2010年07月26日
【検証】ナオキの一発レッド
<悪夢の前半1分> 1分 ゴール前への縦パスにカバーに入った石川が相手選手を倒したと判定されPKをとられる 2分 石川にレッドカードが提示され退場に 4分 【横浜GOAL】西田がPKを決めて横浜が先制 5分 内村に代わって高木が入る (札幌公式) コンサは開始早々から10人で戦うことになり、4-4-1で守備を落ち着かせる戦術をとらざるをえなかった。 7月25日Jリーグディビジョン2第19節コンサドーレ札幌戦、キックオフ直後試合は動きます。相手ペナルティエリア内で西田選手が倒され、PKを得るとそれを西田選手が落ち着いて決めて、先制します。その後も一人少なくなったコンサドーレ札幌を攻め立てますが、しっかり引いて守るコンサドーレ札幌に対しゴールをなかなか奪うことができません。しかし、34分髙地選手の素晴らしシュートが決まり2-0と前半で2点のリードを奪います。後半に入り、お互いに譲らない展開の中、65分札幌にゴールを決められ2-1とされます。その後も札幌の攻撃を受けますが、全員でしっかりと守備をし、2-1と勝利。勝ち点3 を積み上げました。(横浜FC公式) <結論> 第19節 退場に伴う石川直樹選手の出場停止処分について(J公式) 日本サッカー協会 競技および競技会における懲罰基準に照らして審議した結果、同選手は相手選手の決定的な得点の機会を阻止したことにより、「著しい反則行為」に相当すると判定、1試合の出場停止処分とする ・ペナルティエリア内で西田を倒してファウル(PKとなる反則) ・西田はゴールに向かっていた ・決定的な得点の機会を阻止(クリアに行った石川が交錯して西田転倒) 残念なことにレッドカードの条件が3つ揃っている。だから大西主審は迷わずレッドカードを手にした。それを見てあわてて詰め寄った選手達も当然この「要件」は知っている。知ってはいるが「石川のクリアが先だったので、得点機会の阻止には当たらないだろう」という抗議だったと思われる。 論点は「得点機会の阻止だったか、そうでなかったか」なのだ。後半の藤田の場面も同様だ。その判断は主審に委ねられている。 審判目線で考えるならば、あれは誤審ではない。 先にボールに行ったとかクリアが先だったとかが問題ではなくて、得点機会の西田をPA内で倒してしまった事がファウルの理由なのだ。だから解説者やマスコミの見解は「厳しい」「微妙」「不運」としか言えないし、コンササポの立場から言えば「見逃せよ」としか言いようがない(苦笑)。 誠に遺憾ではあるが「誤審」とまでは言えないのだ。あれがファウルじゃなかったら(PKじゃなかったら)FW稼業はやってられないと思うだろう。DF稼業はその反対の立場なんだろうけど…。 石さんの立場で言えば「PKじゃない(ファウルじゃない)」としか言いようがない。あの状況と場所でファウル=レッドなのだから。 ついでに言えば、開始1分という事も主審には関係ない。まだ開始したばかりだから、というのは「観客側・興行側の視点」に過ぎない。本当に残念なことだが、それが現実だ。 <検証と分析> スカパーとNHK-BS1を両方録画してあったので、両方のカメラで撮った映像をスロー再生しながら、コマ送りと一時停止を繰り返して分析してみた。 ・縦のループパスでボールが落下した時点で、西田はゴールに向かって走っており、胸トラップすればそのまま高原と1対1になったであろうという場面で倒された。これがFW西田からの視点。 ・ナオキは右から走り込んで来て、落下するボールを見ながら並走。バウンドしたボールを振り上げた足でクリアした。これがDF視点。 この状況を大西主審は背後から見ていて、西田の抜け出しの速さから「得点機会」に見えたのだろう。ホームゴール裏のコンササポも100%あれは得点機会じゃないとは言い切れないだろう。 場所はペナルティーエリア内で、西田が倒されたのは事実だ。しかも西田はシュート寸前だった。故意に倒れたのではなく、ナオキのクリアが勢い余って、ナオキの身体を預けられ西田が転倒している。ナオキも一回転するほど強い当たりだった。以上が主審からの視点。 で、大西主審はまず両者が転倒した位置を指差しPKを宣告した。次にレッドカードを持ちナオキや西嶋、吉弘、芳賀らコンサ選手の猛抗議に首を振る。そしてナオキを手招きしてレッドカードを高々と掲げた。 ここまでをまとめよう。 1)西田はゴールに向かいPAに進入、シュートの体制に入っていた。胸で押し込むか、トラップしてから打つ可能性はあった。 