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2006年07月09日

その向こうに広がる青空

ひと際、大きな歓声。
ひと際、沢山の拍手。
期待と喜びがどれ程のものだったかを雄弁に物語る。
もう一度ピッチに戻って来る日を、どれだけ待っていたか。

「MF。背番号20。上里一将」

ピッチに立つその姿の向こうに、青空が広がっている気がした。



曇天の下、家を出た。
36号線に入ってすぐに、霧に包まれた。
苫小牧までは霧雨の中を走った。
雲が切れ始めたのは、千歳に入ってから。
札幌に着く頃には、見事な青空が広がっていた。

こんな良い天気の日に厚別じゃないなんて、勿体ない。
やっぱりサッカーは青空の下が似合うだろう。
ドームも良い会場だけど。
芝も設備も申し分無いけれども。
それでもやっぱり、風が欲しい瞬間がある。
今日の前半もそうだった。

明らかに試合は愛媛ペース。
良く動いているしボールも回る。
このままじゃあ、また監督に「年寄り」とか「前半は寝ていた」とか言われそうだなぁ、とか思いもしたけれど。
それでも、妙に停滞した空気の中、懸念してしまうのは別な事。
「果たして愛媛の選手達のスタミナは、後半まで持つんだろうか」
いや、相手チームの危惧をしている場合じゃないんだけれども。
それでも何となく、最後までは持たない様な気がしていた。

そんな懸念を他所に展開する試合は、やはりどこか停滞ムード。
ドームの中に奇妙な熱が籠り始める。
なかなか試合の主導権を握れない事への苛立ち。
溜まり続ける主審へのフラストレーション。
千葉くんの退場。そして10分と経たない内に西嶋くんが負傷交代。
積もり積もった嫌な空気は、次の瞬間、一変した。

上里くんが11ヶ月振りに、公式戦の舞台に立った瞬間に。


絶妙のタイミングだ  と思った。


ドームに籠っていた負の感情が、一瞬にして正反対の物に変換される。
圧倒的な期待と歓喜。
ベクトルを変えた感情が新しい力となって発散される。
風が吹いて来た事を感じるのに、時間はかからなくて。
上里くんの交代から10分と経たないうちに、砂川くんが3点目を決めた。

完全復調という訳ではなさそうだったけれど。
FKは壁を直撃してしまったし。
でももし、あれが壁をすり抜けていたら・と想像すると、充分に期待出来るもので。


ピッチに立つその姿の向こうに、青空が広がっている気がした。


選手交代でピッチに入る時に、ついでに青空と太陽さえも引き連れて来たかのようで。
ドームの屋根が開いて行く様な錯覚さえ覚えた。




点差程の圧勝じゃなかった事は、データを見れば直に解る。
シュート・CK・FK、全て愛媛が上だ。
ゲームを支配していた時間も、愛媛の方が上だろう。
勝って尚、反省すべき所は多い。
勝点よりも課題を手に入れた試合だっただろう。

それでも、そんな試合でも勝利を手に入れれた事は大きいと思う。

直ぐに柏との対戦が来る。
今度は内容にもこだわって欲しい。
激戦だった・と。柏相手に一歩も譲らない試合だった・と、拍手と共にそう言える様な試合を見せて欲しい。
勿論、そこに結果が付いてくれば、尚、嬉しいのだけれど。
そうそう簡単に勝ちをくれるような、甘い相手じゃない。
だから、全力でぶち当ろう。


そうすれば、夜空の向こうにも青空を見る事が出来る。きっと。

posted by 半月 |08:07 | 試合に行った日 | コメント(0) |