2011年05月09日
PCSの存在意義[フィギュアスケート]
アレでIN満点はねーよ。 昨日の試合は奇麗にスルーw だって見て無い試合には何も言えなーい<遠い目 来週はホームだからね!良いトコ見せてよ!!! ……って、自分は行けない確立高過ぎだがorz さて、本題。 ワールドから1週間。 ネタがネタだけに、あまり感情的に書くのも嫌だったから、少し落ち着くのを待ってみたんだけど。 いやぁ、やっぱ納得いかねーわ。 PCSって何のために5項目もあるのよ? 相変わらずテレビでは「PCSは表現力の点数」とか言ってたけど。 そもそも、それもう違うんだけどなぁ。 旧採点時代の「芸術点」は、確かに表現力の点数と言えた。 芸術点の正式な名前は「Presentation」 「プレゼン」って言葉はもう日常に馴染んでるから、今ならその方が解り易いと思う。 振り付けなどを通して、自分がどんなスケーティングが出来る選手かをジャッジにアピールする能力。 それが転じて「自分のスケートを音楽を通して表現出来る力」になった。 だから、「芸術点=表現力」って言い方は間違いではなかったと思う。 でも、今のPCSは違う。 以前読んだNHKの刈屋アナウンサーのインタビューの中で、彼ははっきりとこう言っている。 「PCSはSSを基準に付けられるんですよ」 それって、表現力があろうがなかろうが、PCSには反映されないって事では。 しかもそのSSの基準自体が、年によって変るらしい。 一時期は「クワドを跳べる事」が基準だったらしく、当然その頃のジュベは高得点だったそうだ。 基準は表現力ではなくSS、そしてそのSSの判断基準も年々変る。 そんな曖昧なモノに順位を決められてるって、正直どうよ。 今のフィギュアの順位なんて、ほぼPCSで決るようなもんなのに。 しかも、PCS5項目個々を、ジャッジがきちんと吟味して付けてる様には見えないから、もっと困る。 てか、絶対に吟味してないって! SS決めたら残りはそれと同じ様に付けてるだけだよ、アレは。 どの選手も5項目ほぼ同じ点数でTRだけ若干低めとか、有り得ないから。 SSはイマイチだけどCHは抜群・とか、INは好いんだけどTRがねぇ・とか、絶対にいるし。 男子優勝のパトリック・チャンが、その良い例。 彼のSSはトップだろうけど、INは限りなく低いぞ。 だってあの「オペラ座の怪人」は、何も演じていない。 表現力のない選手じゃないんだよね。それはエキシを見れば解る。 エキシではコミカルなプロを表情豊かに演じていた。 ……つーか、エキシでそんだけ出来るんなら、試合でもせめてその半分はやってくれよ・という気分だけどさ。 でも、チャンはFPでは何も演じてなかった。 そもそも「ファントムを演じる」気持ちが無いようにも見えた。 単なる主観だけで言ってるつもりはない。 あのプロで使われていた曲は「Phantom of the Opera」と「Music of the Night」 この2曲は全くテーマが違う。 なのに、チャンはこの2曲の「滑り分け」をしていない。 舞台でこの2曲を同じ調子で歌う俳優がいたら、即、降板だよ。 「Phantom of the Opera」は、タイトル通りファントムの存在そのものを示す曲。 そして、ファントムがクリスティーヌを自分の元へと連れ去るときに、2人が歌う曲。 オペラ座の陰の支配者・謎の存在・抗ってはいけない気配を纏った狂気を帯びた人物。 この曲はそんな存在であるファントムが、初めて舞台に姿を現した時の曲。 ファントムが闇と狂気を持ちながら、同時に途方も無く惹き付けられる絶対的な存在である事を表さなくちゃいけない。 対して「Music of the Night」は、ファントムがクリスを初めて自分の所に連れて来たときに、彼女に自分の想いを語る曲。 身も蓋もない言い方すれば、クリスを口説いてるシーン。 ファントムからクリスへの深い愛情や真っ直ぐな情熱、その奥底にある純愛故の狂気、そんなものを表す曲。 ずっと陰の師として支え導き続けて来た彼女を、ようやく自分の元へと連れて来た歓び。恐らく、ファントムの人生で最も幸せな瞬間。 「Phantom of the Opera」から一転して、甘く優しく、捉え包み込んで身も心も虜にしていくような、そんな魅力を見せなくちゃいけない。 個人的にはこの1曲でクリスと観客をまとめて魅了できなきゃ、ファントムとしては失格だとすら思ってる。 チャンの滑りからは、こういったファントムの存在感もクリスへの想いも感じられなかった。 なのに、このFPでは5人のジャッジが9点台を付け、2人は8点台、更に2人が満点を付けてる。 満点って何だよ。 この2曲を舞台で演じる事すら出来る程、完璧に理解してるとでも? アレで?あの一本調子の暴走で? 