スポンサーリンク

2018年04月01日

『サッカーロシアW杯新戦術』を読む。

>エイプリルフールネタなんぞ全く思いつかん…

 サッカーロシアW杯新戦術 (成美堂出版 928円+税)

 最近、5レーン理論というのがクローズアップされている。ツアー中に買ったfootballista3月号でも「ポジショナルプレー」「ハーフスペース」って何?という見出しがあるが、今回紹介する雑誌は5レーン理論のとっかかりとして読んでおくべきもの。footballistaが欧州のメガクラブ中心なのに対して、この本はW杯という視点から各国の代表チームに照準を合わせているので多少敷居が低くなっているというのも大きい。

 ロシアW杯を読み解く4つの戦術キーワードとして

①標準化された可変システム
②ポゼッション時は5レーン活用する
③GK経由のビルドアップ
④特定の個に依存しないビルドアップ

 が挙げられている。戦術リストランテでお馴染みの西部謙司氏が本家(?)ばりにカラーの図解付きで解説してくれているし、本家と違ってページを行ったり来たりすることがないので頭に入りやすい。可変システムが書籍で紹介されるほどに平準化している、システムは可変するのが当たり前というのを感じさせるものでこれだけでもお金出して読む価値がある。

 5レーン理論が標準化されても各国の代表チームのアプローチはそれぞれ異なるというのも面白い。パラパラめくった感じでは強豪国は4バックと3バックはほぼ半々くらい。どっちがいい悪い、旧い新しいではないということでもある。まだドイツ代表しか読んでないけどミシャコンサの3バックはこれが最も近いのかなとかミシャコンサと照らし合わせながら読み進めていける。
 共通して言えるのは選手の動きで隙を作り出す、約束事に基づいて風間理論で言うところの「背中を取る」ことを連携して行うことにある。アメフトをかじっているオレとしてはそうしたギャップ(隙、裏のスペースと言い換えることもできる)を作り出すとなると必然的に運動量が求められるしずっと考え続けなきゃいけない、しかもそれを90分通してだからキツいよな、と。

 可変システムの標準化によって例えばCBでは守れるだけではダメで自分で持ち上がれるなど攻撃にも関与できなきゃならないなど選手のマルチ化も必然的に求められる。改めて、このタイミングでミシャにスイッチしたことには少なくとも攻撃面では大きな意味があると感じた。

 いわゆる戦術本はわりとお値段が高め。戦術リストランテは1500円とか平気でするし。だが、この本は1000円で買える上にハリルジャパンが本大会で勝つには?とか対戦国のスカウティングレポートとかとっつきやすいトピックもある。前述したが、欧州のメガクラブ中心ではない点でも異色の存在なので代表チームとそうしたメガクラブとの違いも少しずつわかってくることと思う。海外厨にならずに済むとも言える(苦笑)。

 さらっと入れるわりには読み進めると読み応えもある骨のある本。
 もちろん、戦術本としてではなく本大会を見る上での資料として持っておくのもアリ。

posted by フラッ太 |11:25 | 書籍紹介 | コメント(0) | トラックバック(0)

スポンサーリンク

スポンサーリンク

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.consadole.net/flatta/tb_ping/2556
コメントする