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2008年10月24日

東京妊婦脳出血死亡報道で

奈良県での大淀病院であった賢人同様の,妊婦が脳出血で亡くなったそうです。ご遺族の皆様には謹んでお悔やみを申し上げるばかりです。。

以前は奈良県という,多くの場合遠くの出来事であったのに対して,今度は首都東京での出来事ということもあり関心を持つ人も多いようで,多くのブログで色々と感想が述べられています[参考]。
コメントも合わせて読むと,世間の感覚と医療現場の感覚のズレの大きさには,最近離れてきたような気もしますが,軽い絶望感に見舞われます。

日本は施設や医薬品にはたぶんあんまり困っていないので,医療崩壊は医者が足りないと言うことに尽きるんだと思います。で,医者がいないのはハイリスクの割にローリターンだから,というのは古今東西の基本と信じています。

特に産科がハイリスクなのは,出産は時を選べないので常に24時間体制でなければならないこと,基本的には病気ではないと思われてるので,なにかあれば訴訟に繋がりやすいことのようです。。

これに対してのリターンは,金か名誉というのが相場と決まってます。

でも金についてはたぶん増えません。そもそも国のいま持ってる予算じゃタカがしれてます。
良くやり玉に挙げられるのが道路予算ですが,これにしたってせいぜい6兆円/年程度。
これに対して医療予算は32兆円/年。道路予算を全部突っ込んだところで,満足のいくような医療体制を組むには全然まったく足りません。
ついでに言えば医療予算の半分は老人医療にかかっていて,これは今後さらに増大する一方なので,周産期医療に回ってくる予算はさらに少なくなることでしょう。

ということで,できる対策は限られていて,リスク部分の激務に対しては医師の増員あるいは患者の受診を抑制,訴訟に対しては医師を免責。リターン部分は医者の名誉回復。
名誉は強制できないので,受診抑制と訴訟での医師の免責をしてリスクを減らすしかないですね。

なんにしても患者側にとって今より楽になることはないですから,病院にかかるなら今のうち・・・という考えが起きてしまうのは今が医療崩壊のまっただ中だからなのか。。。

posted by cudos |17:04 | コメント(0) | トラックバック(1)