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HN:たじ たこ焼きの移動販売「ほっと12」の店主です。 2001年からコンサドーレのサポートシップスポンサーを継続中。 このブログは旧題「たじ争論」でしたが2010年より「たじの○○な話」に改題致しました。 個人的に好きなことや興味のあること、気になったこと、その他いろいろを特にサッカーやコンサドーレにとらわれずに適当に書いてこうと思ってます。

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バンクーバー五輪女子フィギュアのこと(3)

2010年03月03日

ここでで少しヨナについて書いてみたいと思います。もちろん、ヨナは優れたスケーターです。16歳でシニアデビューしたときは結構衝撃的でした。真央と同い年でこんなスケートをするのかと。ただ、どうにもその後行動言動が好きになれない部分がありました。ジャッジ批判をしたり、他選手の演技にケチを付けたり、他選手に練習の妨害されたと言ってみたり、およそスポーツマンシップに反するような言動、行動がたびたび見られました。それもチーム・ヨナの戦略の一環なのかもしれませんが、一方一切言い訳をしない、人のせいにしない浅田真央とどうしても比較してしまいますから、能力的に優れていても、ヨナは自分にとっては魅力を感じないスケーターとなってしまいました。

とはいえ私は真央贔屓ではあっても、ヨナに魅力を感じないといっても、ヨナのスケーターとしての能力を低く評価しているつもりはありません。ヨナの演技の最大の得点源はやはり安定した3-3のコンビネーションです。非常に早い助走スピードで踏切り、飛距離のあるファーストジャンプからのセカンド3Tが抜群にうまい。要はファーストジャンプの横方向のエネルギーをトゥをを付くことで見事に縦方向のエネルギーに変換することができるので、高さのあるセカンド3Tを跳べるのです。回転不足との指摘もありますが、そうはいってもオーバーターンやステップアウトすることがほとんどないのですから、その安定感は女子では随一です。

さらに、ヨナの最大の「強さ」はメンタルにあると思います。チーム・ヨナの完璧なバックアップがあったところで、本人の演技がちゃんとしてなければ全く意味がありません。国家プロジェクトとも言えるそのプレッシャーの大きさというのはとても想像できません。対して日本の場合は他にも有力選手がいるのですから、真央と比べるならば明らかにヨナの方が大きなプレッシャーを受けていたと言えるでしょう。その中にあってこの五輪でのあの演技。その精神力の強さにはさすがに脱帽です。ヨナは本当に強い。表現力については・・・まぁ「好みの問題」とだけ言っておきましょう。

他方でヨナにも弱点はあります。以前腰を痛めたこともあるせいか、フィギュアスケートの選手としては身体が硬いほうです。そのためスピンやスパイラルのポジションは正直あまり美しくはありません。それとスタミナ不足も弱点の一つです。2分50秒のショートはいいのですが、4分のフリーとなると演技後半かなりバテてしまい、ミスが出ることがよくありました。というか、フリーをノーミスで滑りきったことはほとんどないです。しかし、今回のオリンピックでは見事にその弱点を克服して、フリーもノーミスで滑りきりました。

もう一度ジャッジの話に戻します。ショートが終わった時点でヨナが真央を4.72点リードしています。そしてフリーの滑走順というのが一つの妙だったと私は思っています。最終グループの3番目がヨナで4番目が真央。真央は今季ずっと不調だったので、この五輪のショートプログラムで真央が完璧に復調し、見事な演技をしたことにジャッジの面々も驚いたことでしょう。この調子でもしフリーでも完璧な演技をしたならば、どのぐらいの点数になるのか。

格付けとしてヨナ>真央と考えているジャッジにとって、先に滑るヨナに確実に真央より高いスコアを付けるためには、もうこれ以上ないというくらいの目一杯の加点を付けることが必要だったということだと思います。どんなに真央が完璧に滑っても絶対に超えることのできないようにジャッジがヨナに与えた得点。それが150.06点。
つまり、この点数は半分は真央が出した点数だとも言えるのです。真央の神演技にビビってジャッジがヨナに点数を付けすぎてしまって、結果としてとんでもない点数になってしまった。でもジャッジにしてみればヨナ>真央の格付けを守るにはそうするしかなかった。逆に真央が先に滑って、今回の結果のように真央の点数が131.72だったとすれば、ヨナの点数はおそらく140点程度だったのではないかと私は想像してます。

この150.06という点数を見た時、私は非常に白けた思いがありましたが、他方で「さすが真央」という誇らしい気持も沸いてきたのです。(続く)


post by たじ

21:04

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バンクーバー五輪女子フィギュアのこと(2)

