2008年05月24日

リティ続投を糸口にいろいろ斬る

福岡在住のサカオタとして、当初は驚いたリティ続投。
きょうは皮肉めいた所感をさらりと書き流すつもりだった。

しかし、equip氏のこのエントリーを読んで思考を巡らせているうち、
いろいろと語りたくなった。かなりの長文になるが、ご容赦下さい。

まずequip氏の論点をかいつまんで。

  1. 地方の100万都市(札幌・仙台・広島・福岡)のJチームはそろって苦戦
  2. この4都市のJチームはいずれもプロ野球球団と競合している
  3. 経済的に「福岡>札幌」と思っていたが、現実は厳しい
  4. アビスパの今後から目を離さず、教訓を得るべきだ

おおむね同意できる内容だ。だが、3点目は在住者としての福岡の
スポーツ地理・経済の実感から「福岡>札幌とは必ずしも言えない」と考える。

  • 理由1・隣の北九州の事情

県北(=北九州)の県南(=福岡)へのライバル意識が強いうえに、
「小倉」「八幡」という北九州内部の対立意識も根強く、100万都市
とはいえ、一体化したマーケットとして扱いにくい面がある
(余談だが、NW北九州が観客動員で苦戦しているのも、チームの母体
やホームスタジアムが八幡にあるため、小倉の住民を十分に取り込めて
いないことが一因だと考える)。また、小倉高が夏の甲子園で2連覇
した歴史もあって、中高齢層の野球熱は福岡にも劣らぬものがあり、
サッカーにはお金が落ちにくい土地柄と言える。

  • 理由2・地元有力企業の事情

九州財界、ひいてはアビスパの経営にも大きな影響力を持つ大企業群
「七社会」(九電・九電工・西部ガス・西鉄・福岡銀・西日本シティ銀
の集まり。かつては西日本シティ銀が2行に分かれていたため、7企業
だった)のうち、九電はラグビー、九電工は陸上と全国レベルの実業団
チームを抱えており、アビスパを重点的に支援できない事情がある。
昨季までアビスパの胸スポンサーだったコカコーラ・ウエストグループ
もラグビー・トップリーグのチームを抱えている。

  • 理由3・進出有力企業の事情

福岡県は現在、北部九州への自動車産業の集積を進めており、
主要企業が国内最大の生産工場を置いたり、本社を移転させたりしている。
だが、それらは日産(苅田町)やトヨタ(宮若市・苅田町)とすでに
J1のチームを抱えている企業ばかり。本社を移転したダイハツは
中津市に本拠を置いており、これは大分の傘下と言ってよい。
久留米のブリジストンも地理上、鳥栖との結び付きを強めており、
これらの企業がアビスパに重点的にお金を出す状況にはない。

この3点から、アビスパを取り巻く経済状況は、コンサと比べて
それほど恵まれたものではないだろう、とワタシは考えている。

次いで、この状況に加えて、アビスパの財務を考える。

当ブログでも既述したが、アビスパは06年のJ1昇格を機に
33億7千万円の資本金を約9千万円とする97%強の大幅減資を実施し、
30億円以上の累積赤字を一掃した。その甲斐あってか、今年4月の
株主総会の07年期決算報告では経常利益2200万円、3年ぶりの
黒字転換を発表している。

こうなると、リティの去就をめぐる経営陣の思惑が透けて見える。

「減資から2年後の赤字転落は避けたい。仮に赤字を出しても額を抑えたい」
「リティ解任ではコーチ陣・外国人選手を含む解体的出直しを強いられる」
「それよりはリティ続投の方が金がかからない・・・」

「チームが変わる兆しは見えた」という説明より、よほど説得力がある理由だと
思うがいかに?<きょうの意見交換会でも突っ込まれるかも・・・

ただ、アビスパ経営陣の苦渋の選択には同情しない。自業自得だと思う。
06年の松田監督と長谷川GMの対立。07年のリティと小林GMの対立。
現場と強化部がケンカするたびに舵取りを誤り続けたツケだと考える。

総括。
恵まれぬ経済状況。低迷するチーム成績。
そして起きた現場と強化部の対立。経営陣のミスチョイス。
これらの先にアビスパの姿がある。
大幅減資の実施という奇遇な共通点まである。
コンサの教訓はアビスパの「今後」のみならず、「現在」にもあると思う。

なお、equip氏とはこれまで何度かメールをやりとりした間柄。
決して氏の主張を否定・批判する意図はないので悪しからず。


再び余談。

アビスパが苦境にある現在、福岡市民には頑張ってチームを支えて
ほしい。しかし、福岡市は九州トップの大都市だが、市民一人ひとりが
スポーツ観戦に落とす金は九州トップなのか?

答えはノー。総務省統計局の05年度調査によれば、1世帯当たりで
みると、九州トップは大分市。全国の県庁所在地別でも仙台市に続く
2位だから立派だ。

現在の大分にはトリニータ以外にも、Fリーグのパサジィ、バスケの
ヒートデビルス、バレーの大分三好ヴァイセアドラーと多様なチームが
存在する。大企業に恵まれない反面、いろいろな「おらがチーム」を
等しく支える市民意識が育ってきたのではないか。

コンサはアビスパの惨状に学ぶ一方で、大分におけるこのような
機運の醸成のノウハウも学んでほしいとも思う。

posted by はかたん1号 |05:09 | サッカー | トラックバック(0)

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