2009年01月13日
4話
一瞬の静寂の後、小さく、そして力強くガッツポーズをしていたコウタに血走った目をした仲間が奇声を発しながら飛びかかっていく。 依然としてリードされている状況にかわりが無いため、オレは暴発しそうになる歓喜の気持ちを力づくで押さえ込み、ゴールに叩き込まれたボールを拾いにいった。 オレたち3バックでむしり取ったゴール。何せ3バック全員オーバーラップしていたのだ。 バランスもクソも無いカミカゼ攻撃。 だが、そのカミカゼに乗って突き刺さったボールは、萎えかけていたチームの気持ちを再び戦いへと誘う不思議な熱さをもっていた。 ボールをもったままコウタに近づく。 「よく上がってたなあ。ナイスヘッド。」 「お前こそよくこっちに上げたな。根性みせてもらったよ。」 ニコリと笑いながらコウタがグーを突き出す。 「オウ。もう1点行くぞ。」とオレもグーを突き出そうとすると、オレの後頭部にチョップが飛ぶ。 「いてッ!」 「2点の間違いだろ!」 ケンがにやけながらも燃える瞳でオレを見つめている。 そうだ。 勝つんだ。 オレたち3人は、センターサークルにボールをセットし、また「一番後ろ」に戻った。 さあきやがれ。すぐに奪ってねじ込んでやる!
posted by sweeper |14:50 | ブログ小説 | コメント(0) | トラックバック(0)
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