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2011年05月02日

フィギュアスケート世界選手権2011

震災の影響で約1ヵ月遅れで開催されたフィギュアスケート世界選手権が終わりました。五輪直後のシーズンということで、なかなか考えさせられることが多い大会でした。そもそもフィギュアスケートの演技を点数化して良し悪しを比較することができるのか、という根本的な事も考えてしまいますが、少なくともこの時期この大会においては点数や順位にとらわれないで演技を楽しめれば自分としてはそれでよしです。

【男子】
昨シーズンまでプログラムに4回転を入れてなかったパトリック・チャン(カナダ)はこの大会ではショートで4T3Tのコンビネーション、フリーでは4T、4T3Tと合計3本の4回転をクリーンに決め、その潜在能力の高さを見せつけました。深いエッジワーク、スピード感ある綺麗な滑りにジャンプ力も身につけ、鬼に金棒状態です。ただ、しいて課題を言うならば表現力でしょうか。華麗なスケーティングに対して上半身の動きは単調です。また、フィギュア定番のクラシック曲を使った演技なら大抵上手にこなせそうですが、例えばロックとかゲーム音楽とか、毛色の変わった音楽を表現できるイメージはありません。超一流のスケーターの彼がダンサーやアクターの要素も身につけることができたなら、本当に最高のフィギュアスケートの演技を見せることができるでしょう。

小塚崇彦はいよいよ、日本の真のエースへと歩み始めました。フリーでは全ての要素でGOEがプラス得点。流麗な演技に力強さが加わり、ほぼ完璧な演技でした。あとはメンタルを一段と鍛えて真の日本のエースになって欲しいです。まだ少し高橋や織田に遠慮している部分がなきにしもあらずかな。

この大会驚いたのはガチンスキー(ロシア)の急成長ぶり。去年まではまだまだニキビ面の少年という感じでしたが、今年は4T3Tを決めるなど、いよいよソチへ向けての強化が進んできたという感じです。彼の演技を見てジュニア時代切磋琢磨してきた羽生結弦は大いに刺激を受けたのではないでしょうか。ガチンスキーにとって今回の大会の経験は非常に大きく、一層の成長を遂げるのではないかと期待されます。

ブレジナ(チェコ)は久しぶりに見ました。ケガもあってしばらく滑れない時期がありましたが、ようやく復活しました。まだ荒削りな雰囲気もありますが、今回フリーで4Tと4Sという2種類の4回転ジャンプを決めていますし、まだまだ伸びしろがありそうです。

ここまでが上位4人です。5位以下に高橋大輔、織田信成、ジュベール(フランス)、ベルネル(チェコ)といった名前が出てくるのですから男子はあきらかに世代交代が進んでいます。高橋はブレードのビスが外れるというアクシデントがあり、納得のいかない大会になりましたが、そのせいもあってか「ソチを目指す」という宣言が出たのはフィギュアファンには朗報ですね。織田は3Tを3回跳ぶという規定違反をしたのは残念です。何回も失敗してるんだけどなぁ。7位のアモディオ(フランス)は今回も楽しいパフォーマンスを見せてくれましたが、あの曲はボーカル入りの規定違反にならないのかな?

今回不振だったのはアメリカ勢。9位ドーンブッシュ、11位マイナー、13位ブラッドレイという結果はかなり深刻です。3枠あった出場枠を2枠に減らしてしまいました。ソチに向けて出場枠を増やすのもかなり大変だと思います。
日本は今回も余裕で3枠確保してますが、来年はきっと羽生がこの争いに加わり3枠あっても出場権争いが一層激しくなりそうですね。

【女子】
安藤美姫は本当に素晴らしいスケーターになりました。多くの苦しみの時間を乗り越えて、心身共に充実した演技ができていると思います。以前はわりと演技が硬質だったのですが今はとても柔らかい演技が出来るようになりました。各エレメンツに対して余裕があるので、基本的に失敗するイメージが全く湧きません。女子選手の中では群を抜く圧倒的な安定感。これはかつてのスルツカヤ(ロシア)を彷彿させます。20代半ばにして益々円熟味が深まっていくと期待してます。

キム・ヨナ(韓国)は前回の世界選手権以降初めての競技会復帰。今期の演目については当然初めて見たのですが、全体としてはそれほどのインパクトはありませんでした。試合勘が鈍っていたということもありますが、既に十分な実績、キャリアがある彼女ですから個人的には今回特に評価する部分はありません。

コストナーも安藤と同じく20代半ばにして演技に円熟味が出てきました。長い手足を活かしたダイナミックで優雅な演技に深みが増したようでこれからも楽しみです。

今回大健闘だったのはレオノワ(ロシア)。感情表現豊かな彼女は、会心の演技ができたときにはいつも大きなガッツポーズが出るのですが、今回のフリーの後はトレードマークのガッツポーズではなく、その場で号泣してしまいました。それほどまでに素晴らしい演技でした。ロシア勢もう一人のマカロワはフリーの出来は悪かったのですが、なんとか7位に踏みとどまりました。新進気鋭の若手の台頭著しいロシアの選手の中にあって、20歳のレオノワは既にベテランの域にいますし、18歳のマカロワですら若手ではありません。彼女らも今後のロシア代表争いでは崖っぷちの状況ですから、この二人でロシアの出場枠を3枠に増やせたというのは大きかったですね。ソチ五輪がますます楽しみになってきました。

アメリカ勢ではフラットの足の故障が心配です。シズニーは比較的安定感のある演技で5位につけましたが、残念ながらアメリカとしては昨年失った枠を取りもどすことができなく、来年もまた2枠。出場権争いは来年も大変そうです。

さて、日本勢残りの二人は浅田真央と村上佳菜子。村上佳菜子は初出場で若干緊張気味な演技だったでしょうか。元気いっぱいが持ち味なので、満足のいく演技とは行かなかったようですが、この経験は来期以降に必ず繋がるはずです。
浅田真央の演技については今回コメントを控えます。ただ、演技終わった時の真央の表情から思うに、彼女は納得しているし、がっかりもしていないようです。強い意志を感じる表情を見て取れたので私も納得しています。


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posted by たじ |20:17 | コメント(2) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:フィギュアスケート世界選手権2011

アモディオ君についてですが、
今シーズンからミュージックバイオレーションは
レフリーとテクニカルパネルとジャッジ全員で協議を行い、
過半数を上回れば減点という事になったようです。

ちなみに今回は減点支持が5人、減点不支持が6人でした。

posted by min| 2011-05-02 23:04

Re:フィギュアスケート世界選手権2011

ご説明ありがとうございました。
微妙な判断だったんですね。

posted by たじ| 2011-05-04 17:58

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