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2007年02月03日

勝つための最善の努力

プロスポーツは勝負であり、かつエンターテイメントでもある。勝敗のみならず、観客を満足させるパフォーマンス(試合内外とも)を提供することが使命である。

スポーツに限らず、対戦型競技というのは技術、戦術が向上していくと大抵守備的になる。対戦型競技は基本的にはミスをした方が負ける仕組みになっているので、勝とうとすれば守備的技術が向上するは必然である。

しかし、ハイレベルな防御合戦ではエンターテイメントとしては面白くない。
そこで必要なのがルールの改正である。防御合戦で面白くなくなったなら、攻撃側に有利なルール改正を行う。その繰り返しにより競技とエンターテイメントの微妙なバランスが維持されるのである。サッカーにおいても、オフサイドやバックパス、チャージなどに関してかつてよりも攻撃側に有利なルール変更が行われてきたし、これからもそのようなルール変更は行われるであろう。

さて、何が言いたいのかというと、「守備的な試合は面白くない」という批判の矛先が往々にして戦術に向かうことがあることに対する疑問なのである。よく言われる「ヒキコモリのカウンターサッカーはつまらない」というようなこと。プロスポーツにおいてはエンターテイメントも大切だが、勝つための最善の努力をすることが大前提である。勝つための最善の努力として守備的戦術があるのであれば、それが批判されるというのは論理的とは思えない。ルール下において勝つために最善と判断した戦術がつまらないのだとしたら、その批判はルールに向けられるべき、というのが私の基本的考え方である。

プロである以上、客を喜ばせるのが仕事ではあるが、客の喜びの最大公約数は「勝利」であるはずだし、またそうでなければならない。なぜなら、客の喜びの最大公約数が勝利でないのだとしたら、それは八百長すら可となってしまうからだ。勝つこと以上に客が喜ぶ方法があるのならば、勝つための努力より客が喜ぶための努力を優先する。それはすなわち八百長(片八百長)である。
私は勝つための最善の努力が最高のエンターテイメントとなる、というのが理想のプロスポーツのあり方だと思っている。もちろん、勝つための最善の努力として戦術が攻撃的か守備的か、というのは方法論の問題であり、また監督の哲学の問題でもある。

誤解のないよう念のため。上記は一般論であり、個別の監督の戦術に関して述べたものではありません。

posted by たじ |08:20 | スポーツ | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:勝つための最善の努力

どーもこんばんは。
わかりますよ、たじさんの言いたいことが(たぶん : 汗)
自分の感じるところでは、
『真剣勝負としてのプロ』であるのか?
『ショーとしてのプロ』なのか?
という判断ですね。
どちらもこれだけで見ると立派なプロなんですが、例えば後に「スポーツ」と入ると
後者は勝敗をつけてはいけないものになってしまいますし。
(ハーレム・グローブトロッターズ なんかがそうですね)
スポーツをビジネス一辺倒で考える人なんかはよくショーをメインとして行動します。
それと勝敗とを一緒くたにしてしまうので、ハァ?というような人がよく現れるんだという考えがあります。

水戸さんを指してよく言われる 「ミトナチオ」 
自分は
『なかなか簡単にはそれを破れない負け組が水戸さんに対して賞賛の意味合いで使う言葉』だと思っていますが、
いろいろな文章を見ると、馬鹿にした言いっぷりってけっこうあったりしますよね。
それこそ、『ヒキコモリ』だと。
そういうモノを見るたびに、『また負け犬の遠吠えだ』なんて思ってしまいます。
立派な戦術の1つであるのに。
バックボーンもなしに『ヒキコモリ』がつまらないという人は、まぁ住む世界が違うんでしょうけれど
少なくとも真剣勝負のプロスポーツには関わって欲しくはないですね。
そのような人達は、例えば
『センターラインよりも自陣側にいる選手の人数制限』
なんてアホらしいルールでもないと喜ばないのかなぁ? (苦笑)

posted by しゅ~ちょ~| 2007-02-04 02:48

Re:勝つための最善の努力

>しゅ~ちょ~さん
本文より内容の濃いコメントありがとうございます(笑)
「プロ」と「スポーツ」を両立させるということは、難しい課題ですよね。
地域や時代によっても違いますし。

posted by たじ| 2007-02-04 10:01

Re:勝つための最善の努力

興味深い話題ですね。よくプロスポーツは”結果を出さなければだめ”と言う言葉を聞きますが、大きな間違いだと思います。プロスポーツはビジネスである限り”ユーザーのニーズ”に答えるが至極当たり前の図式であると思います。Jリーグは歴史が新しく、サポーターのニーズが勝つことにしないから、上記のような言葉になってしまったんでしょうね。

上の人がトロッターズの話をしてますので、口を出しますがバスケットの本家本元のNBAは”ゾーンデフェンス”は禁止です。もう一つ国際ルールと違うことは、3ポイントが1m長い。どちらもインサイドのプレーを見せたいための工夫です。バスケットを楽しく見せるための努力だと思います。その上で勝負に拘る。すごい大事なことだと思いますが、杓子定規な日本人にはできない発想なんですね。自分はこんなことにこだわっているうちはJリーグは発展しないと思います。Jリーグも日本リーグ時代にはサッカーをより攻撃的にするために勝ち点を2から3にしましたよね。守備的にして引き分けをなくそうという工夫です。

もし自分がルールを作るとしたら、やはり”ゾーンデフェンスの禁止”ですね。

今の日本代表が1対1を苦手としている昨今で、その本元となるJリーグが組織で守る事を許しているうちは巧くならないですよ。結果的には見ている側が成長しないと日本のサッカーは発展しないということにもなるのかも・・・。何が何でも国際ルールに乗じないとならないとは思いません。でも、本当は暗黙のルールは出来ていますよね。ヤンツーをはじめとする指導者達の多くが意識改革しつつあります。そういう背景には”Jリーグの危機”があると思うんです。そこは単チームのサポとは言っても、見逃してほしくないですよね。

すごい面白い提案だと思いましたし、たじさんは広い視野を持った方と認識させてもらいました。

posted by とおりすがり| 2007-02-04 12:01

Re:勝つための最善の努力

>とおりすがりさん
NBAでは楽しく見せるためにルールに工夫をしているのですね。
勉強になりました。

posted by たじ| 2007-02-05 21:38

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