コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2007年11月05日

We've Got The Wind

季節外れの芝桜が2輪。

あと2勝で昇格だ。 
もう一踏ん張りだ。

そんな花からのメッセージに思えるんだな。

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まだ何も手にしていない。油断大敵だ。
昇格は確かに手にしていない。
だが、残り3試合を堂々と戦いきり結果を出す予感がある。
確かな戦術があるから、選手達に迷いがない。
三浦監督の組み立て通りにここまで来ている。
勝利の積み重ねが自信になり、自信が確信に変わっている。

春先から一度もブレなかった確固たる戦術。
戦術浸透を怠らず一体感を高めながら勝てる組織を育てた。
長いJ2ロードを終盤までもつれると読んだ監督の分析。コンサは戦力的には決して下馬評は高くなかった。
開幕前のインタビューで「下馬評が上がってこない」と苦笑していた三浦監督。だが、腹の中ではどう思っていただろう。「監督の腕の見せ所」だと逆に思ったのではないか。
現有戦力を適材適所で効果的に使う事を考え、スタメンとサブの仕事を切り分けた。選手達に自分達の役割が何であるか明確に教えた。

ソダンが開幕前、昨季からの戦術変更に関してこう言った。
 「4バックでゾーンディフェンスというのは、いかに要領よくやるか」
 「自分達から無闇にスペースを作らない」
 「ボールを回されてるのではなく、回させる」
 「全員が動かないと成り立たないので、1つになってやっていく」
 「チャレンジして力をつけて自信につなげる」

「全員が動かないと成り立たない」サッカーは、後に
「ハードワーク」というキーワードとなって三浦07版サッカーの象徴的言葉へ昇華していく。

スカパーのJリーグプレビューショー「People」という番組で、三浦監督はサブの起用法について次のように明言している。

「やっぱりリザーブのメンバーにスタメンより能力の高い選手、ある短い時間だったらその選手の方が良いという選手を、わざとリザーブに置いておくっていうのも“手”だよね」

この時期、「スタメンより能力の高い選手」とは砂川誠を、「ある短い時間だったらその選手の方が良いという選手」とは石井謙伍を差していた。

スナ:「これだけ戦術的な監督はホント初めてだし、哲学とか戦術的な部分が自分の中である監督なのかな」

ソダン:「ベーシックな事が多いんですけども、戦術というキーワードでチームがまとまっているのが大きいのかな」

三浦:「シンプルに物事を伝えること。そして俺が選手に伝えた時に、結局伝えた事により選手が変わらなければ意味がない。言っても変わらないないなら言わないほうがいい」

上記のコメントが、今までの監督と一味違う三浦式の指導法なのだ。
そしてこの指導法が“今の”コンサにぴったりハマったと言えるだろう。


☆ ☆ ☆


コンサドールズが「ゲット・レディ」を踊る。2007年コンサ躍進の思い出として記憶に残る1曲になるだろう。その一節とこじつけの解釈。

  ♪Whenever I'm asked who makes my dreams real, I say that you do
  (俺の夢を現実にできるのは誰かと言えば、もちろん君って答えるさ)

J1昇格のためには、三浦戦術を理解し(選手だけでなくサポーターも)信じるしかないと思った。

  ♪So get ready, so get ready, 'cause here I come
  (覚悟しろ、俺は[J1へ]行くからな)

三浦監督は就任記者会見で既に言い切っている。

「J2の目標は、唯一J1昇格しかない」

去年ヤンツーから「J1へ行きたい選手が何人いるのか」と嘆かれた選手達が、一つの目標に向かって再び走り出した。


☆ ☆ ☆


3月10日、第2節ドーム鳥栖戦、コンサの今季初得点を決めたのは藤田征也だった。
西谷と共に両サイドから起点を作りワイドに攻撃を仕掛ける型が見えた。

1-0鳥栖。三浦監督がホームゲーム初戦で今季初勝利(開幕アウェー京都に敗戦)を飾ったことは非常に大きかった。

「まず、コンサドーレの監督となれたことを非常に光栄に思います」
「熱狂的なサポーターが後押ししてくれる雰囲気、地方のエネルギーです。その辺に魅力を感じた」

就任記者会見での三浦語録に沸々と湧き上がるものを感じていた。サポーターの一人として。それを勝利と言う形に変えられた事は凄く大きかった。
この試合から新チャント「俺達を揺らせ」が歌い始められる。

