそうともいえないと思っています。

積雪があると外出したくなくなるというのは、雪国ならわかる実感なのですが、
それを否定する要素もあるからです。

①プロ野球の試合がないこと。
②今まで高校サッカーや天皇杯は正月に行われてきたことあり、(日本海側を除く)関東以南では、
「サッカーは冬のスポーツ」というイメージがあること。
③サッカーは運動量が多いスポーツなので、暑い夏より寒い冬の方がプレイしやすいので、
夏よりも質の高いサッカーができる可能性がある。

つまり、1の理由も併せて、
札幌にとって冬に試合をやることは大きなハンディキャップなのですが、
関東以南のチームにとっては、それほどデメリットを感じないという現状があります。


4.『試合スケジュールがきつくなる可能性がある。』

1で示したように、冬期中断期間を3ヶ月設定した上に、夏休みをとると、
(※その両方の中断期間をどれくらいに設定するかにもよるのですが、)
今よりも年間にこなすことができる絶対的な試合数が少なくなる可能性があります。

ここで問題になってくるのは、
①ナビスコカップと天皇杯のカップ戦をいつするのか。
②今後22チームにするというJ2の試合数は確保できるのか。
といった問題が浮上してきます。

繰り返しますが、夏休みと冬休みの設定期間にもよるのですが、秋春制導入によって、
J1とJ2の総チーム数や総試合数、カップ戦の開催時期や廃止なども考える必要性が出てきます。


5.『日本国内の他リーグとの整合性』
(※指摘により、追加しました。)

学校関係のリーグは、4月始まりの3月終わりの日本の学校にあわせるしかありません。
(※学年をまたぐと選手が変わってしまいます。)

また、Jリーグが秋春制にするなら、将来J2とJFLとの入れ替え戦も考えられており、
そうなるとJFLも変えるのかという問題が浮上してきます。
そして、JFLを変えると地域リーグも変えることになりと・・・。

しかも、JFLのチームには流通経済大学(しかも現在18チーム中10位!)も
含まれていますから、現状でJFLを秋春制にすることは難しいということになります。


JFAで川渕前会長がキャプテンズ・ミッションというのを推進していて、
11のミッションを掲げています。
http://www.jfa.or.jp/jfa/mission/

そのミッション8に、「リーグ戦の推進と協議会の整備・充実」があります。
そして、ここに地味ながら、「年間カレンダーの整理」というのがあります。
これだけだとどう変えるのかは全く見えてきませんが、変える気だけはあることは分かります(笑)。

ただ、一ついえるのは、現行が4月始まり3月終わりで全て回っているので、
それを動かすのは難しいということです。それを言い始めると何も出来ませんが。


6.『その他。』

現在Jリーグは、外国人枠にプラスして、アジア枠の検討をしています。
そこに入ってくるであろう中国と韓国は、春秋制という問題なども考えられます。

細かい点については、まだ指摘しきれていない点もあるかもしれません。
(※他にもこんなのがあるよというのがあれば、コメントください。よろしくお願いします。)




以上の点と事の発端である、犬飼JFA新会長の早急とも思われる
「2010年に秋春制に移行したい」発言を考えると、中断期間の設定をどうするにしても、
J1とJ2のチーム数を変えたり、冬期中断期間を短くするためのインフラ整備の
準備期間が短いので、何も具体的なものが出されてはいないものの、
2010年での秋春制の導入は、現状でも十分雪国の地方チーム札幌の負担が
増える懸念は払拭されないことはわかります。


ただ、なぜ今から2年もない2010年からなのかということに実は意味があると考えます。
また、Jリーグの鬼武チェアマンも、(さっそく犬飼改革!J「秋春制」検討)
>「10年になるのか14年になるのか、やらない方がいいのかも含めて考えていきたい」
と発言しています。

2010年と2014年に何があるかといえば、それはW杯しかありません。
これは、W杯によって、(出場できればですが、)日本のサッカーが注目を集め、
日本人の海外移籍が盛んになる可能性があり、その時に移籍しやすいように
シーズンを欧州と同じにする。そして、日本人選手の海外移籍を活発にして、
その結果、日本代表の強化をはかるという意図があるものと考えます。


次に、この海外への移籍のしやすさを中心に秋春制のメリットについて考えていこうと思います。

posted by whiteowl |14:27 | 秋春制について | コメント(9) | トラックバック(3)

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この記事に対するコメント一覧
Re:秋春制のまとめ -デメリット編-

こんばんは。(^^)

拙ブログへの連日のコメントありがとうございます。

今,ざっと斜め読みしただけですが,問題点として他にアマチュアリーグのシーズンとの整合性の問題も取り上げてほしいと思いました。

※今回提案されている「Jリーグ秋春制」がJ1だけでなくJ2も含めての話であるというのが大前提ですが。

この辺の問題意識はkaz8さんの記事
http://www.consadole.net/kaz8/article/1817
で知りましたが,秋春制の導入はJリーグだけの変更なのかどうか,ということを問題視しているかたもいます。

本来アマチュアはJリーグ(プロ)とは別カテゴリですが,JFLが事実上のJ3扱いになっているのに近い現状があるのだとすればJFLも連動させるのかどうか,ということも(推進派の)検討課題になっていると推測できるような気もします。考えすぎでしょうか。

※それよりも将来的にJリーグの構成をどうしたいのか。J1何チーム,J2何チーム,という数年後の話は出ていますが,J3を作るのかどうかとか将来構想が全く見えないのが問題なのかも知れません。

posted by ○た | 2008-07-26 22:33

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-(〇たさんへ)

