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菊地具也(キクチトモヤ) 1985年生まれ 北海道在住 中、高、大、野球部所属。 趣味はスポーツ全般の観戦。

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第31節 クロスと中央選手との良い関係とは? コンサドーレ札幌 - サガン鳥栖 1 - 1

2007年07月28日

   今節は、西谷のPKが前半15分に決まり、早々と札幌が先制した。その結果、札幌が守備で主導権を握り、カウンター攻撃を仕掛ける機会が多い試合になったが、そのカウンターの際に、ダビと中山が見せた興味深い動きがあった。

	それはこんなプレーである。ダビは前線に十分スペースがある中で、鳥栖陣内やや深めのサイドでボールを受ける。彼は対応するディフェンダーに対して勝負を仕掛け、最終的に縦に突破しようと試みた。試合を通して同じような試みは、四度ほど行われたが、29分と45分、二度この試みは成功し、ダビはグランダーのクロスを中央へ送った。中には中山がいたが、興味深いのはこの中山のボールに合わせるまでの動き方である。中山は、二度ともファーサイドからニアサイドに向かって走り、ニアサイドでクロスに合わせようとした。

	このグランダー性のクロスに対するアプローチの仕方は、得点の可能性を高める要素をいくつも含んでいる。順にそれらを挙げてみよう。

	まずは、転がるボールは浮き球に比べて合わせ易いという点。

浮き球であれば、選手のジャンプ力に限りがあるため、ある程度の高さまでボールが落ちてこなければボールに触れることはできない。合わせ得るポイントはある程度決まってしまい、それは点のように狭い範囲へ限定されてしまう。そのポイントはディフェンダーにも認識できるため、彼らにとって対応し易い。一方、転がるボールならば高さによる制限がなく、ボールが転がる軌道上の、比較的広い範囲が合わせられるゾーンになるはずである。オフェンス選手にとっては選択できるプレーの幅が広がり、ディフェンス選手にとっては対応すべきシーンのイメージが増え、対応は難しくなる。これは大きな利点である。

	次に、相手のディフェンダーよりも、先にボールに触れる可能性が高い点。

	この点で重要になるのは、走り込む方向である。中山はファーからニアへと走り込んだ。ファーから走り込むことには、中央を固めているディフェンダーやキーパーの死角から飛び出せるという利点がある。

   サイドで札幌の選手がボールを持っている限り、鳥栖の守備陣は多くの集中力をそちらに割かざるを得ず、視線はサイドに向く。結果、逆サイドにいる中山は死角になる。そして、クロスに合わせて死角から飛び出すことで、一瞬相手よりも早くボールにアプローチできる。中山は自分で合わせるタイミングを見計らって動き出せるが、鳥栖の選手は死角から飛び出した中山を認識してから動き出すことになる。経験などからくる“読み”など、この動き出しが早くなり得る要素はあるが、それでもディフェンス側は受動的な動きを強いられる。この日中山は、一瞬タイミングが遅くボールには触れられなかったが、鳥栖のディフェンダーやキーパーよりも前にポジションをとることには成功していた。彼らよりも先にボールに触れることができれば、それは決定的なチャンスである。キーパーとの距離が近い分、ボールの方向を変えるだけでも得点の可能性は高い。

	前節の仙台戦で、ダビが藤田のクロスを中央で合わせて得点したシーンがあるが、あの時ダビはボールに触れただけだった。キーパーは、サイドからのクロスやその折り返しがあった時のように、あちこち見る方向を変えなければならない状況や、突然視界に新たな選手が現れたような状況では、ボールに対する反応が極端に遅れる。こうした弱点を突くファーからニアへの動きは、非常に有効である。

	今日のダビと中山の動きは、こうした可能性を見越したものであったように思う。藤田が敵陣深くからクロスを上げるシーンが何度もあったが、このクロスも、敵陣深くからという点で、逆サイドに死角ができる。ダビと中山が同様にその利点を突く動きをしながら、中央で合わせようとしていた。

	開幕当初、彼らは中央で動かずにクロスを待つシーンが多かったが、結果相手のディフェンダーに捕まりやすくなり、フリーでボールに触る機会が少なく、得点も少なかった。しかし、最近の結果が示しているように、彼らの動きの質は着実に進化している。

	今節、チーム全体としては、守備は組織としてのバランスを保てていた。札幌のディフェンスで重要なのは、フラットな4人の中盤、最終ラインと前線の選手の位置関係とプレスの質だということは2節以降で書いてきたが、ラインの上げ下げは非常にスムーズで、結果、有効なプレスをかけられていた。右サイドからドリブルを仕掛けられ、そこからのクロスで幾度かピンチをむかえたが、中央の選手のポジショニングがよく、よくしのいでいた。攻撃でもダビや中山、藤田がよく動き、敵陣のスペースを活かした早い攻めが出来ていた。今後も守備の安定を軸とした、いい戦いが期待できるだろう。


post by 菊地具也

22:24

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