 熱いプレーで 俺達を揺らせ
 もう焦らさないで 我慢できない


3月17日アウェー、3-0徳島。
西谷が「ツートップがしっかりとボールを収めてくれたので、前を向いて思い切ってプレーできました」と言えば、
元気が「勝とうという気持ちが相手より勝っていたと思います」と言った。
戦術をマスターし、結果を出そうとする意気込みが伝わってきた。

この頃から三浦監督の人心掌握術に興味を持ち始めた。
三上強化部長が「ハートに火をつけるのがうまい」と発言し、練習場で効果的な檄を選手一人一人に飛ばしチームを一体化していった。
これについて西嶋が「瞬時に分析して的確な指示をくれるし、気持ちを奮い立たせてくれる」とコメントしている。


3月21日ドーム湘南戦は0-0のスコアレスドロー。
三浦監督は「最終的には互いが決定力を欠いたというゲームだった」
「・・・・後半流れがこっちに来たという考え方もできる」というコメントを残した。
前半が良ければ、後半は向こうに、逆に前半が悪ければ、後半はこちらに。バランス感覚で試合の流れを表現した。スカパー解説やドイツ時代の経験だろう。シーズンの好調時でも同じような事を言っていて「ここまで連敗しないで順調に来たから、これから連敗するかもしれない」と予測していた。力の差が無いJ2だからこそ、常に相手とフィフティ・フィフティの前提で戦術を編み出していた。連勝しても浮かれない、連敗しても悲観しない。いつも「やる事は同じ」。選手も異口同音にそう語っていた。一本筋が通った信念は、勝ち点を重ねるほど揺らぐ事はなかった。

3月31日室蘭、1-0セレッソ大阪。
「前半からオーガナイズされた(組織的な)ゲームができた」
「一進一退のなかで、1点が重い試合になった」
「戦術的な理解が上手くいっている」
「全員がしっかりハードワークできていた」
監督が春から秋まで同じ戦い方を貫いているのがよくわかる。
芳賀主将も「みんなが最初からハードワークできていた」。
今季の札幌スタイルが「ハードワーク」でしっかり守り1点を大事にするスタイルだと知らしめた試合だった。
第1クールでは4試合の「1-0勝ち」があった。


4月22日ドームの東京ヴェルディ戦。4-3で激勝し首位に立つ。
前半の16分までに3点を奪い、3-1でハーフタイムへ。ここで監督は次のように選手に語った。

「これだけのお客さんが入ったなかで、逆転されるというのはあってはいけない」

前半で3点取ったということは、逆に後半にヴェルディの逆襲がある・・・そう伝えているのである。
三浦流のバランス感覚は危機管理能力でもある。


5月6日厚別仙台戦から、6月10日アウェー鳥栖戦まで7連勝を記録する。開幕前、昇格要件として「10連勝」を挙げていたが、事実連勝する力を持ったヴェルディが2位に来て、仙台が3位につけている。
この時は不幸にもアウェー愛媛戦で唐紙主審が試合をぶち壊し、連勝がストップしてしまう。しかしながらゴールデンウィーク開けからの7連勝は後々まで勝ち点の「貯金」として活きてくる事になる。7連勝のうち完封勝ちが実に5試合、1点差勝ちも5試合。この頃からサポーターは内容がどうであれ「勝ち点は減らない」と口にし始める。三浦1-0サッカーが認知されてきた印象です(笑)


6月16日厚別徳島戦から7月21日厚別東京V戦まで、ドローが4試合(2勝4分)。過密日程や台風中止など移動疲れの影響もあって微妙に失速を始める。
7月25日、負ければ首位陥落の危機だったアウェー仙台。
藤田征也が大活躍し、元気&ダヴィがアベックGOALを決める(死語混じり)。しかし試合後の三浦コメントは征也に対しまだまだ辛口だった。

「2点目をああいう強引な形でアシストしたのでそこは評価できるが、
前半はどうもいまひとつゲームに乗れていない印象があったし、
後半の途中も交代しようかなと思うほど、息が上がったのか守備に戻れなくなったり。最後はまた良くなったが。やっぱり、試合に出ていないとダメ、ということだ。
ヨーロッパにいくら行こうが、試合に出ていない選手は落ちる、ということ」