愛を語ってるようには欠片も見えない、あの演技で? アレでIN満点はねェよ! ジャッジ全員、ALWに土下座して謝って来い、ふざけんな! ミュージカルを代表する世界的名作を馬鹿にしてんのか!!! 確かに私は「Music of the Night」に思い入れ強いよ。ALW版に惚れたきっかけの曲だから。 でもそれを差し引いてもアレはないっての。 「確かに上手いんだけど、印象に残らない」 そういう意見を一杯見た。 当然だと思う。 だって本人が、何も表現してないんだから。 心の籠っていないものに感動は出来ない。 技術は凄いんだけど感動出来ない・ってのは、音楽や絵画の世界ではある事だ。 形だけ譜面通りの完璧な演奏をしても、気持ちが籠ってなきゃ伝わらない。 自動演奏のピアノに感動出来ないのと同じ。 逆に拙くても小学生が一生懸命頑張っている器楽合奏には感動出来るんだよ。 心を動かすのは心なんだから。 チャンに少しだけでもファントムを演じようという気持ちがあれば、もっと見応えのあるプロになっていた筈なんだ。 ジャッジがこんなアホな得点を付けてる限り、選手がどんなに頑張っても意味がないんじゃないのか。 技術を磨き、自分なりに考え曲を解釈する努力をして、それを少しでもより良い形で表現しようと、ダンスやマイム、演劇的振り付けを取り入れて。 そうやって頑張ってる選手に対して。 片や、特に表現しようとしなくても勝手にジャッジがPCSを吊り上げてくれる選手。 他の選手と違って表現しなくてもいいんなら、エレメンツにだけ集中出来るよね。 そりゃあ、成功率も上がるよね。 他の選手が技術:表現を6:4とか7:3で頑張ってるのに、1人だけ9:1でいいんだから。 ……これって本当に対等? そもそも、「新採点は絶対評価」だと言う事をジャッジは解ってんだろうか。 絶対評価である以上、今回チャンにIN満点付けたジャッジは、今後もあの程度の音楽解釈の選手全てに同じ得点を付けなくちゃいけないんだよ? CHもそう。あの固い上半身で、スピード上げて滑りながら腕を動かしてるだけの振り付けに、CH9点台が7人も。 あれはそんなに素晴しい振り付けか? 他の選手から群を抜いていると判断する程の、フィギュアスケートとして理想的な振り付けだったのか? そうとは思えない私が変なのか? それに、チャン本人が今後もっと努力して、誰もが認める様な表現力のある選手に育ったら、どうする気なんだろう。 絶対評価に、満点以上の点数はないんだよ? 来季は得点に上限を設けず、ジャッジが好きなだけ吊り上げていい・って採点基準に変更するんなら、構わないけど! そんな事したら、まさに今以上の基準崩壊。 最早、「採点競技」とは認めて貰えなくなるだろうけどね。 今でさえも相当怪しいのに。 ジャッジはフィギュアをなんだと思ってんだよ。 ISUはフィギュアをどうしたいんだ。 こんな採点基準が横行してるんなら、選手の努力は何処へ行くんだ。 本当に、「PCSはISUの序列点」って噂が真実にしか思えなくなるだろうが。 試合そのものは凄く良かった。 若手もベテランも自分の限界目指して頑張ってくれてた。 伸びしろのありそうな若手が何人もいて。 今回は出場出来なかった選手も含めて、ソチに向けて本当に楽しみだと思ってた。 みんなが切磋琢磨しながら、フィギュアスケートを更に高めてくれるんだろうな・って思ってた。 それを、アホなジャッジの適当な採点で潰さないでくれ。 あの得点は、チャンにとってもキツいんじゃないだろうか。 彼のPCSはもう伸びない・って言われたも同然だよ。 SPもFPもあと8.5点程しか伸びる余地はない。 FPなんかは特に、滅多な事が無い限りこれ以上の点数は出ない域に達してる。 まだ10点近く伸ばせる余地のある他の若手から見たら、むしろ不幸なぐらいだ。 歴代最高得点出したはいいけど、自分自身でもそれを乗り越えることが出来ずに苦しむんじゃないだろうか。 もし彼が、この得点を誇りに思っているのなら、来季はむしろ辛い戦いになるだろう。 20歳にして、過去の自分と戦わなくちゃいけなくなったんだから。 好きな選手じゃないけど、そこは同情するなぁ。 本人がそこまで深く考えてるかどうかは微妙だけど。 別に、大げさな事を望んでる訳じゃない。 特定の誰かに甘くして欲しい訳でもない。 ただ、全員に対して公平な採点を。 そして、ファンの目から見ても納得出来る採点をして欲しい。 それだけなんだ。 そんな当たり前の事を、望まなくちゃいけない現状が、何よりも情けないけどさ……。
posted by 半月 |17:47 | フィギュアスケート | コメント(0) |
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