2016年03月14日
「私たち、ガチなんです」
開場になって、いつもの場所に席をとり、荷物の整理をしていた。 後ろの列に駆けこんで来た5人組の女の子たちのうちの一人が声をかけて来た。 「あの~~。ハーフタイムのイベントって、こっち向きでやりますか?」 はは~~。 例の「男旅」とかいうコラボのEXILEなんとかのファンなんだな・・とピンときた。 「こっち向きでやるよ~。あの、真ん中のあたりで」とできるだけ愛想よく私。 「やっぱり早くから並んで、ここに走って来て良かったね」とうなづきあう女の子たち。 「ハーフタイムのとき、前に出て行っても良いですか?私たちガチなんです!」 「いや~、それは。。。そうねぇ。。。」 「立ち上がりますけど、良いですか?」 「そうすると、後ろの人たちが見えないしねぇ。。。」 どうする?どうしよう?とごちょごちょ言っている女の子たちに、 つい、 「ここに座るのは私の仲間ばかりだから、私たちの前になら出て来ても良いよ。 でも、なるべく、後ろの人の迷惑にならないようにね」 と言ってしまった。 親切心というより、コンササポが嫌な人だと思ってほしくないという思いから出た言葉だ。 サッカーに何の興味もなく、サッカーの試合に来たのも初めてに違いない若い女の子たちに、 「へえー、サッカーの応援ってこんなふうにやるんだ」 「なかなか格好良いんだ」 「サッカーってけっこうおもしろいじゃん」 そう思ってもらいたいなと、心から思った。 でも、「ね、どうする?ハーフタイムが終わったら帰る?」という話し声も聞こえていたから、 お金を払って来てくれてありがとう。それだけで十分ですよ。。とも思っていた。 砂さんの登場をまっているとき、 後ろから、きゃ~~!と叫ぶ声。 「いるいる!!」 「どこ?どこ?」 「あそこ!」 はいはい。お目当ての人が出て来たのね。 砂さんに向けた横断幕。 「あれくらいの大きさじゃないと見えないよね」との声。 うん。あれはけっこう大きんだよ・・・うん。 見事なコレオ。 試合が始まった。 気付くと後ろが空席になっている。 「いないね?」とお仲間に言うと「ハーフタイムに備えておトイレでしょ!」とのこと。 そうか。。 そして、ジュニーニョのゴール!!! ハイタッチしようと後ろを向くと、 女の子たちは手持ちのスケッチブックに応援する人の名前を必死にマジックで書いているところだった。 そうか、見てなかったのか。。。 うむ。 そして、ハーフタイム。 周囲を様子を見て、前に立つことはやめたらしい。 席についたまま、頭の上にボードを掲げて、きゃー!!と叫んでいた。 そして、終わった。 「これだけ、これだけなんだ」 そうだよ、ハーフタイムのことだからね。。ごめんね。。短くて。 そして、劇的な勝利!とは行かないままに試合が終わった。 帰るのかと思っていた女の子たちは、結局、最後まで席にいた。 最後にまた出てくるんじゃないかと思っていたようだったが、 それがかなわないと思うと、そそくさと引き上げて行った。 来てくれて、ありがとう。 間近で応援する人が見られて良かったね。 また、何か企画があったら、これに懲りずに来てね。 私たちは、試合のたびに、朝早くから並んで、あの場所を確保し、 ゴールのたびに、跳び上がってハイタッチして歓喜し、 試合終了の笛が鳴るまで、叫び、歌っているから。 私たちも、ガチなんです!