後で振り返ってみると、右サイドアタッカー・藤田征也に対する期待の表れなんだと思う。
まだまだ伸びると踏んでいるから、4-4-2の肝である右アタッカーで使い続ける、という事なのだろう。
開幕ゴールを決めてからレギュラーを手放さなかった征也と、抜擢し続けた監督の信頼関係が躍進の原動力の一つだと思っている。開幕前、左は西谷で計算できたが、右は未知数だったのだから。

仙台に関し「パスサッカーという意味では、J2で一番しっかりとしたチームだ」と評しているのも興味深い。
9月15日、第4クール初っ端の大一番で0-1で仙台に敗れた後も妙にサバサバしたコメントだったのは、仙台の組織力を認めているからこそなのだろう。


4月11日西が丘ホーム福岡戦0-0の次、15日水戸戦から、9月2日函館愛媛戦まで、コンサは27試合連続ゴールという大記録を密かに作っている。27試合完封されず連続で誰かが点を取っている。「攻めろ!攻めろ!」とアクション&ムービング(今では愛媛のスローガンだが)にこだわった昨季でもできなかった素晴らしい記録だ。昨季の得点源フッキが抜けた分、全員で得点するという意識に切り替わっていった。
8月 5日アウェー草津戦3-0 の得点者は、元気、スナ、征也。
8月11日ホーム桜大阪戦3-0 の得点者は、征也、ダヴィ、西谷。
8月16日アウェー京都戦3-2 の得点者が、西嶋、ダヴィ、謙伍。

3試合連続3得点。日替わりヒーローが、昇格チームの原動力と言われるが、この頃のコンサはまさに勢いがあった。


☆ ☆ ☆


8月19日の室蘭湘南戦から、三浦監督が危惧していた「連敗モード」に突入する。チーム全体もサポーターもスランプ状態に陥り、ネガティヴな雰囲気が漂い始める。今季最大のピンチを迎え三浦監督は次のように述べた。

「チームがまるでハーモニーを失ってしまった」
「負けが込んできて、みんなが精神的に非常にネガティヴになっている」
「プロのメンタリティとしては弱いんじゃないかという印象」

そして、監督自身も未知の世界へ突入していた。

「特に誰かが欠けたというわけでもないのに、
これだけおかしくなるというのは、私としては初めての経験」


×○×△×××○××

湘南、水戸、徳島、仙台、湘南、東京緑、桜大阪 に7敗を喫してしまう。
そんな中、強力な助っ人がやってきた。
閉塞状態のコンサに新しい息吹を入れてくれた。

 鄭 容 臺

チョン・ヨンデと呼んで、だ。在日韓国人なので外国人枠ではない。
外国人枠はブラジル人で一杯だし。(ブルーノ、ダヴィ、カウエ、イタカレ)
守備的なMF兼DFとして、大塚と西澤の穴を見事に埋めた。獲得した強化部もまた適材適所な選手に目を付けたものだ。三浦監督と三上強化部長の信頼関係があってこその補強だった。このまま昇格を決めたとすれば、後半戦最大のキーマンだったと言える気がするヨンデ。

満月の厚別ナイトゲームで芳賀とボランチを組み札幌デビュー。昨季横浜FCでJ1昇格を経験している頼もしい男が、選手の遣り繰りに苦しむコンサを救った。セカンドボールが拾える場面が増えたのはヨンデのおかげである。この夜、藤田征也が2アシスト1ゴールで3得点に絡む大活躍を見せた。

「ストライカーの2人の貢献度というのは、(2得点のダヴィだけでなく)中山は点を取ってなくても大きかったと思いました」

ダヴィも「まだまだ伸びる選手」と評しており、「守備が出来るFW」が監督が最優先で求めるFW像だということが改めてわかる。
この頃、相川がFC岐阜へレンタルされ、西大伍がブラジルへ留学する。


9月30日、味スタでヴェルディに歯が立たず1-5で大敗。
この時点で「眼下の敵」がヴェルディだと意識する。眠れる獅子(の髪型のラモス)が覚醒したのだ。あーコワイコワイ。
ヴェルディは4月7日第7節から5月3日第13節まで7連敗してくれたのだが(22日ドーム3-4札幌含む)、ここに来てフルスロットルの快進撃。超獣金髪フッキが大暴れモードで手に負えない。
8月19日から負け無し △○○△○○○○○○○○△ と8連勝を含む怒涛の勢い。
その意味では前節の「ザ温泉草津」に大感謝である。