2010年03月03日

なぜ真央の点数がヨナに比べて低いのか、具体的に考えてみます。ヨナの一番の得点源は演技冒頭の3Lz-3Tです。このジャンプは基礎点10点、そしてフリーでは出来映えの加点2が付いて12点。コンビネーションジャンプ一つで12点です。対して真央は3A-2Tのコンビネーションジャンプです。基礎点9.5点。あれっと思った人もいるかと思いますが、実は女子では真央の他に誰もできないという超高難度のコンビネーションジャンプがヨナのコンビネーションジャンプより基礎点が低いのです。出来映え加点は0.2で合計9.7点。なんとせっかくトリプルアクセルを跳んだというのに最初のコンビネーションの段階でヨナに2.3点も差を付けられてしまったのです。

これが現行ルールの問題点の一つです。フィギュアスケートのジャンプの点数は男子も女子も同じです。つまりトリプルアクセルというジャンプは男子が跳ぼうと女子が跳ぼうと点数上は同じ価値なんです。これは実際の競技者の視点で考えると大きな違和感があるのではないでしょうか。男子にとってはトリプルアクセルもトリプルジャンプの一つに過ぎないのですが、女子にとっては歴史上ほんの数人しかできない最高難度の技です。ましてコンビネーションを跳んだ真央は人類史上唯一の存在なのです。トリプルアクセルのレジェンド、あの伊藤みどりも女子がトリプルアクセルを跳ぶことの価値の高さを常々主張しています。その人にしかできない最高難度の技に対してはもっと点数を付けてもいいのではないか、男子と女子ではトリプルアクセルの価値が違うのだから点数を変えてもいいのではないか、という議論があるのは当然のことのように思います。これはあの男子の四回転論争にも根底では通ずる考え方です。

更に言うと、ヨナの3-3のコンビネ-ションに加点が2に対して真央の3A-2Tの加点が0.2点ということも問題です。女子にとってトリプルアクセルはランディングできるだけでも凄いことなのに、男子並みのクリーンジャンプを跳ばないと大して加点にならないというのはあまりにも女子選手には酷。結果としては真央のトリプルアクセルは大技のわりにルール上は得点の稼げない技というのが実態です。

ではなぜ真央はそんなハイリスクローリターンなトリプルアクセルにこだわるのでしょうか。それは本人が自分の一番の武器、自分のアピールポイントだと思っているというこだわりももちろんありますが、それ以外にもルールの変更に真央がうまく対応できなかったという理由があります。
その一つ目はルッツ。ルッツジャンプとフリップジャンプのエッジ判定が厳格化されました。ルッツはアウトエッジ踏切なのですが真央のルッツはインエッジで踏み切る癖がありました。そのためエッジエラーで減点されることになり、当初はルッツジャンプの修正に取り組んでいた真央ですが、どうしてもエラー判定をうけてしまい、最終的にはルッツをプログラムから外すという決断をせざる得なくなりました。
二つ目は回転不足判定によるダウングレードを厳しく取るルール変更。真央はもともと3-3のコンビネーションも跳んでいましたが、セカンド3Loがどうしてもダウングレードを取られてしまい、結果としては高得点を狙うコンビネーションは3-3ではなくて3A-2Tにするという決断をすることになりました。ルール自体は公平なのですが、このルール変更は真央の弱点をねらい打ったような印象がないでもありません。

ちなみに、ルール変更による直接の不利益ではないですが、真央にはもう一つ、サルコウジャンプが苦手だという弱点があります。真央はサルコウもマスターするために随分と取り組んできたのですが、試合での成功確率が五分五分くらいなので、これもまたプログラムに入れることを諦めました。結果としてプログラムに組み込めるジャンプの種類が限られてしまい、トリプルアクセル中心のプログラム作りをしなければならなかったのです。

対してヨナもフリップジャンプがエッジエラーっぽく、また3-3のコンビネーションもセカンドジャンプが回転不足気味だと指摘する声もありますが、実際にはジャッジから見逃されて減点されていないことが多いというのは事実でしょう。「ヨナの3-3はクリーンで完璧」。もしジャッジがこういう先入観を持っているならばエッジエラーや回転不足が見逃されてしまうということは大いに考えられます。こういうことがあるから採点競技においてはロビー活動というのが非常に大切であり、チーム・ヨナは見事にそれをやり遂げたという事なのだと思います。(続く)


post by たじ

08:41

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