ご指摘ありがとうございます。

早速、追加いたしました!

posted by whiteowl| 2008-07-26 23:59

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-

こんにちは。(^^)

ありがとうございます。

「メリット編」のほうも期待しています。:-)

posted by ○た | 2008-07-27 12:08

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-

シーズン変更に伴う諸問題の解決を図ることなく、
たんにヨーロッパがそうだからという安直な理由で導入することに賛成する連中は大バカです。
ヨーロッパの制度を導入すればJリーグのレベルと人気があがるという絶対の根拠もなく。大体、放映権料収入や優勝賞金がフランスの1割程度で、EU枠という国籍緩和要件もない、そんな日本でシーズン変更とは猿真似です。

さて、ずいぶん賛成論者たちを罵倒しましたが、
ここから本題に入ります。
実現できるかどうか、ある意味もっと難しいですが、
今のJリーグとは別に「秋春制の新リーグ」を作るのです。最終的には一部18チーム、二部を最大22チームにしたいという、FIFAランク30位台の分際でインフレ状態にする構想のようですが、セルジオ越後さんがいうように、トップリーグについてはもっと減らすべき(個人的には10チーム)で、プロチームが多いことがレベル向上とは相関しません。いい例がプロ野球です。青息吐息でやっと2リーグ12球団にしていながらも、エクスパンジョンでかつての16から30にまで球団数が増えたメジャーリーグに、選手レベルでは対抗できる(一部ではあるが)のです。
どうしてもプロチームを最大で40にしたいのであれば、
そのうちの半分を「秋春制」にしてしまうのです。
個人的には、西日本のチーム(さらには韓国や中国あるいはプロサッカーがあるのかどうかわからない台湾をも加えて)8つほどで一層制「秋春」リーグを作るのが理想です。8つという理由ですが、アジアで「秋春制」に近いのが、オーストラリアのAリーグですので、日程を同調させて、リーグの終了後に互いのチャンピオンチームがぶつかるというイベントが組めるからです。
なお試案として以下のとおり考えてみました。
名称「アジアアイランドリーグ」
参加チーム
「日本」から大分、鳥栖(Jリーグから移籍)、北九州、琉球(JFLから移籍)
「韓国」から慶南、済州 
「台湾」から、台北市を本拠とするチームと高雄市を本拠とするチーム
 以上、皆様のご感想をお待ちいたしております。

posted by 三宅勝| 2008-07-27 12:16

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-のお返事

>〇たさん

秋春制のメリット編は、日曜夜の段階で書きあがっていたんですけど、
新潟戦に負けた後だったので、アップしにくくて後でひっそり上げました(笑)。

>三宅さん

>ヨーロッパがそうだからという安直な理由で導入することに賛成する
>ヨーロッパの制度を導入すればJリーグのレベルと人気があがるという絶対の根拠もなく

欧州が秋春制だからという「安直な」理由で賛成してる連中の
代表格は多分私なんですけど?(笑)

私の意見は、↓に書きましたので、ご覧になっていただければ幸いです。
秋春制のまとめ -メリット編-
http://www.consadole.net/whiteowl/article/158

で、三宅さんのご意見、大変面白いと思いますが、
裏をとっていないので孫引きになりますが、
FIFAが一国一リーグでしかプロリーグを認めていないと聞いたことがあります。

多国間でのリーグ開催の規定があるかまではわかりません・・・。
その場合もACLのような形での開催が現実的と思われます。

posted by whiteowl| 2008-07-29 02:49

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-

少し見ないうちにすごい賑わいですねw

結局、最大の目的はどこなんだろうなって思います。
ACLが本格的になってきた時期に、それとは合わない日程を組むわけで、
さらにJ2より下の積雪地域の財政極小クラブはどうしたらいいのかとか、
メリットもあっていいですが、デメリットに関してもあるわけで、
じゃぁ実際どうするんだよって思うんですよね。
会長さんが目標だけ安直に発表してしまうもんだから、
それに対しては無理だと言う話が出るのは当然ですよね。
現時点では私は反対派ですけど、解決策がどうかという部分で
どちらに行くかわかりません。
もちろん将来的に秋春制移行は必要なものだと感じてます。

いつになったら何か発表されるんですかね??
私はそれまで静観してます☆
頑張ってくださいね~

posted by Ryosuke| 2008-07-30 12:16

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-(Ryosukeさんへ)

日本サッカーのプロリーグ化に成功した川渕前会長と犬飼現会長って
豪腕というところでは、共通するみたいだから、よく考えもせず
秋春制押し切るという可能性はないとはいえないみたいなんだわ。

posted by whiteowl| 2008-07-30 22:39

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-

今更で恐縮ですが、デメリットにもう一つ加えさせてください。
秋春制にすると、夏休みの集客を見込めなくなります。
生徒の夏休みは7月中旬から8月いっぱい、冬休みは12月末から1月中旬までです。
会社員は、夏に盆休み、冬に正月で1週間ずつ休みをとります。
集客の面を考えると、8月に試合をできないのはかなり痛いのではないかと思います。北国は尚更。

posted by amz| 2008-10-04 03:19

Re:秋春制のまとめ -デメリット編-(amzさんへ)

コメントありがとうございます。

>8月に試合をできない
これについては仰るとおり確かにデメリットなのですが、
いわゆる欧州リーグの開始時期が、ちょっともう忘れてしまったのですが、
大体7月中旬~8月下旬になっているのです。
従って、秋春といっても開催期間の設定によって8月に全く試合をしないわけでもないのです。

もう少し、調べなおしてみます。

posted by whiteowl| 2008-10-05 00:03

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