2006年05月06日
上昇線
昨日は1日中曇りで、昼過ぎには雨も降った。 今日は正反対の良い天気。 淡く霞んだ青空が、3日の厚別の空の様だ。 気がつけば、あの試合からもう3日。 余りにも劇的な幕切れだったから、脳味噌が蒸発してた気がする。 今年の厚別開幕にふさわしい試合。 圧倒的な力で快勝するのではなく、最後の最後まで粘って粘って諦めないで根性と執念でようやっと手に入れた勝点1。 何回クロスが弾かれてもシュートがブロックされても、その度にまたボールを取り返してゴールを狙う。 人海戦術みたいな仙台のディフェンスに屈しないで。 絶対に諦めないで、ただただ勝利を目指した。 それはきっと、今年のチームを象徴するゲームになるだろう。 間違いなく、少しずつ強くなって来ている。 まぁ、確かに「3歩進んで2歩下がる」みたいな事もあるけれど。 それでも確実に1歩は進んでいるのだから。 2004年に再出発したこのチームが、成長して行くその過程を。 一緒に歩いて来れた事が、改めて嬉しい。 2年前のこの時期、厚別で最下位に沈んで。 そのままその順位を脱する事無く1年が終わった。 それでもあの年、会場に向かうのに苦は無かった。 2003年の方がよほど辛かった。 「見捨てたくない」という意地だけで試合に行っていた。 2004年は朧げでも「やりたいサッカー」というものを感じられて。 素人目でも、きっと面白いものが出来上がると期待出来た。 何時かきっと、と信じてチームを見守るのは楽しくて。 何連敗しても何処か誰か良かった所を見つけられた。 この1年には、勝ち負けよりも重要なものが、確かにあった。 札幌にハマったのは2001年だったけれど。 好きだと思ったのは2004年だった。 農業みたいだ、と思った。 未開の荒れ地を開墾している気分。 1年目は土壌改良に専念して。 2年目に、壁や失敗にぶつかりながらも何とか収穫を上げた。 そして3年目。 今年は去年の失敗から多くを学んで対策を立てて。 今度こそ満足のいく作物を作り上げる年だ。 初めて作る畑で、初年度から大豊作とはいかない。 初めて育てる品種は失敗して当然。 命と接する事は、マニュアル通りになんていかないものだ。 大地も空も、そんなに甘くない。 時間がかかったからこそ。 着実に確かに得て来た力。 本当の実力と言うものは、時間をかけないと身に付かない。 ゆっくりとでも真直ぐに。 緩やかに伸び上がって行く上昇線。 厚別で見た飛行機雲の様に。 午後1時頃、空を横切って行った飛行機雲。 遥か高く遠い彼方の空を、真直ぐに伸びて行った。 途絶える事無く伸びて行く軌跡が描く緩やかな上昇線。 チームの様だ、と思った。 虹の様に華やかではないけれど。 でも、静かに真直ぐに確実に伸びて行くライン。 今年のチームは、きっとこんな風に上昇して行く。 理由も無く、そんな事を思う。 2時少し前には、白い月を見つけた。 午後2時の空に6日目の月を見つけるなんて、初めてだ。 余りに早い時間に見つけた月を驚いて見上げると。 霞んだ空の向こうで月は笑みの形を造っていた。 「厚別開幕だから、応援に来たよ」 何だかそう言って笑っている様な気がした。 空に見守られ、風に背を押されて。 時には雨に激励されながら。 ゆっくりとでも確実に描いて行きたい。 チームと一緒に。 この上昇線を。
posted by 半月 |11:38 | 試合の日 | コメント(0) |
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