コンサは1年目のヤス岡本がラッキーボーイ1号、ブラジルから緊急帰国の西大伍がラッキーボーイ2号となって勢いを取り戻した。
自分達のスタイルを思い出したここ4試合。4連勝。
計り知れない意味を持つ重たい4連勝だ。4連笑と書きたいくらいだし、その「笑」は涙交じりのものだった事は内緒にすることもない。
ドローに終わった函館愛媛戦で「唯一の救い」だったオカモッチャンとダイゴが得点を決め、しかもそれが貴重な貴重な決勝ゴールになった。

10月20日のアウェー福岡戦 得点者:岡本
10月27日のアウェー愛媛戦 得点者:西

三浦監督は愛媛戦翌日のトークショーで、2人に関する質問に次のように答え爆笑を誘った。

「岡本はヘディングが下手なので、何度も練習させていました」
「たまたま決まりました、ですねぇ」
『「あれ岡本?」と聞いたら「そうだ」というので・・・・ハプニングゴールですね』
「まさか岡本が決めるとは思わなかったです」
「スカパーで秘密兵器があると言ったのはハッタリでした」
「西がゴールするとは思っていませんでした。奇跡的です」
「西にですか?試合後は特に声を掛けていません」

監督は若手が活躍しても手綱をぎゅっと締める。そこら辺はヤンツーとも被るところがある。
だが、こうも述べている。
(アウェー福岡戦、ホーム徳島戦、アウェー愛媛戦 全て1-0勝ちと本来の勝ち方に戻り)
『3連戦で「運があるな」という直感があります』

監督は第4クールに入る頃に「これから先は理屈でない部分が強くなってくる」と述べている。若武者が決勝点を生み出したのは「理屈ではない」何かが働いたとしか思えない。
ヘディングが苦手なヤスがスナのクロスをヘッドでゴールに叩き込み、ブラジルから帰国後合流しドーム弁当に「涙が出る程美味い」と言っていた大伍が、帰国3日後の愛媛でロスタイム弾をぶち込んでしまうのだから・・・・。
ゴール直後の監督の飛び跳ねる喜びようは何度見ても感動的なシーンだし、試合終了後の大伍の弾ける笑顔と祝福するイレブン、ゴール裏でサポ達と握手する大伍を見て「チームはまた上昇気流に乗った!イケる!」と思ったサポも多いのではないか?今季、いや過去をさかのぼっても最大級の喜びインパクトだった。間違いなくコンサ史に残るメモリアルなゲームになった。

それまでアウェー5連敗を食らっていたことを考えると、この2人の若武者がコンサを救ったと言っても過言ではない。
中途加入でフル出場「戦術が自分に合っている」とまで言ってくれるヨンデ、ルーキーながら今までのコンサの選手になかった創造性を身に着けているヤス岡本、ブラジル帰りで結果を出してしまうミラクルボーイ西大伍。ニューフェイスが怖いもの知らずでパワーを発揮してくれた中、前半を支えてくれていた故障者が次々帰ってきた。
フロントの計らいでヴェルディ戦大敗直後から勝利給が2倍になったという。全員が勝者のメンタリティを身に着けたのは三浦コンサになってからの収穫である。

西大伍のミラクルゴールは全員が戦術を理解していたからこそ、もぎ取れたのではなかったか。征也が故障欠場、右アタッカーを岡本が務め、途中交代した大伍が果敢にアタックした。その前の場面、曽田が後ろから元気の場所に上がっていた。ダヴィとの2トップで元気の代わりにハイボールを落とす役割をこなした。そのたったの1プレーが相手DFに当たって跳ね返りが大伍の前に落ち、ドリブルで突破しシュートに持っていった。
4-4-2のパーツパーツでやる事が決まっているサッカー。誰が入っても同じ事をやる「オートマチズム」こそ三浦サッカーの真骨頂なのかもしれない。

ラストスパート、最後の決戦。
残り3試合(アウェー鳥栖戦、ホーム京都戦、ホーム水戸戦)を残し、勝ち点87は堂々たる成績である。
開幕前の目標勝ち点「90」まであと1勝。自力昇格まで1勝1分、2勝1分なら自力優勝だ。
俺達はスローガン通りJ1昇格へ向け一つになっている。
文字通り「Power To 1」だ。
大塚真司選手、もちろん貴方も入っていますよ。


We've Got The Wind
(私達は風を得ました)

風は間違いなくコンサに吹いている!!


posted by odo5312 |09:10 | 三浦俊也監督 | コメント(6) | トラックバック(0)