カレンダー
プロフィール
菊地具也(キクチトモヤ) 1985年生まれ 北海道在住 中、高、大、野球部所属。 趣味はスポーツ全般の観戦。
最新のエントリー
リンク集
コメント
検索
2007年07月18日
コンサドーレの今季開幕戦は、0-2の敗戦に終わった。この文では、三浦監督の就任以降の発言と照らし合わせながら、この敗戦が今季のコンサドーレを占う上でどのような意味を持つのか、考えてみたい。 三浦監督は就任以降、J1昇格を目標に掲げ、そのために必要な条件として、組織された安定した守備力と、絶対的なストライカーの存在、つまり安定した守備力を切り裂けるだけの得点力を挙げていた。また監督は、データを重視する。J2全体の傾向として、守備を重視してカウンターでチャンスを窺うチームが多く、流れの中で点を奪うことは簡単ではないとの認識を示し、セットプレーでの得点力も勝つための重要な要素として挙げている。 これらの昇格に必要な条件を挙げた上で、三浦監督は選手に求める能力も具体的に示している。 1. 監督の構想するフォーメーション、ポジションにフィットしていること 2. 戦術を理解していること 3. フィジカルの強さ 4. セットプレー時の強さ 沖縄、熊本合宿では、この1、2にあたる戦術練習に、特に力を入れていた。合宿後、『守備に関して、ある程度やりたいことはできた』とのコメントを残している。 僕は、監督のこれまでの発言から、目指すチーム像はドイツW杯で優勝したイタリアに近いものなのだろうと想像した。まず一にも二にも失点をしないことを考え、かつ鋭いカウンターやセットプレーで得点を奪う。これが彼らのやり方だった。激しいプレスをともなったゾーンディフェンスは、抜群の安定感を誇っていた。コンサドーレの選手の能力が当時のイタリア代表に敵わないことは確かだが、僕はゾーン&プレスのディフェンスならば、組織力とスタミナ、それから指導する監督の理論さえしっかりしていれば、うまくいくだろうと考えていた。守備がうまくいけば、まずは負けないサッカーができると期待していた。 開幕戦では、その「組織的な守備」が、どの程度昇格有力候補である京都に通じるのか、また得点を奪うために、流れの中ではどのような手法を用いるのか、また監督が重要性を指摘しているセットプレーの精度はどうか、などに注目した。 迎えた開幕戦。結果は0-2というスコアだったが、内容はその数字以上に差を感じるものだった。 まずまっ先に感じたことは、一ヶ月近くかけて監督が整備した「組織的な守備」が、欠陥だらけだったということだ。ボールをどこで奪うつもりなのか、意図が全く見えない。ディフェンス時、選手はバックライン、中盤のラインがフラットの4-4-2のフォーメーションをきっちりつくり、攻撃に備えたが、選手たちには一向にプレスをかける気配がない。ボールを持った選手に対し、寄せる気配だけを示し、ボールを奪いにいこうとしない。そして相手と対面しながらずるずると自陣へと下がる。この繰り返しだった。ラインが下がればミドルシュートを打たれる危険性もあるし、下がった状態でファールをすれば、重要な得点源であるセットプレーを、ゴール射程圏で与えることにもなる。また、中盤のラインが最終ラインに飲み込まれるケースも多い。そうなると、こぼれ球も拾えなくなる。 このディフェンスの決定的な欠陥は、相手が自由にプレーしやすいということだ。 相手に接触するくらいのプレスを掛ければ、当然相手のプレーの選択は制限される。例えばパスコースの限定。股抜きなどの高度なテクニックを使えなければ、プレスを仕掛けてきた方向にパスを出すことは難しい。パスコースが限定されることで、次のプレスも当然かけやすくなる。ここで、バランスの良い配置からのゾーンディフェンスが冴えを見せることになる。プレス→相手選手のプレーの限定→プレスの目標を定める→出足のいいプレスがかかる...こんな好循環が期待できるのである。さらに、全体がディフェンス時から前へ前へという意識を持つことで、ボールを奪取した際の攻撃への転換もスムーズになる。カウンターへのスタートダッシュができる。プレスの連鎖によって可能になるパスカットなどは、トップスピードに近い状態でボールを奪い、攻撃に移れるいい例だ。 しかしこの日のコンサドーレには、プレスの意識を全くと言っていいほど感じなかった。