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2007年12月12日

食品不祥事とデフレ

久しぶりにコメントが頂けたので,喜び勇んで返答をしようと思っていたら,長くなってしまったので記事を立てました。喜び勇んで書いているのですが,なんだか暗い記事になってしまいました。。

さて。

最近の食品関係の不祥事の先陣を切ったのはミートホープですが,このニュースを聞きながら,デフレの影響がこういうところに出ていたか,なんて思ったものです。

事件の明らかとなったところでは,偽装を始めたのが2000年前後らしいですが,そこはちょうどデフレの真っ盛りです。マクドナルドが65円でハンバーガーを売りはじめたのが2000年1月,激安ブームがもてはやされていた頃で,ユニクロの急成長もこのころだったはずです。

日本マクドナルド、平日は全店でハンバーガーを65円で販売(2000年1月21日)

さらに2001年9月に国内でBSE牛が発見されると,その10月には雪印食品をはじめとして牛肉偽装問題が始まります。

こう並べると食肉生産現場がどのような惨状であったのか,今となると分かる気がします。デフレで販売価格は下がる,BSEで国内牛が避けられる,輸入牛を使おうにも品薄・・・。

もちろん社会状況が悪いから,偽装をしても仕方がない,とはまったくいいませんし,偽装ミンチだって味の違いが分からないくらいの出来なんだから,適当にぼかして売るという手もできたかもしれませんし,その後の事件についてもここでみれば,それぞれに事件を避ける要素はあったと思います。

がそれにしても,いくらそれぞれ事件の当事者を叩いたところで,真面目にやってたら倒産,偽装すれば生存,偽装がばれたら倒産+逮捕,という状況では,やはり偽装は続くと思わざるを得ません。
なにせ,真面目にやってたら倒産→借金→一家離散→自殺の4連コンボが待ってますので,それに比べれば逮捕されることくらい,と考える人がいてもおかしくないでしょう。

「貧すれば鈍する」といいますが,デフレとそれによる不況の長期化は,そんなこんなで生産・流通・消費などそれぞれの視野を狭めているのではないでしょうか。
生産・流通は消費者のことを考えていないようですが,消費者も生産者のことはあまり考えていません。少なくとも私はほとんど考えていません。お互いが自分のことに懸命になりすぎた結果,こういった社会不安が醸成されているのかなあ,と最近思うようになりました。

で,先日の記事になるわけですが,政策決定者はこういった状況をどう考えているのでしょうね。
景気は一時に比べれば回復したとはいえ,10数年に渡る低迷を抜ける気配もなく株価も低迷し成長率は主要国最低レベル。さらにデフレが収まる気配もない中で何とかの一つ覚えのように利上げを言い続ける日銀,景気がどうだろうと税率を上げることしか考えていない財政担当者。
まったくやる気が感じられません。

これに煽るだけのマスコミが加わることで悪循環がさらに加速されているのでしょう。

事件にペタペタと対症療法的に規制を増やしていても埒があきませんし,その規制がさらに不況を呼んでいる中,まずやらなければならないのはデフレとその不況からの脱却です。
日銀は先ず利上げという言葉を封印し,政府は税金のことは一切いわないこと。原油高には円高で対抗だ!は冗談ですが。
インフレ誘導を悪魔的政策と呼んだ大臣がいますが,デフレ社会は既に地獄です。地獄に悪魔ならちょうどイイじゃないかな。

とにもかくにも,リフレ政策でもなんでも良いので,今のデフレ不況をなんとかしないことには,食品に限らず偽装や社会不安に関する問題は解決しないんじゃないかなあ,と思います。
仮に問題が無くなったとしたら,そのころにはあらゆるところで規制だらけでカネもモノも動かない社会ということになりそうです。そうなれば,日本は世界の動きからかけ離れた江戸時代に逆戻りです。

それならそれで良い,というのもひとつのご意見ではありますが。

posted by cudos |11:10 | その他 | コメント(2) | トラックバック(1)