2007年02月08日
除雪車
雪祭りがはじまって、ようやく。ようやく札幌らしさになってきた。 こんな季節にアスファルトが見えるなんて、歩くのも運転も便利だけれど。 やっぱり全てが真っ白で、車を運転していても前の車がパウダースノーを振りまいている様が車のライト に照らされていると。あ~すてきと思うし安心する。 今朝、相方の朋ちゃんが、いつものようにユースの子たちの朝ごはんを作りに来てくれた。 「あ~雪かきしなくっちゃぁ!」と一仕事終えた朋ちゃんがコーヒーを飲みながら言うのである。 ・・・どこの??? 「寮の階段が雪に埋もれて迂回しなきゃ帰れないから。」と何やら決意のような諦めともとれるようにいうのです。 踊る大走査線の青島刑事のような分厚いコートを着てニット帽を装着して「うん!」とうなづいて朋ちゃんは、玄関を後にしていた。 「うん!」とうなずいた朋ちゃんをほってはおけない。 これはいかん!と思った私もソックスを装着してスノボの手袋を装着して、 ほぼパジャマのまま裏手の階段のほうへ出た。 大きなシャベルでガリガリと埋まった階段を朋ちゃんは必死に掘り起こしていた。 前日の夕方、除雪がはいり、階段の入り口は、高く凍った雪が積みあがっていた。 プラスチックのシャベルでは、歯が立たないのでツルハシで参戦することにした。 踊る大走査線の青島刑事のような分厚いコートとニット帽を装着している朋ちゃんと ほぼパジャマでスノボ用のグローブでツルハシを握り締めた私たちの「階段はどこだ!」大会が始まった。 一晩で降った雪が原因なのか。除雪が原因なのか。 ・・・今となっては、どうでもいい話をぼやきながら先の見えない白い山と戦っていた。 途中で、夢中になりほぼパジャマのヒザをつけてガリガリとツルハシで削ると朋ちゃんが、 大きなシャベルでザクザクと外へよけて行く。 それぞれに好き勝手に、雪が原因?除雪?ぼやきつつも呼吸はピタリと合っていた。 後ろでは、住宅街の除雪が入っていて「グオングオン」とうなりを上げていた。 コレ、昨日降った雪なの?それとも除雪なの?と昔語りを繰り返すかのように同じ話を繰り返していた。 「あっこちゃん。後ろ気をつけてね!」 後ろには、大きな除雪車が止まっていた。 こんな高いところにいたら、まさか轢かれないよね~と気を使ってくれた朋ちゃんの話をスルーしてツルハシを持つ手をぎゅっと握りしめた。 パパッツ ・・・・なに~クラクション鳴らされたぁ。こんなに雪かきに燃えてる小高い雪の上でツルハシ握り締めてるアタシが邪魔だったのぉ? とやぶにらみ・・・だったかもしれない・・。 その除雪車に乗っている運転手の方が「どきな!」と手で合図した。 ・・・高倉健に見えてきた・・。 ・・・まさか・・。 私は、小高い雪山からツルハシを抱えて飛び降りた。 ぐおーーーーん 軽くバックした除雪車は、体制を整えて大きな除雪のシャベルをしまふく寮の埋まった階段をめがけて向ってきた。 ・・・・ひと掻きだった・・・。 ご丁寧に、もう1度突っ込んできて間口が広くなって、とても高級感がある。 踊る大走査線の青島刑事のような分厚いコートとニット帽を着た朋ちゃんと、ほぼパジャマにグローブをはめた私たちは、2人揃って“黒縁のメガネ”を装着していた。 メガネコンビは、その爽快感に心踊り、除雪車が見えなくなるまでいつまでも、いつまでも手を振り続けた。 幸せな気持ちになった。
posted by murano |01:29 | しまふく寮 | トラックバック(1)