2)ボールに触ったのはナオキが先だった。そのことによりボールは左側に逸れクリアされた。 3)ナオキがシュート体制に入った西田を倒したのは事実。つまりPA内での得点機会の阻止ということになり、ファウルの判定とPKは仕方ない。 さて、大西主審がここで一発レッドを出したのは正当だったのか不当だったのか。 ・イエローつまりナオキへの警告だけで良かったんじゃないか ・PKというのはその名の通りペナルティのキックだ。それで十分だ ・なぜ一発レッドでナオキを退場させなければならなかったのか ・倒して1枚目のイエロー、異議で2枚目のイエローを出して併せてレッドならまだわかるのだが ・ナオキのプレーが一発レッドをもらうほど悪質なものだったのか ここで大西主審は「サッカー競技規則12条5項」を振りかざすわけだ。やだやだ。 5.フリーキックまたはペナルティキックとなる反則で、ゴールに向かっている相手競技者の決定的な得点の機会を阻止する。 規則をよく読むと今回のケースでは「PKとレッドカード」はセットなのである。理不尽といえば理不尽のような気がするけど、PA内では圧倒的にFW有利なのである。 PKは仕方ないけどレッドは厳しすぎ…という感情がドーム全体を支配していた。しかしPKだけでは済まされないのが現状のルールらしい。 この事があまり知られていないのは、コンサのFWが前を向いてゴールに向かわないからである(毒) 道新・FORZA!コンサドーレは「微妙な判定」。 「動揺…劣勢覆せず 開始直後、微妙な判定で石川退場」 「試合が始まってわずか2分。ペナルティーエリア内で守備の要、石川が相手FWを倒したとしてレッドカードが出た。相手より先にボールに触っており、微妙な判定にも見えた。だが、猛抗議が受け入れられるはずもなく、札幌は10人に。PKも決められ、いきなり窮地に追い込まれた」 ・PA内で倒した ・相手より先にボールに触っている 先にボールを触ってもPA内で倒せばPK&レッドカードだ。 結果論で申し訳ないが、西田と高原の1対1で高原に任せるという状況判断がベターだった。あの場面、ナオキのクリアは必要だったのだろうか。ああいう状況になった以上は高原に任せるべきではなかったのか。高原がどう考えているか知りたい。 報知は「不運な判定」。 不運な判定で、札幌のゲームプランは一気に崩れた。前半2分、横浜CのFW西田の突破を、ブロックしたDF石川が先にボールに触れたように見えたが、大西主審がかざしたのはレッドカード。PKでの先制点だけでなく、守備の要まで失ってしまった。 FW西田の突破をブロックした場所はPA内、だからPKはわかる。 だけど、先にボールに触れたのだからレッドは違うんじゃないかというニュアンス。 コンササポのブーイングもまさにこの視点に尽きるだろう。 最後に「あるコンササポの視点」を紹介したい。 ナオキの首の負傷だ。1分のシーンを難なく切り抜けたとしても、恐らく横浜FCはナオキをハイボールなどで狙ってきたであろう。 藤山が累積警告で出場停止で吉弘が入り、久々に石川&吉弘のCBだった。高原を含めたDFの連携の部分で不安はなかったのか。代償が大き過ぎたナオキのPA内クリアは、諸々の心理的な不安要素が背景にあって、一瞬の判断を狂わせたプレーだったのかもしれない。 コンサ目線で言えば監督も選手もサポも、ナオキを擁護し主審を批判するのは当然だ。あの一発レッドで「試合が壊れた」のは事実なのだから。だけどあえて「ぶち壊された」という被害者的表現は避けたい。あの1点は「事故」であった。そういう理解の方が良い思う。前半あの1失点だけならなんとか出来たと思う。だが残念ながら試合巧者は横浜“赤帽”FCだった。 少しだけ考えておきたいのは、西田とナオキが全く反対の立場だったらどうだったのかということ。コンサのFWが同じ倒され方をしたらどうだったか。俺なら「PKだ」「レッド出せ」と言ったかもしれない。 というか実際に後半セイヤがPA内で倒された。バランスをとってPKが妥当だったと思う。 後半のチャントは魂が入っていた。ハーフタイム明けの一曲目はまさに「愛と哀しみのコーヒールンバ」だった。やり場のない怒り、悔しさ、悲しさ、そして何よりも10人になってしまったコンサ戦士への激励がこもっていてもの凄い迫力があったと思う。それだけに前半の2失点目が残念でならない。セイヤの気迫のこもったヘッドが素晴らしかっただけに…。
posted by odo |20:07 | Naoki ISHIKAWA | コメント(0) | トラックバック(0)