自分のゾーンから抜かれなければそれでいい。それくらいの守備意識しか感じられなかった。結果、フラットな4-4-2は形骸化し、フラットはむしろ弱点となって、ラインとラインの隙間をワンツーなどで幾度となく突かれた。そしてミドルシュートを浴び、ファールを犯し、フリーキックを与えた。 守備で受けた印象は、極めて消極的な守備意識だけである。意味のないきれいな形の4-4-2は、滑稽でさえあった。頑にフォーメーションをキープしようとする選手たち。その形に意味はないが、その形も遂にはその効果のなさゆえに、崩れてしまった。イタリア代表流の、激しく堅固なゾーンディフェンスをイメージしていただけに、この日の光景は大きなショックだった。三浦監督は試合後のインタビューで、『アグレッシブさが足りなかった』と発言していたが、これはプレスをうまく掛けられなかった、という意味なのだろうか。今まではプレスをうまく掛けていたのにこの日はできなかった、という意味であったのならよいのだが... 攻撃はというと、こちらも光明を見出すのが難しい内容だった。 札幌はマイボールになると7割がた、ロングボールを前線に蹴り込んでいた。ところが前線のダヴィと中山は後方のラインから孤立し、たとえ高さで相手に勝り、競り勝ったとしても、後方からのサポートはなく、誰にも落とすことができない状態だった。自分で前を向いてボールを持って、ドリブルで運ぼうとしていたのは西谷と砂川くらいで、あとの選手はロングボールを前線に当てるか、ボールを誰かにあずけ、自分があがってリターンを受けようとする、それくらいの選択しかしなかった。攻撃に参加するのも基本的には前の4人だけで、ガンガン上がってサポートをしようとする選手もいなかった。カウンター時でさえ、サポートはなかった。4人以上は攻撃に参加してこない。何かそういう決めごとでもあるのかと疑いたくなるくらい、不自然なほどサポートがなかった。 サポートがないということは、ボール保持者のプレーの選択肢が少なくなり、相手もディフェンスをしやすくなるということだ。味方がパスをできる範囲にいれば、相手のマーカーはそちらを気にしながらのディフェンスをしなくてはならない。また、保持者に2人のマーカーが付いていた場合、サポートの選手が上がることによって1人、うまくいけば2人とも、そちらにつられるかもしれない。少なくともある程度の注意を削ぐことができる。おとりに使うのもよし、壁パスに使ってもいい。とにかくプレーの幅が広がり、相手の力は分散することになる。そして、サポートには特別な技術はいらない。どこに、どのタイミングでサポートに行くのが有効か。その判断さえ出来ればいいのだ。札幌には1人で何人も抜くことのできるような突出したプレーヤーはいないのだから、技術のいらない有効な手段をどんどん取り入れるべきだ。 監督がキーポイントに挙げたセットプレーは、直接ゴールを狙えるようなキッカーはいない。しかしこの日のゲームでは、札幌の単純な高さの魅力は感じた。CKで相手のマーカーが選手に集中できている時にまともにセンタリングを入れても、中にいる選手の動き方が悪いこともあって、ズドンと入ることはあまりなさそうだが、リアクションのボール、つまりマークがばらばらになってからのセンタリングならば札幌の選手の高さが活きると感じた。セットプレーでは、正攻法でぴったり狙った選手に合わせるのではなく、ひたすらマークがごちゃごちゃになるよう工夫すれば、ゴールの可能性は高まると思った。 今季の展望だが、まだ開幕戦を終えただけ、この試合に限って開幕前のパフォーマンスができなかったのかもしれない。しかし、そのことを差し引いても昇格圏内へ向けて多いに不安の残る内容だったといわざるを得ない。個人の力量では東京Vや京都などにはとても及ばないことは明白だ。札幌はやはり、まずはゾーン&プレッシングディフェンスで堅固な守備力を身につけ、カウンターや遅攻での個人間の関係を見直し、個の力以外で勝負をすることを考える必要がある。 ここからチームがどう改善されていくのか。まずは次節、注目したい。
カレンダー
プロフィール
菊地具也(キクチトモヤ) 1985年生まれ 北海道在住 中、高、大、野球部所属。 趣味はスポーツ全般の観戦。
最新のエントリー
リンク集
コメント
検索